報道発表資料

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2013年01月25日
  • 地球環境

「排出削減ポテンシャルを最大限引き出すための方策検討について」の公表について(お知らせ)

 環境省では、平成24年10月から11月にかけて「排出削減ポテンシャルを最大限引き出すための方策検討会」を3回開催したところです。これまでの議論の結果を、「排出削減ポテンシャルを最大限引き出すための方策検討について」として取りまとめましたので、公表いたします。

1.検討会の趣旨とこれまでの経緯

 平成22年度温室効果ガス削減ポテンシャル診断支援事業等によって、費用対効果が高いにもかかわらず導入率が低いままにとどまっている排出削減対策が多数存在していることが明らかになりました。こうした対策について、中央環境審議会地球部会等における指摘等を踏まえ、[1]導入率が低いままにとどまっている要因の分析、[2]対策導入を促進し、排出削減ポテンシャルを最大限引き出すための方策検討などを行うため、環境省では、「排出削減ポテンシャルを最大限引き出すための方策検討会」を設置し、検討を進めています。
 本検討会は、平成24年10月から11月にかけて3回開催され、上記の検討課題について検討を進めてきました。これまでの議論の結果を「排出削減ポテンシャルを最大限引き出すための方策検討について」として取りまとめました。
 なお、検討会は平成25年1月及び2月にも開催を予定しております。

2.概要

 「排出削減ポテンシャルを最大限引き出すための方策検討について」の概要は以下のとおりです。

 環境省の調査によると、削減対策に要する投資を省エネメリットにより3年以内で回収できるような、費用対効果の高い対策によるCO2排出削減余地がまだ多く残されており、試算では、こうした対策の実施による排出削減量は大規模事業所からの排出量全体(※)の約5%に相当するという結果が出た。

年間3,000トン以上の温室効果ガスを排出する工場、事業場からのエネルギー起源CO2排出量

 そこで、そもそもこのような費用対効果の高い削減対策がなぜ進まないのか、環境省が企業へのアンケート調査・ヒアリング調査を実施、分析したところ、以下に示す事情が「阻害要因」として浮かび上がった。

  • 企業が省エネ設備・機器の導入を検討するとき、カタログやインターネット等から提供される一般情報だけでは、自らの工場・事業場に導入する際に見込まれる具体的な費用対効果を把握することができない。
  • 自社の予算規模に照らして多額の投資を要する省エネ設備・機器については、投資額の大きさそのものや、投資回収の不確実性の大きさに鑑み、投資リスクが大きいと判断されるケースが多い。
  • 省エネルギーやCO2削減に対する経営層の姿勢が、省エネ設備・機器への投資判断を消極にしているケースもある。

 我が国が今後省エネルギー・CO2削減を進めていく上では、

  • 工場・事業場への診断を通じた、具体的な情報提供の充実
  • 様々な業種・規模等における削減対策の事例収集と、情報の共有

を通じて、個別の工場・事業場に削減対策を導入する場合の費用対効果を「見える化」するとともに、

  • 補助金や利子補給、減税等の財政措置に加え、ローン・ギャランティ等による民間投融資の誘発
  • 省エネ投資に対するインセンティブづけ(認定制度など)、省エネルギー・CO2排出への規制(排出目標の設定など)

といった効果的な施策の導入・強化により、省エネ設備・機器への投資の魅力を高め、経営層の意識に働き掛けていくことで投資を促進していくことが考えられる。

 なお、施策の形成にあたっては、対策のコストに幅があることや施策により得られる効果・影響が様々であることに鑑み、多様な施策を一体的なパッケージとして捉えることが必要である。

 今後は、今回示した方策に係る効果等の調査分析を進めるとともに、どのような対策を促すことが効果的、効率的に排出削減ポテンシャルを引き出すことにつながるのかを明らかにしていくことが課題である。

 また、中央環境審議会地球部会等での指摘や地球温暖化対策に関する閣僚委員会の決定を踏まえ、引き続き排出削減ポテンシャルの精査や排出削減対策を進める際の経済影響の分析等も行っていくことが必要である。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局地球温暖化対策課市場メカニズム室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8354
   室長   :奥山 祐矢(内線6736)
   室長補佐:堤 達平  (内線6739)
   担当   :江藤 文香(内線6783)

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