報道発表資料

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2012年10月26日
  • 総合政策

酸素吹石炭ガス化複合発電実証試験発電所設置計画環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、酸素吹石炭ガス化複合発電実証試験発電所設置計画環境影響評価準備書について、本日付けで経済産業大臣に対し、本事業による二酸化炭素排出量の更なる低減等を求める環境大臣意見を提出した。

1.
 環境省は、酸素吹石炭ガス化複合発電実証試験発電所設置計画(事業者:大崎クールジェン株式会社、以下「事業者」という。)環境影響評価準備書について、環境の保全の見地からの意見を求められたことから、本日付けで経済産業大臣に対し、別紙1のとおり環境大臣意見を提出した。
2.
 本事業は、中国電力株式会社大崎発電所構内に実証試験発電所を設置し、酸素吹石炭ガス化複合発電及び二酸化炭素分離回収技術の実証試験研究を行い、実用化前最終段階の信頼性・経済性・運用性等を検証することを目的としたものである。
 酸素吹石炭ガス化複合発電は、従来の石炭火力発電を凌ぐ発電効率の達成が可能とされており、発電量当たりの燃料使用量の軽減による二酸化炭素排出量の削減が期待されることに加え、二酸化炭素を分離回収する技術と組み合わせることで石炭火力発電のゼロエミッション化に寄与することが期待される。
 しかしながら、IGCC実証試験設備の二酸化炭素排出原単位は、一般的に天然ガス火力発電と比較して高いほか、硫黄酸化物、窒素酸化物及びばいじん等の大気汚染物質や、全窒素、全リン及び化学的酸素要求量等の水質汚濁物質が発生する。
 以上を踏まえ、本事業から発生する二酸化炭素、大気汚染物質及び水質汚濁物質等を着実に、かつ最大限削減するため、また、動植物に対して適切に配慮するため、以下の措置を講ずる必要があることを指摘している。

環境大臣意見の概要

1.温室効果ガス

(1)
石炭火力発電のゼロエミッション化に係る技術確立の早期実現を図るため、実証試験にできる限り早期に着手し、適切な実施に努めること。
(2)
建設段階における二酸化炭素排出削減のため、本事業の施工者に対して省エネルギー対策の実施に努めるよう求めること。
(3)
2013年以降の我が国の二酸化炭素排出削減の枠組として、「革新的エネルギー・環境戦略」(平成24年9月14日、エネルギー・環境会議決定)を踏まえつつ、今後さらに詳細な計画等が策定された際には、策定された計画と整合が図られるよう売電先に協力を求め、必要とされる措置を可能な限り講じること。
(4)
二酸化炭素分離回収技術の実証試験の進展を踏まえ、二酸化炭素分離回収設備の適切な運転管理による段階的な環境負荷軽減を図ること。

2.大崎発電所1-1号機との同時運転

 本実証試験設備と大崎発電所1-1号機の同時運転を行う場合、周辺への環境負荷を可能な限り低減するよう、改めて環境に及ぼす影響についての検討を行い、その時点における適切な環境保全対策を講じること。

3.実証実験後の施設の取り扱い

 実証試験の目的を達成し試験設備を商用機として使用する場合や新たな実証試験を追加する場合には、改めて環境に及ぼす影響について検討を行い、その時点における適切な環境保全対策を講じ、その結果を公表すること。

4.動植物の移動・移植

 環境保全措置として実施を予定しているコオイムシ、ニホンアカガエル、カワヂシャの移動・移植先、実施時期、実施方法等について専門家等から意見を求め、その内容を専門家等の専門分野などとともに公表すること。併せて、移植・移動の効果について現地確認を行い、その結果についても公表すること。

5.環境監視結果の公表

 本実証試験の実施に伴う環境負荷について、工事中及び施設稼働中の環境監視計画に基づく大気環境、水環境及び廃棄物等の計測結果の公表を行うこと。

 なお、環境大臣意見の取りまとめに当たっては、独立行政法人産業技術総合研究所の赤井誠招聘研究員から意見聴取を行った(別紙2参照)。

[参考]
○事業概要
・名称
酸素吹石炭ガス化複合発電実証試験発電所設置計画
・事業者
大崎クールジェン株式会社
・計画位置
広島県豊田群郡大崎上島町中野6208番地1(中国電力大崎発電所構内)
・発電方式
ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)
・出力
16.7万kW
・燃料
石炭
○環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)

【方法書の手続】

・縦覧
平成21年8月4日~平成21年9月3日(住民意見98件)
・広島県知事意見提出
平成21年12月22日
・経済産業大臣勧告
平成22年1月29日

【準備書の手続】

・縦覧 
平成24年2月14日~平成24年3月15日(住民意見121件)
・広島県知事意見提出
平成24年8月7日
・環境大臣意見提出
平成24年10月26日

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8237)
室長   :田中 紀彦 (内6231)
室長補佐:横井三知貴(内6233)
審査官  :柏谷 和久 (内6253)

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