報道発表資料

この記事を印刷
2012年09月24日
  • 総合政策

姫神ウィンドパーク事業等に係る環境影響評価準備書に係る環境省意見の提出について(お知らせ)

 「姫神ウィンドパーク事業」(岩手県盛岡市及び岩手町)、「(仮称)有田風力発電所建設計画」(和歌山県有田市)、「(仮称)沖山風力発電所建設計画」(和歌山県海南市)及び「北能代風力発電事業」(秋田県能代市)の4件の風力発電事業に係る環境影響評価準備書について、9月21日付けで経済産業省資源エネルギー庁に対し、環境影響評価項目の再検討並びに騒音・低周波音及び動植物に関する環境保全措置及び事後調査等を求める環境省意見を提出した。

1.背景

 平成24年10月1日より、風力発電所の設置又は変更の工事の事業が環境影響評価法(平成9年法律第81号。以下「法」という。)の対象事業に追加されることとなっている。
 これに伴い、経済産業省資源エネルギー庁は、これまで自主的に行われてきた環境影響評価手続から法の手続に円滑に移行できるよう、法に準じた手続きを定めた「風力発電事業に係る環境影響評価実施要綱」(平成24年6月6日。以下「実施要綱」という。)を策定し、平成24年9月末までは、実施要綱に基づいて手続を行うよう事業者に指導している。
 今回、経済産業省資源エネルギー庁から、「姫神ウィンドパーク事業」(岩手県盛岡市及び岩手町、エコ・パワー株式会社)、「(仮称)有田風力発電所建設計画」(和歌山県有田市、安藤建設株式会社)、「(仮称)沖山風力発電所建設計画」(和歌山県海南市、安藤建設株式会社)及び「北能代風力発電事業」(秋田県能代市、株式会社システムズ)に係る環境影響評価準備書について、環境省に対して意見照会があった。
 これら4準備書については、実施要綱に基づく環境影響評価準備書として位置付けられるものであり、今後、事業者には、環境省及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業省勧告を踏まえ、実施要綱(平成24年10月1日以降においては法)に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。

2.意見の概要

4事業に共通の意見

(1)
法及び関係法令等に従った環境影響評価書の作成について
  • 環境影響評価書の作成に当たっては、法及び発電所主務省令等関係法令に従い、必要な事項を遺漏なく記載すること。
  • 特に、対象事業の目的及び内容、環境保全措置並びに事後調査については、具体的かつ詳細に記載すること。
発電所主務省令:「発電所の設置又は変更の工事の事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」(平成10年通商産業省令第54号)
(2)
環境影響評価項目の再検討について
  • 当該事業に係る事業特性及び地域特性を適切に整理した上で、環境影響評価項目の選定について再検討すること。
(3)
環境影響評価の予測・評価の結果の再検討について
  • 評価書においては、根拠や経緯を明確にし、科学的・客観的な評価とするよう見直すこと。
(4)
動物及び植物について
  • 動物及び植物に対する環境影響を可能な限り回避・低減する観点から、風力発電設備等の配置方を含めて検討するとともに、鳥類等の衝突に関する予測については、不確実性が大きいことから、事後調査を実施すること。併せて、死亡・傷病個体を適切に確認し、関係機関による原因分析への協力等に努めること。
(5)
事後調査結果の公表
  • 事後調査を実施した場合には、その結果について公表すること。事後調査の結果に応じて、追加的な環境保全措置を実施した場合は、その結果も含めて公表すること。

姫神ウィンドパーク事業に対する意見

(1)
騒音及び低周波音について
  • 風力発電設備の配置等の変更を踏まえ、再度予測及び評価を行うこと。
  • 低周波音については、対策の効果等に不確実性があることから、事後調査や環境保全措置を適切に実施すること。
(2)
動物、植物及び生態系について
  • 土地の改変に伴う影響について、詳細な工事計画の策定により、具体的な土地の改変の位置や規模を明らかにした上で、予測・評価を行うこと。
(3)
景観について
  • 風力発電設備の配置等の変更を踏まえ、再度予測及び評価を行うこと。

