報道発表資料

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2000年06月05日

生物多様性条約第5回締約国会議の結果について

生物多様性条約第5回締約国会議は、150以上の締約国及び地域、関係国際機関等の参加のもと、去る5月15~26日にケニア共和国の首都ナイロビで開催された。
  本会議では、先般採択されたバイオセーフティ議定書の署名が開始され、会期中に67カ国及びECが署名を行った。
  議題のうち、優先項目として、ドライランドの生物多様性、観光を含む持続可能な利用、遺伝資源のアクセスが取り上げられ、それぞれ、ドライランドの作業プログラムの採択、観光産業における生物多様性の重要性の認識、遺伝資源のアクセスに係る新たな作業グループの設置などが決議された。
  これらの外、主題分野として内陸水域・海洋・森林・農業の生物多様性、横断的課題としてエコシステムアプローチ、外来種、分類学イニシアティブなど、条約の実行としてクリアリングハウスメカニズム(情報交換の仕組み)、国別報告、事業予算などが検討され、合計31にわたる決議文書が採択された。
  次回の締約国会議は、2002年の第2四半期にオランダのハーグで開催される予定。
1 開催日 平成12年5月15日(月)~26日(金)
 
2 開催場所 ケニア共和国(ナイロビ)
 
3 出席者
 

  154の締約国及び地域、国際機関、NGO等から、合計1500人以上が参加。
  我が国からは、小林環境庁長官官房審議官外、外務省、環境庁、農林水産省、林野庁、水産庁、通商産業省から15名が出席。

 

  4 主な決議内容(議題順) :

  以下のことを内容とする決議文書を採択。

(1) バイオセーフティ議定書の政府間委員会(ICCP)

ICCPの議題、第1回ICCPの時期・場所(平成12年12月11~15日、モンペリエ(仏))等
 

(2) 主題分野別の課題

内陸水域の生物多様性
ラムサール条約との共同作業計画等

海洋・沿岸の生物多様性
保護地域と養殖に関するアドホック専門家グループの委任事項等

森林の生物多様性
アドホック技術専門家パネルの設置、現状分析・優先活動などの検討、気候変動枠組条約との協力関係の強化等

農業の生物多様性
アセスメントの必要性などを記した多年次作業プログラム等
 

(3) 横断的分野での課題

エコシステムアプローチ
エコシステムアプローチの原則等

特定、監視と評価、指標
国レベルでの監視プログラム、指標リストの作成等

外来種
外来種の防止、導入、影響緩和に関する中間原則指針等

植物保全のための世界戦略(ブラジルとコロンビアとの共同提案項目)
この分野に係る情報収集、戦略策定について次回の締約国会議で検討等

世界分類学イニシアティブ(GTI)
GTI推進を目的に事務局を支援するGTI調整メカニズムの設置等
 

(4) 条約実行上の取組

資金及び資金供与の制度
追加的資金の検討、資金供与の制度のレビュー、資金供与の重点分野等

クリアリングハウスメカニズム(CHM:情報交換の仕組み)
CHM戦略計画、非公式助言委員会の目的等

奨励措置
社会、経済、法的側面からの生物多様性に関する奨励措置のあり方を引き続き検討等

条約8(j)(原住民の知識等の尊重)
女性、地域社会の参加の必要性を記した作業プログラム等

教育と普及啓発
UNESCOとの協力関係強化、教育と普及啓発に係る具体的活動の検討等

影響評価、責任と救済
影響評価への利害関係者参加の必要性、責任と救済の継続的検討等

国別報告
第2回目以降の国別報告書様式、提出プロセス、期限等
 

(5) 条約の運用

締約国会議及びSBSTTAの開催間隔(それぞれ2年ごと、毎年)、条約実施のレビューのための会期間会合の開催等
 

(6) 事業計画予算(2001~2002年)

2001~2002年の予算(18,644千米ドル)等
 

(7) 本会議での優先的課題

ドライランドの生物多様性
情報の評価・分析、必要な行動などを記した作業プログラム等

観光を含む持続可能な利用
観光の経済的重要性、観光の生物多様性に対する影響要因についての認識等

遺伝資源のアクセス
専門家パネルの継続実行、アドホック・オープンエンド作業グループの設置等

連絡先
環境庁自然保護局計画課
課 長 :小野寺 浩(6430)
 担 当 :井上 康之(6482)