報道発表資料

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2012年12月03日
  • 地球環境

第13回日中韓環境教育シンポジウム及びワークショップの結果について(お知らせ)

 日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM※1)で合意された優先取組分野の一つである「環境共同体意識の向上」に関するプロジェクトとして、日中韓三カ国の環境教育専門家等により構築された日中韓環境教育ネットワーク(TEEN※2)の第13回シンポジウム及びワークショップが、10月24日(水)~26日(金)に宮城県仙台市・気仙沼市で開催されました。

1.日程

  • 平成24年10月24日(水)シンポジウム
  • 平成24年10月25日(木)ワークショップ
  • 平成24年10月26日(金)視察

2.場所

宮城県仙台市「仙台ガーデンパレス」

3.主催

環境省(協力:仙台広域圏ESD・RCE運営委員会、宮城教育大学)

4.参加者

シンポジウム:
一般参加者及びワークショップ出席者等
ワークショップ:
環境教育行政担当者及び専門家

5.議題

シンポジウム:
「持続可能な開発のための教育(ESD)最新動向」
ワークショップ:
「日中韓環境教育読本の作成に向けた方向性の検討」

6.結果

[1]シンポジウム

 はじめに、環境省総合環境政策局 鎌形浩史審議官及び宮城県環境生活部長の本木隆氏による開会挨拶の後、「国内外におけるESDの取組」として日中韓の専門家による国家レベル及び地域レベルにおけるESDの事例紹介が行われた。
 まず、立教大学教授の阿部治氏より、日本におけるESDの全体動向の紹介がなされ、文部科学省国立教育政策研究所教育課程研究センター基礎研究部総括研究官の五島政一氏より「日本の小学校及び高等学校におけるESDの2つの事例」と題し、具体例が紹介された。続いて中国・上海市環境保護局のYAN, Min(イエン・ミン)氏より上海市における事例として読本「あなたと進める環境保護」及び「数千万人の市民への環境保護教育プログラム」が紹介された。また、「国家レベルにおける持続可能な開発のための教育の最新動向-中国の取組」が紹介された。韓国からは延世大学教授のPARK, Tae Yoon(パク・テユン)氏から、国家構想と連動した「韓国における低炭素グリーン成長のための環境教育」の紹介、国際環境教育研究所のCHOI, Suk-jin(チェ・ソクチン)氏からESDの現状を含む「韓国における環境教育と持続可能な開発のための教育の傾向」の紹介がなされた。
 続くパネルディスカッションでは、「『ESDの10年』最終年に向けて日中韓が協力できること」をテーマに、座長に阿部氏、パネリストに五島氏、PARK氏、中国・北京師範大学教授のHUANG, Yu(ホアン・ユ)氏を迎え議論が行われた。
 締めくくりとして、宮城教育大学長の見上一幸氏の特別講演「ESDと被災地支援のためのネットワーク~被災地の経験から~」が行われ、世界各国で起こり得る災害に対して、ESDの重要キーワードでもある「つながり」としての協力体制を平時から構築しておく必要性が強調された。

[2]ワークショップ

 日中韓の環境教育専門家を中心として三カ国での協働開発を目標とした「日中韓環境教育読本の作成に向けた方向性の検討」をテーマに討議が行われた。
 ワークショップの冒頭には、中国・北京師範大学教授のHUANG氏より、これまでに中国が主導して開発を進めてきた小学校高学年向けの環境教育読本の全体方針と現状の共有が行われた。これを踏まえ、日中韓で協働作成を検討する読本テーマとして、午前の部では「伝統的な知恵」を、午後の部では「我ら共通の未来」を取り上げ、議論が行われた。
 「伝統的な知恵」では、衣食住等に見られる三カ国の伝統的な環境保全の知恵に関する共通点・差異等についての共有がなされた。「我ら共通の未来」では、日本からは批判的思考等、ESDの基本的な姿勢や考え方を学ばせること、中国からは三カ国の学校教育の現状の違いを考慮すべきこと、韓国からは実際の教材紹介を含め児童にとって楽しめる工夫や現場体験学習との繋ぎこみの必要性などについて、率直で活発な意見交換が行われた。

[3]視察

 日中韓の参加者にて、ESDの先進地区の一つであり、東日本大震災の被災地である気仙沼市の視察を行った。午前中には気仙沼市立大谷小学校を訪れ、学校経営の説明の後、実際の環境教育授業(6年生対象)の見学を行った。授業では観光を軸とした大谷地区の活性化策を児童が考え発表を行った。その後、大谷小学校及び大谷中学校が進める「大谷ハチドリ計画」の説明を伺い、復興の一環として、幼稚園から中学校の児童・生徒が、冬水田んぼの再生を行っている事例等が紹介された。
 午後から、階上地区の被災状況を視察した後、気仙沼市教育委員会を訪問、教育長 白幡勝美氏、副参事兼指導主事 及川幸彦氏による復興・防災とESDに関わる講義を受けた。

※1
TEMM:Tripartite Environment Ministers Meeting
※2
TEEN:Tripartite Environmental Education Network
連絡先
環境省地球環境局国際連携課国際協力室
代表   :03-3581-3351
直通   :03-5521-8248
室長   :川又 孝太郎(内線:6765)
室長補佐:西前 晶子  (内線:6761)
担当   :大塚 華   (内線:6764)

環境省総合環境政策局環境教育推進室
代表   :03-3581-3351
直通   :03-5521-8231
室長   :宮澤 俊輔(内線:6240)
担当   :渡辺 裕信(内線:6272)