報道発表資料
九頭竜川水系足羽川ダム建設事業の環境影響評価書について、国土交通大臣から、環境影響評価法に基づき意見を求められたことから、本日付けで、環境の保全の見地から、環境大臣意見を提出いたしました。
- 1.
- 九頭竜川水系足羽川ダム建設事業(福井県立郡池田町、事業者:国土交通省近畿地方整備局)の環境影響評価書について、環境影響評価法に基づき、9月25日付けで国土交通大臣から意見を求められたため、本日付けで環境の保全の見地から、環境大臣意見(別紙)を提出いたしました。
- 2.
- 対象事業実施区域は、九頭竜川水系足羽川の上流域にあり、周囲のブナ、コナラ等の落葉広葉樹林やスギ・ヒノキ植林ではクマタカの営巣が確認される等、多様性豊かな自然が維持されている。本事業により設置されるダムの湛水面積は約94ha、各支川をつなぐ導水トンネルの総延長は約16kmに及び、事業の実施によって重大な環境影響を与える可能性があることから、以下の措置を適切に講じるよう、環境大臣意見を述べたものである。
環境大臣意見の概要
- (1)
- 最新の調査結果の反映
環境影響評価準備書の作成より3年半が経過していることから、自然環境の状況については可能な限り最新データの把握に努め、調査結果から大きな変化が認められる場合には、予測及び評価の再検討を行うこと。 - (2)
- 2期工事着工前の環境保全措置等の再検討
2期工事については、約13年かけて実施される1期工事の終了後に、1期工事の施工状況や事後調査の結果等を踏まえ、環境保全措置等の内容について再検討を行うよう努めること。 - (3)
- 堤体等の詳細設計における環境配慮
今後、堤体及び流木止等の河道内の附帯施設の詳細設計を行うに当たっては、当該事業地の上下流の連続性の確保に努めること。 - (4)
- 試験湛水時の放流水温変動への対応
試験湛水時の放流水温変動の低減及び把握に努め、水生生物に何らかの影響が懸念される場合には、有識者の助言を得て、必要な措置を講ずること。 - (5)
- 野生動物の保全
- [1]
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クマタカ
周辺地域も含めた生息状況についての事後調査を行い、事業実施によるクマタカの繁殖等、生息への影響が確認された場合は、環境保全措置を確実に実施すること。事後調査に当たっても事前に有識者の意見を聴取すること。 - [2]
-
クマタカ以外の猛禽類
イヌワシ、ハヤブサ、サシバ、オオタカ、ハチクマ等の猛禽類についても、周辺地域も含めた生息状況について環境監視を行い、評価書の予測結果と異なる影響が確認された場合は、適切な措置を講ずること。 - [3]
-
アジメドジョウ
アジメドジョウの退避用シェルターついては、ダム建設事業での施工実績がなく不確実性が高いため、事前に実験等を行い、詳細の実施計画及び事後調査計画を策定すること。
- (6)
- 建設発生土及び伐採木の発生抑制並びに有効利用
建設発生土及び支障木の伐採については、発生抑制及び有効利用に努めること。 - (7)
- 温室効果ガス排出量の削減
「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」に基づく特定調達品目等の使用等により、温室効果ガスの排出量削減に努めること。
3.なお、今後、事業者である国土交通省近畿地方整備局長に対して、国土交通大臣から環境大臣意見を勘案した意見が述べられることとなる。
【参考】九頭竜川水系足羽川ダム建設事業概要
事業概要
- ・事業者
- :国土交通省近畿地方整備局
- ・位置
- :福井県今立郡池田町小畑地先
- ・規模
- :貯水面積 約94ha(第二種事業)、総貯留容量 約2,870万m3
- ・形式
- :重力式コンクリートダム
環境影響評価の手続
- ・方法書公告縦覧
- 平成19年12月14日~平成20年1月21日(住民意見3通)
- ・知事意見提出
- 平成20年5月21日
- ・準備書公告縦覧
- 平成21年3月30日~4月30日(住民意見5通)
- ・知事意見提出
- 平成21年10月14日
- ・評価書送付
- 平成24年9月19日
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表 :03-3581-3351
直通 :03-5521-8237
室長 :田中 紀彦(内6231)
室長補佐:横井三知貴(内6233)
審査官 :中島 治美(内6248)