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2013年05月23日
  • 総合政策

(仮称)むつ小川原風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 「(仮称)むつ小川原風力発電事業」(青森県上北郡六ヶ所村)に係る環境影響評価準備書について、本日付けで経済産業大臣に対し、本対象事業実施区域が鳥類の生息環境として重要な場所であること等から、環境影響の回避・低減が十分なされているかについて、更なる検討を求める環境大臣意見を提出した。

1.背景

 平成24年10月1日より、環境影響評価法(平成9年法律第81号。以下「法」という。)の対象事業として風力発電所の設置又は変更の工事の事業が追加された。
 これを受けて、平成24年12月3日付けで「(仮称)むつ小川原風力発電事業」(青森県上北郡六ヶ所村、日立造船株式会社。)に係る環境影響評価準備書について、電気事業法(昭和39年法律第170号)に基づき、経済産業大臣から環境大臣に対して、環境の保全の見地からの意見の照会があったため、これを提出するものである。
 今後、事業者には、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。

2.環境大臣意見の概要

 本事業については、事業者において、鳥類への環境影響を回避するなどの観点から、関係者の意見を勘案しながら、風力発電施設の設置が回避されるべき小川原湖湖沼群の湖岸に近接する風力発電設備の配置を取りやめ、当該湖沼群から可能な限り距離を離していることは評価できる。しかしながら、対象事業実施区域周辺は鳥類の生息環境として重要であること、下北半島を広く見ると、陸奥湾から小川原湖湖沼群までの区間において、他の風力発電事業者が多くの風力発電設備を設置しており、下北半島を経由して南北に通過する渡り鳥にとって累積的な環境影響が懸念されること、さらに、本事業により引き続き小川原湖湖沼群の近傍に風力発電施設が設置される計画であることから、環境影響の回避・低減が十分なされているかについて、更なる検討を行う必要がある。

(1)環境影響評価書の作成に当たっての全般的な留意事項について

環境影響評価書の作成に当たっては、法及び発電所主務省令※等関係法令に従い、必要な事項を遺漏なく記載すること。
特に、本準備書においては、対象事業の目的及び内容について詳細が記載されておらず、基本的な諸元が不足していることから、それらを評価書作成までに確定し、再度、予測及び評価を見直し、環境保全措置の検討に当たって環境影響の回避・低減に努めること。
発電所主務省令:「発電所の設置又は変更の工事の事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」(平成10年通商産業省令第54号)

(2)環境影響評価の項目の選定の再検討について

本事業に係る事業特性及び地域特性を適切に整理した上で、環境影響評価項目の選定について再検討すること。
特に、「風車の影」、「生態系」及び「廃棄物等」については、環境影響評価項目として選定し、適切な環境影響評価を実施すること。
更に、工事の実施における「工事用資材等の搬出入」、「建設機械の稼働」及び「造成等施工による一時的な影響」については必要に応じて選定項目とし、適切な環境影響評価を実施すること。

(3)環境影響評価の予測・評価結果の再検討について

評価書の作成においては、評価に係る根拠や経緯を明確にし、科学的かつ客観的な予測及び評価とするよう見直すこと。

(4)騒音(低周波音を含む)について

騒音(低周波音を含む)については、必要に応じて、風力発電設備の配置等を含めた環境保全措置について、再検討すること。
騒音(低周波音を含む)の事後調査の実施及びその結果を踏まえて検討すべき環境保全措置について、可能な限り具体的に評価書に記載すること。

(5)動物及び植物について

1)鳥類等の重要な動物種について
本事業計画地を含む小川原湖湖沼群より東側の地域は、風力発電施設が立地していない回廊的な地域であり、下北半島を経由して渡りをする鳥類に対して移動阻害等の影響が懸念されることから、下北半島を含む周辺地域における風力発電事業を調査、整理し、累積的な影響を考慮すること。
国指定鳥獣保護区及びラムサール条約湿地に指定されている仏沼等の湖沼群と、高瀬川の河口等の海岸部の干潟などの両者を鳥類が利用している可能性があることから、対象事業実施区域周辺の湖沼群と周辺の鳥類の生息環境との鳥類の移動を考慮した環境影響評価を実施すること。特に海岸部と対象事業実施区域周辺の湖沼群の移動については、本事業による風力発電施設の配置が、海域と陸域を繋げるエコトーンとしての機能を有する海浜部に集中することを考慮し、鳥類への影響を慎重に検討すること。
予測においては、重要な種の確認位置と改変区域を重ね合わせるなど、可能な限り定量的な手法を用いて予測を行うこと。
鳥類等の重要な動物に対する環境影響を可能な限り回避・低減する観点から、風力発電設備等の配置や渡来期の稼働制限等を含めて環境保全措置を再検討するとともに、鳥類等の衝突に関する予測については、不確実性が大きいことから、事後調査を実施すること。
2)重要な植物種及び海浜植生に対する環境保全措置について
対象事業実施区域内には、重要な植物種や自然性の高い海浜植生(砂丘植物群落)が確認されているが、本事業による風力発電設備や取付道路等の設置による環境影響を回避・低減するために、これらの生育範囲に設置箇所がかからないように配置・構造等を検討すること。

(6)周辺自治体等への意見聴取について

対象事業実施区域に位置する六ヶ所村周辺の自治体及び住民等に対する情報提供及び意見聴取を実施し、当該意見を踏まえ、評価書を作成すること。

(7)事後調査結果の公表について

事後調査を実施した場合には、事後調査の結果について公表すること。また、事後調査の結果に応じて、追加的な環境保全措置を実施した場合は、その結果も含めて公表すること。

【参考】

・事業の名称
(仮称)むつ小川原風力発電事業
・事業者
日立造船株式会社
・計画位置
青森県上北郡六ヶ所村
・出力
57,000kW(3,000kW×19基)
・運転開始予定
未定
○環境影響評価法への経過措置に係る手続
・平成24年6月6日
経済産業省が「風力発電事業に係る環境影響評価実施要綱」を公表
・平成24年9月27日
経済産業省への準備書の届出
・平成24年12月3日
環境大臣への意見照会
・平成24年12月28日
青森県知事意見の提出
・平成25年5月23日
環境大臣意見の提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表   :03-3581-3351
 直通   :03-5521-8237
 室長   :田中 紀彦 (内6231)
 室長補佐:横井三知貴(内6233)
 審査官  :田中 ばく (内6232)

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