(仮称)有田風力発電所建設計画及び(仮称)沖山風力発電所建設計画に対する意見

(1)
対象事業の内容について
  • 本準備書の作成以降に事業位置等を変更しているため、環境影響評価書において変更された事業の内容を基に、調査、予測及び評価の再検討を行うこと。
  • 環境影響評価書作成に当たっては、対象事業実施区域の範囲を明らかとし、この区域を基に、調査、予測及び評価の再検討を行うこと。
(2)
他の風力発電所との複合的な環境影響について
  • 周辺には、複数の既存又は環境影響評価手続中の風力発電所が存在するため、これらとの複合的な環境影響を予測・評価するよう努めること。
(3)
騒音及び低周波音
  • 近傍に多数の住居等が存在することなどから、必要に応じて、風力発電設備等の配置等を含めた環境保全措置について再検討するとともに、環境保全措置による影響の低減効果について定量的に予測、評価すること。
(4)
動物及び植物について
  • 動物及び植物の調査期間並びに調査地点及び経路が限定的であるため、追加調査を実施すること。
(5)
景観について
  • 近傍を通過する近畿自然歩道(熊野古道)は非常に利用者数の多い自然歩道であるため、当該歩道上の適切な地点に、主要な眺望点を設定すること。
(6)
周辺自治体等への意見聴取について
  • 必要に応じて、周辺自治体及び住民等に対する情報提供及び意見聴取を実施し、当該意見を踏まえ、環境影響評価書を作成すること。

北能代風力発電事業に対する意見

(1)
「風車の影」について
  • 「風車の影」については、住居等に対する環境影響が懸念されることから、環境影響評価を実施すること。
(2)
騒音及び低周波音
  • 近傍に多数の住居等が存在することなどから、必要に応じて、風力発電設備等の配置等を含めた環境保全措置について再検討すること。
(3)
動物及び植物について
  • 鳥類以外の動物及び植物については、適切な時期において現地調査を実施すること。渡り鳥等の調査については、不十分である可能性があり、追加調査の必要性について検討すること。

参考

[1]姫神ウィンドパーク事業
・事業者
エコ・パワー株式会社
・計画位置
岩手県盛岡市及び岩手町
・出力
20,000(2,000kW級風力発電機を10基設置)
・運転開始予定
平成29年4月
[2](仮称)有田風力発電所建設計画
・事業者
安藤建設株式会社
・計画位置
和歌山県有田市地内
・出力
28,000kW(2,000kW級風力発電機を14基設置)
・運転開始予定
平成26年9月
[3](仮称)沖山風力発電所建設計画
・事業者
安藤建設株式会社
・計画位置
和歌山県海南市地内
・出力
13,800kW(2,300kW級風力発電機を6基設置)
・運転開始予定
平成26年6月
[4]北能代風力発電事業
・事業者
株式会社システムズ
・計画位置
秋田県能代市
・出力
20,000kW(2,300kW級風力発電機を9基設置)
・運転開始予定
未定
○環境影響評価法への経過措置に係る手続
  • 平成24年6月6日  経済産業省が「風力発電事業に係る環境影響評価実施要綱」を公表
  • 平成24年7月27日 経済産業省への準備書の届出([1]、[2]、[3])
  • 平成24年7月31日 環境省への意見照会([2]、[3])
  • 平成24年7月30日 経済産業省への準備書の届出([4])
  • 平成24年8月6日  環境省への意見照会([1]、[4])
  • 平成24年9月5日  和歌山県知事意見の提出([2]、[3])
  • 平成24年9月6日  岩手県知事意見の提出([1])
  • 平成24年9月10日 秋田県知事意見の提出([4])
  • 平成24年9月21日 環境省意見(総合環境政策局長意見)の提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表:03-3581-3351
 直通:03-5521-8237
 室長   :田中 紀彦 (内6231)
 室長補佐:横井三知貴(内6233)
 審査官  :佐藤 秀憲 (内6253)
 審査官  :中島 治美 (内6248)
 審査官  :渡辺 季洋 (内6248)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。