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2012年09月25日
  • 総合政策

諫早湾干拓事業の潮受堤防の排水門の開門調査に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

環境省は、開門アセス要領(注1)に基づき、諫早湾干拓事業の潮受堤防の排水門の開門調査に係る環境影響評価書について、9月25日付けで農林水産大臣に対し、諫早湾を含む有明海の環境の変化を把握するために実施する環境把握調査の適切な実施及び調査結果の公表等を求める環境大臣意見を提出した。

1.
 環境省は、「諫早湾干拓事業の潮受堤防の排水門の開門調査」(実施者:農林水産省九州農政局)に係る環境影響評価書について、開門アセス要領に基づき、環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成24年9月25日付けで農林水産大臣に対し、別紙1のとおり環境大臣意見を提出した。
2.
 環境把握調査は、開門により有明海の環境にどのような変化や影響が生じるかについて調査を行うものであることから、本意見では、環境変化を的確に把握可能な調査内容となっているかという観点から意見を述べるとともに、開門により生じるおそれのある環境への影響を可能な限り回避・低減し、それが困難な場合には代償措置を講じることにより、環境保全を図る必要があることなどを指摘している。

環境大臣意見の概要

(1)開門に伴う環境変化を把握するための調査について

  • 諫早湾を含む有明海の環境の変化を把握するために実施する環境把握調査については、専門家からの意見を参照の上、開門時の調査について、調査密度、頻度、項目等を記載し、調査計画及び調査結果を整理し公表すること。
  • 環境把握調査の結果から、環境把握調査に調査項目の追加等が必要であると判断された場合は、調査計画を変更するなどの対応に努めること。

(2)調整池の環境負荷の改善について

  • 調整池の汚濁物質が諫早湾へ流出することによる短期的な影響を軽減するため、現在取り組まれている汚濁負荷軽減に係る各種施策を、関係機関と協力・連携して引き続き実施すること。

(3)調整池の生態系について

  • 開門に当たっては、淡水系生物の生息・成育環境が急速に変化しないよう、また、周辺河川等への移動を促進するために必要な措置を講じること。
  • へい死した魚介類は速やかに回収・処分し、悪臭の発生防止に努めること。

(4)渡り鳥などの鳥類について

  • 渡り鳥の生息地となっているヨシ群落が、開門により消滅又は減少することが予測されているため、ヨシ群落をできる限り保全するよう必要な措置を講じること。
  • ナベヅルやマナヅルの渡来地でもあるため、利用環境に変化が生じると予測される場合は必要な措置を講じること。

(5)対策工の実施における環境の保全への配慮について

  • 対策工の実施による環境影響が想定されるため、事前に工事計画を公表するとともに、周辺環境への影響に配慮し、各種環境法令を遵守し実施すること。
  • 深井戸による地下水取水を行う場合は、地盤沈下量測定を行い、地盤沈下の兆候がある場合には、取水を停止する等の必要な措置を講じること。
  • 開門方法によって想定されている護床工の実施に当たっては、底泥拡散防止等の汚濁負荷軽減対策を徹底すること。

(6)予測結果と大きな相違が生じた場合の措置について

  • 評価書に記載された予測結果と環境把握調査の結果を比較して明らかな相違が確認された場合、原因を把握し必要な措置を講じること。

(7)環境把握調査の結果の公表等について

  • 毎年度、環境把握調査の結果を取りまとめ、分析し、開門により生じた有明海の環境の変化を把握し、結果を公表すること。
  • 開門から3~4年後を目途に、当該結果について環境省の意見を求めること。
  • 開門時の調査終了時に、その後に実施する環境把握調査の内容を公表し、環境省の意見を求めること。
3.
 なお、環境大臣意見の取りまとめに当たっては、放送大学の岡田光正教授から意見聴取を行った(別紙2参照)。
注1:
諫早湾干拓事業の潮受堤防の排水門の開門調査に係る環境影響評価の手続き及び項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める要領
参考
○諫早湾干拓事業の概要
位置:
長崎県諫早市、雲仙市
事業者:
国(農林水産省九州農政局)
目的:
かんがい用水が確保された大規模優良農地の造成
高潮、洪水等に対する地域の総合防災機能の強化
内容:
潮受堤防(延長約7km)
農用地647ha、調整池2,600ha等の造成 等
○事業等の経緯
平成4年度
潮受堤防及び排水門工事に着手
平成9年4月
潮受堤防の締切を実施
平成20年4月
事業完了、本格的営農開始
平成21年8月5日~9月4日
方法書の公告及び縦覧
平成23年10月31日~11月30日
準備書の公告及び縦覧
平成24年8月21日
評価書の接受

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8237)
室長   :田中 紀彦 (内6231)
室長補佐:横井三知貴(内6233)
審査官  :柏谷 和久 (内6253)

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