報道発表資料
「アジア太平洋気候変動適応フォーラム2013」が「開発における適応政策の主流化:変化する環境下での戦略と行動」のテーマの下で、3月18日(月)-20日(水)の3日間にわたり韓国の仁川において開催されました。
フォーラムには、30数カ国から政策決定者、実務者、研究者、一般市民等合計約500名が出席し、気候変動適応に関するテーマについて活発な議論が行われました。
1. フォーラム概要
気候変動への適応については、IPCCの第4次評価報告書においても、「最も厳しい緩和努力をもってしても、今後数十年の気候変動の更なる影響を回避することはできないため、適応は特に至近の影響への対応において不可欠」と記載されるなど、対応が必須となっている。
本フォーラムでは、「開発における適応政策の主流化:変化する環境下での戦略と行動」をテーマとし、
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- 国レベルからコミュニティレベルにわたる適応戦略に関する知見や経験
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- 様々なセクターやシステムおける適応行動の事例や経験
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- 相互経験学習の促進のための知識管理のあり方について
を議論することを目的に開催された。
日時 | 2013年3月18日(月)-20 日(水) |
会場 | 韓国・仁川 Songdo ConvensiA |
主催 | 韓国環境研究所(KEI)・韓国気候変動適応センター(KACCC) |
共催 | 国連環境計画(UNEP)、(公財)地球環境戦略研究機関(IGES) アジア太平洋地域資源センター(RRC.AP)、ストックホルム環境研究所(SEI) |
開催支援 | 韓国環境省、日本国環境省、アジア開発銀行、仁川市、韓国国際協力団 |
テーマ | 開発における適応政策の主流化:変化する環境下での戦略と行動 |
2. 出席者
アジア太平洋地域を中心に30数カ国から、政策決定者、実務者、研究者、NGO 等約500人が参加した。
環境省からは、三好大臣官房審議官が冒頭に挨拶を行い、日本国が第1回目から支援を行ってきている同フォーラムがアジア太平洋地域における気候変動適応を議論する場として定着・成長していること、東日本大震災の経験等日本の防災等の経験を共有することも気候変動の適応に寄与することなどを述べた。日本からは、環境省、国土交通省、独立行政法人国際協力機構(JICA)慶應義塾大学、茨城大学、広島大学、財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、国立環境研究所を始め民間企業からも専門家がパネラーとして参加し、討論に貢献した。
3. 主な成果
アジア太平洋地域をはじめとする30数カ国からの政策決定者、実務者、研究者、援助団体等が集まり総勢約150名による発表が行われた。それらを踏まえた主な成果の概要は以下の通りである。
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- 多くの国が気候変動に対する適応について、多くの課題に直面している。資金・資源の欠如や不十分な組織能力がその対処を一層困難にしている状況に鑑み、従来型の開発から脱却し、速やかに必要な対策を実施することが肝要である。
- [2]
- そのためには、脆弱性アセスメントや複合型の不確実性を勘案してより気候変動に対して強靱かつ回復力のある開発を目指すべきである。また、貧困層や脆弱な社会層への対処、気候変動を考慮したインフラ整備及び自然資源管理などについて、幅広い関係者と協力し、気候変動に対する適応を推進する必要がある。その際、より多くの経験や知見を蓄積し、革新的な解決策を誘導することが依然として重要である。
- [3]
- また、有用な知見を効果的に普及し政策策定へ反映させるためには、科学者と政策策定者、さらには適応実践者間のコミュニケーションを強化することが肝要であり、APAN 等の知見共有のネットワークの拡大やフォーラムの定期的な開催などが今後も重要な役割を果たすことが再確認された。
- [4]
- 気候変動による損害・被害に関する情報交換のためのフォーラムの立ち上げが表明された。
- 連絡先
- 環境省地球環境局総務課研究調査室
直通 : 03-5521-8247
代表 : 03-3581-3351
室長 : 辻原 浩 (内線 6730)
専門官 : 星野 ゆう子 (内線 6745)
担当 : 稲子谷 昂子 (内線 6733)