報道発表資料
5月6日~5月7日,ドイツ・ベルリンにおいて,気候変動に関する非公式閣僚級会合ペータースベルク気候対話IVが行われ,(1)気候変動に係る行動の促進、(2)長期的なシグナルの提示と民間セクターに対するインセンティブの強化、(3)新たな国際枠組みの設計、(4)COP19で目指すべき成果等の論点について、各国の閣僚レベルの参加の下、率直かつ建設的な議論が行われた。
1.会合
(1)日程・場所
5月6~7日 於:ドイツ・ベルリン
(2)主催
ドイツ及びポーランド政府(共同議長:アルトマイヤー・ドイツ環境・自然保護・核安全大臣、コロレツ・ポーランド環境大臣)
(3)出席者等
ドイツ及びポーランド並びに以下の国・地域・国際機関等が出席した(下線は閣僚級が参加)。
豪州、バングラディシュ、ブラジル、中国、デンマーク、ドミニカ共和国、エジブト、EU(欧州委員会、EU議長国アイルランド)、フィジー、フランス、インド、インドネシア、リトアニア、メキシコ、ナウル、ネパール、ニュージーランド、ノルウェー、ペルー、カタール、ロシア、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、韓国、スワジランド、スイス、ウクライナ、アラブ首長国連邦(UAE)、英国、米国、ベネズエラ、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局、ADP共同議長
日本からは齋藤環境大臣政務官、鈴木経済産業省産業技術環境局長、吉武外務省気候変動課交渉官、大井環境省国際地球温暖化対策室交渉官他が出席。
2.議論の概要
(1)主な議論
(1)気候変動に係る行動の促進、(2)長期的なシグナルの提示と民間セクターに対するインセンティブの強化、(3)新たな国際枠組みの設計、(4)COP19で目指すべき成果等の論点について、各国の閣僚レベルの参加の下、率直かつ建設的な議論が行われた。
気候変動に係る行動の促進については、各国の先進的な取組が紹介されるとともに、国際的な協力イニシアティブの重要性についても認識が共有された。また、これらの行動に対する国内支持を得るためには、気候変動への取組が低炭素成長につながるというポジティブなメッセージの発信が必要であることが強調された。長期的なシグナルの提示と民間セクターに対するインセンティブの強化については、気候変動対策における民間セクターの取組の重要性について認識が共有されるとともに、政府が民間セクターに対して明確な方向性を示すことの重要性や、努力のインセンティブを与えることの必要性等が確認された。
新たな国際枠組みについては、すべての国の参加のために各国の実情を踏まえ各国が定める貢献が枠組みの基礎となるとの指摘や、この場合にいかに野心を向上させていくかに関する議論が行われた。また、歴史的責任を踏まえ先進国が率先して取組をリードすべきとの意見や、条約の原則は不変であるが状況は変化していくとの指摘があった。
COP19については、国際枠組みの2015年までの合意に向けて同会合において議論を着実に先進させることが重要であるとの認識が共有された。また、資金やロス&ダメージ、野心の引き上げ等も同会合における重要な論点になること、2015年のCOP21までの3回のCOPを一連のものとして捉えて前進していくべき等の指摘がなされた。
議論の結果は、共同議長サマリーとして公表される予定。
(2)メルケル・ドイツ首相の基調講演
会合中、メルケル・ドイツ首相による基調講演が行われ、以下の指摘があった。
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- 世界の温室効果ガス排出の現状を踏まえると、2℃目標達成のためには先進国のみの努力では十分でないため、全ての国を拘束(binding)する合意を2015年に目指す必要がある。本年のCOP19の議長国であるポーランドのリーダーシップに期待する。
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- 新たな国際枠組みについて議論を進めるにあたっては正義(justice)や公平(fairness)が重要な視点となる。また、民間に対して行動のインセンティブを与え、また将来の予測可能性を示していくことで明確なメッセージを送ることも政府として重要である。
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- EUにおいては、2020年のみならず2030年の目標を検討しているところ。
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- また、資金をどのようにスケールアップさせるか、資金についての途上国のガバナンスのどのように向上させるかも重要な問題。
(3)我が国の発言
我が国からは、齋藤環境大臣政務官より、気候変動に係る行動を促進・実行していくためには気候変動が人間の生存基盤に関わる問題であるとのメッセージを発信するとともに、気候変動問題への取組が持続可能な開発やグリーン経済の実現を通じてより良い社会の構築にも資するとのポジティブな側面をアピールしていくことが重要であること、民間セクターによる行動や投資を促進するためには政府がブレのない長期的なビジョンを発信していく必要があること等を説明した。
また、新たな国際枠組みについては、各国の実情を踏まえて条約の原則を捉える必要性、実効的な測定・報告・検証(MRV)の重要性、野心向上のメリットを感じるような制度設計の必要性、既存の枠組みの要素を積極的に活用する必要性等を主張するとともに、COP19に向けては新たな枠組みの要素について建設的な意見交換を続けながら、徐々に議論を深めていき、COP19ではそうした議論を総括して2014年以降の交渉の鍵となる要素を特定することが重要である旨指摘した。また、COP19においては資金やロス&ダメージ、市場メカニズム等も重要な論点になる旨指摘した。
また、二国間オフセット・クレジット制度の構築やフロン類の排出抑制対策の強化、省エネ法に基づくトップランナー制度、低炭素社会創出に向けたファイナンス・イニシアティブ、鉄鋼業界によるCO2排出量算定方法の国際規格化など我が国が進めている取組についても説明した。
(4)その他
上記のほか、会合の合間に英国、米国及びポーランド等の代表者とバイ会談を行ない、気候変動交渉に関する我が国の立場を説明し、意見交換を行った。
(了)
- 連絡先
- 環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
直通:03-5521-8330
代表:03-3581-3351
室長:新田 晃 (内線6772)
担当:千葉 亮輔(内線6775)