報道発表資料

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2012年09月13日
  • 総合政策

市浦風力発電事業及び由利高原風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境省意見の提出について(お知らせ)

 市浦風力発電事業及び由利高原風力発電事業の2つの風力発電事業に係る環境影響評価準備書について、9月12日付けで経済産業省資源エネルギー庁に対し、環境影響評価項目の再検討並びに騒音・低周波音及び動植物に関する環境保全措置及び事後調査等を求める環境省意見を提出した。

1.背景

 平成24年10月1日より、風力発電所の設置又は変更の工事の事業が環境影響評価法(平成9年法律第81号。以下「法」という。)の対象事業に追加されることとなっている。
 これに伴い、経済産業省資源エネルギー庁は、これまで自主的に行われてきた環境影響評価手続から法の手続に円滑に移行できるよう、法に準じた手続きを定めた「風力発電事業に係る環境影響評価実施要綱」(平成24年6月6日。以下「実施要綱」という。)を策定し、平成24年9月末までは、実施要綱に基づいて手続を行うよう事業者に指導している。
 今回、経済産業省資源エネルギー庁から、株式会社ユーラスエナジーホールディングスが事業者となる市浦風力発電事業及び由利高原風力発電事業に係る環境影響評価準備書について、環境省に対して意見照会があった。
 これら2準備書については、実施要綱に基づく環境影響評価準備書として位置付けられるものであり、今後、事業者には、環境省及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業省勧告を踏まえ、実施要綱(平成24年10月1日以降においては法)に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。

2.意見の概要

2事業に共通の意見

(1)法及び関係法令等に従った環境影響評価書の作成について
環境影響評価書の作成に当たっては、法及び発電所主務省令※等関係法令に従い、必要な事項を遺漏なく記載すること。
特に、対象事業の目的及び内容、環境保全措置並びに事後調査については、具体的かつ詳細に記載すること。

※発電所主務省令:「発電所の設置又は変更の工事の事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」(平成10年通商産業省令第54号)

(2)環境影響評価項目の再検討について
当該事業に係る事業特性及び地域特性を適切に整理した上で、環境影響評価項目の選定について再検討すること。
(3)環境影響評価の予測・評価の結果の再検討について
評価の軸は、「環境への影響が実行可能な範囲でできる限り回避・低減されているかどうか」であるべき。また、予測・評価を行うのに十分な調査が行われていないにも関わらず、全体としては「影響がない又は極めて小さい」と結論付けるなど、調査結果と乖離が見られる。
評価書においては、根拠や経緯を明確にし、科学的・客観的な評価とするよう見直すこと。
(4)動物及び植物について
動物及び植物の調査が四季を通じて実施されていないことから、評価書の作成に当たっては、適切な時期において追加調査を実施すること。
動物及び植物に対する環境影響を可能な限り回避・低減する観点から、風力発電設備等の配置等を含めて検討するとともに、鳥類等の衝突に関する予測については不確実性が大きいことから、事後調査を実施すること。併せて、死亡・傷病個体を適切に確認し、関係機関による原因分析への協力等に努めること。
(5)事後調査結果の公表
事後調査を実施した場合には、その結果について公表すること。また、事後調査の結果に応じて、追加的な環境保全措置を実施した場合は、その結果も含めて公表すること。

市浦風力発電事業に対する意見

(1)環境影響評価項目の再検討について
「低周波音」及び「風車の影」については、風力発電設備から最近接の住居までの距離が約380m であり、当該住居等に対する環境影響が懸念されることから、評価項目として選定し、重点的な環境影響評価の実施を検討すること。
(2)騒音及び低周波音について
対象事業実施区域及びその周辺の住居等の状況を踏まえ、桂川の集落等を騒音の調査及び予測地点に追加すること。低周波音の環境影響評価の実施に当たっても考慮すること。
住居等までに距離が短いことなどから、風力発電設備等の配置等を含めた環境保全措置について再検討するとともに、事業者が講ずる環境保全措置による低減効果について評価書に記載すること。
騒音及び低周波音の事後調査の実施及び事後調査の結果を踏まえて検討すべき環境保全措置について可能な限り具体的に評価書に記載すること。
(3)周辺自治体等への意見聴取について
風力発電施設からの景観、希少野生動物等への影響については、立地する自治体のみならず、広範な範囲において影響が及ぶおそれがあることから、必要に応じて五所川原市周辺の自治体及び住民等に対する情報提供及び意見聴取を実施し、当該意見を踏まえ、評価書を作成すること。

由利高原風力発電事業に対する意見

(1)環境影響評価項目の再検討について
工事の実施を影響要因とする項目の選定に当たっては、生態系への影響、廃棄物等による影響について十分に検討すること。
(2)騒音及び低周波音について
対象事業実施区域及びその周辺の住居等の状況を踏まえ、調査及び予測地点に追加すること。
風車を4基削減した効果について、可能な限り定量的に予測・評価を行うこと。
低周波音について「参照値」を用いた評価を行っているが、参照値は環境目標値ではない。現況からの増分等を用いて適切に評価を行うこと。
低周波音については対策の効果等に不確実性があることから、事後調査や環境保全措置を適切に実施すること。

【参考】

市浦風力発電事業

・事業者
株式会社ユーラスエナジーホールディングス
・計画位置
青森県五所川原市岩井牧場及び実取牧場周辺地域
・出力
34,000~51,000kW(2,000~3,000kW級風力発電機を17基設置)
・運転開始予定
平成28年6~7月

由利高原風力発電事業

・事業者
株式会社ユーラスエナジーホールディングス
・計画位置
秋田県由利本荘市子吉、西由利原、西目地区周辺
・出力
51,000kW(3,000kW級風力発電機を17基設置)
・運転開始予定
平成28年1~2月

環境影響評価法への経過措置に係る手続

・平成24年6月6日
経済産業省が「風力発電事業に係る環境影響評価実施要綱」を公表
・平成24年7月13日
経済産業省への準備書の届出
・平成24年7月20日
環境省への意見照会
・平成24年8月24日
秋田県知事意見の提出(由利高原風力発電事業)
・平成24年8月24日
青森県知事意見の提出(市浦風力発電事業)
・平成24年9月12日
環境省意見(総合環境政策局長意見)の提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8237)
室長   :田中 紀彦 (内6231)
室長補佐:上田 健二 (内6233)
審査官  :佐藤 秀憲 (内6232)
審査官  :田中 貘  (内6232)

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