報道発表資料
これまで、フィリピン、インドネシア、タイにおける情報・事例集を公表したところであるが、今般マレーシアにおける情報・事例集がまとまったので、公表する。
1.調査の目的
日系企業の海外活動に係る環境配慮への先駆的取組や経験に関する具体的な事例を収集し、取りまとめ広く提供することにより、現在途上国で活動している他の企業やこれから進出しようとする企業が、今後より望ましい環境配慮を行うための参考とすることを目的に、平成8年度より各国毎に本調査を実施している。
(参考)
環境基本法では、事業者の海外活動に際し適切な環境配慮ができるよう、国は情報提供等に努めるとされている。環境庁が実施した「在外日系企業の環境配慮活動動向調査」(平成7年度)において、海外に進出している日系企業に対するアンケートを行ったところ、日本政府に期待することという設問に対して「各国の環境に関する情報提供」という回答が多数あった。本調査はこのような回答を踏まえて行っているものである。
2.調査の実施方法
マレーシアに進出している日系企業に対し、環境配慮に関する具体的な取組事例について現地実状調査を行うとともに、マレーシア政府等に対し、環境規制の状況等についてヒアリング等を行った。
3.調査結果
(環境規制の状況等) | ||
○ | 1974年環境法(1998年改定)とこれに基づく、指定産業廃棄物処理、水質汚濁、大気汚染等の各種規制手続・基準、環境影響評価・工場立地適正評価等の企業進出に際して求められる環境手続と内容を解説した。 | |
(日系企業の取組) | ||
○ | 製造業を中心とした現地調査では、マレーシア政府の厳しい環境規制や親会社のグローバルな環境戦略も背景にあるものの、なにより現地日系企業自身が環境対策を日常的な企業活動の重要な一部として認識し、着実に取り組んでいることが明らかとなった。また、排水規制について、我が国よりも規制基準が厳しい場合もあり、高度な排水処理をしている事例等が明らかになった。一方で、内部管理の不徹底から生じた自社敷地内への産業廃棄物の投棄や排水基準違反等の法令違反摘発事例も少数ではあるが見られ、今後の教訓とすべき点も明らかとなった。 | |
○ | タイの場合と同様、日本と異なる法体系や基準に対応するため、日系企業同士が共同して環境情報の共有等環境問題への取り組みを進めていること、日系企業がマレーシアにおける環境分野への人材育成に貢献していることなどが明らかになった。 |
4.今後の対応
当庁としては、この報告書をマレーシア日本人商工会議所をはじめとする関係者・希望者に広く配布することにより、既にマレーシアに進出している日系企業による環境への取組の更なる充実及び今後マレーシアに進出しようとしている企業による環境保全への適切な取組の実施促進を図ることとしている。
(参考)報告書の構成
第1章マレーシアにおける環境問題の現状と環境保全施策の概要
日系企業の活動状況、環境問題の現状、環境行政の概要、産業公害と関連法規、水質汚濁対策、大気汚染対策、有害廃棄物対策、環境影響評価制度等を解説。
第2章マレーシアにおける日系企業の環境対策への取り組み事例(全13事例)
・ | マレーシアの日系企業と環境対策の特徴 | |
・ | 厳しい排水基準に対処している事例(5事例) | |
・ | 環境マネジメントシステムを構築している事例(4事例) | |
・ | その他の先進的な取り組み事例(4事例) |
資料編
・ | 1974年環境法(1998年改定版全訳)、1989年指定産業廃棄物に関する環境規則(抜粋訳等)、マレーシア及び日本における環境情報関連窓口一覧 等 |
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- 連絡先
- 環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課環境協力室
室 長 :田口 博之(内線6742)
補 佐 :大村 卓(内線6744)