報道発表資料

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1997年01月16日

第5回自然環境保全基礎調査平成9年度「身近な生きもの調査」参加者募集について

第5回自然環境保全基礎調査の一環として平成7年度から実施している「身近な生きもの調査」の平成9年度調査の参加者を募集する。
 この調査は、広く自然愛好家の参加を得て、「環境指標生物」となる身近な動植物の分布や生態を調べ、国土や身近な自然の状況を診断しようというものである。
 平成7年度の「セミ」の調査、平成8年度の「ひっつきむし」の調査に引き続き、「ツバメ類の巣」を対象に、証拠収集型の調査を行う。前2回の調査では、調査参加者から調査票と「同定の根拠となる証拠(セミのぬけがら、ひっつきむし)」を送付してもらい、そのチェックにより調査精度の向上を図ったが、今回の調査では、直接標本を集めることは適当でないので、調査票に「ツバメの種類が確認できる巣の写真」を貼りつけて送付してもらう。ツバメ類は種によってその営巣環境が過違うので、去の調査との比較により種毎の分布の変化を知ることにより、都市化の影響等を知ることができ、身近な自然環境の診断が可能となる。
 なお今回も、NTTの協力により、調査案内のテレフォンサービスとインターネットでの参加呼びかけや、Faxによる参加申込みカードの取出しサービス等を行い、参加者への便宜を図るほか、「緑の国勢調査」の情報提供のため、マルチメディア(Fax通信、インターネット、パソコン通信)を用いた"緑の便り"の発行を継続する。                  
1.調査概要
 ツバメ類は、人家や商店の軒先、駅、役場、アーケード、歩道橋など、我々の身近な場所に巣を作る野鳥である。
 本調査は、国民の幅広い参加を得て、「ツバメの巣」の分布状況やその営巣環境を把握しようとするものである。具体的には、1 夏にツバメ類が人工的な建造物に巣を作っているところを見つけ、その場所の様子や巣や鳥の状態等を継続的に観察して調査票に記入する。そして、2 観察の証拠として巣の状態のわかる写真を撮って、調査票に張り付け環境庁に送付する。3 提出された調査票と写真については、専門家による同定(種類の確認)を行ったうえで集計・分析し、調査結果を取りまとめ公表する。
 ツバメの巣の分布と営巣環境を知ることにより、過去の調査との比較による分布の変化や、種の違いによる営巣場所の比較等を行うことができ、併せて都市化等の影響がツバメの巣の分布状況にどう現れているかなども知ることができる。

2.調査の内容
(1)調査対象種
 ツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ、ヒメアマツバメ、リュウキュウツバメの5種
 (ショウドウツバメは対象にしない。)

(2)調査の方法
1 身近な場所で巣を作っているツバメ類の巣を探し、その営巣環境や巣の様子等を定期的に観察する。
2 観察した結果を調査票に記入して、巣の写真を貼り付けて、環境庁に送付する。
       〆切  平成9年8月31日
3 調査票については環境庁が専門家の協力を得て種名を確認し、集計・分析を行う。
  なお、希望者には同定結果をお知らせする。
(3)調査参加者
 本調査は、小さな子供からお年寄りまで、広範な国民一般のボランティアの参加を得て実施することとしており、調査参加の特別な要件はない。
 また、参加形態も個人参加、団体参加を問わず、家族単位でも参加できる。 
(4)調査結果
 ツバメの種類ごとに全国の分布や営巣環境等を分析し、取りまとめ公表するとともに、調査参加者に配布する。調査により、ツバメの巣毎の分布状況の変化や、変化に与えた都市化の影響など、身近な自然の様子を探ることができると考えられる。
(5)調査の目的 
1 分布の変化
  第2回緑の国勢調査(専門家調査)等との比較により、分布の変化の傾向を確認する。
  ◆ ツバメ、コシアカツバメ   減少傾向          ◆
  ◆ イワツバメとヒメアマツバメ 増加傾向 といわれている。 ◆
2 種による営巣場所の比較
  地域により営巣場所に違いがあるかどうかの全国レベルでのデータを得る。
  ◆ ツバメ、コシアカツバメ  団地などに営巣する例が多い  ◆
  ◆ イワツバメ        橋桁に営巣する例が多い    ◆
3 ツバメ類の繁殖の阻害要因を探る
  聞き取りや観察を通して、途中で繁殖が失敗するケースについての情報を集める
  ◆ 巣が落ちてしまう、カラスの襲撃 など ◆
  ◆ 要因に地域性があるかどうか      ◆
4 ツバメ類に対する人々の気持ちを探る
  巣のある家での聞き取りを通して、ツバメの営巣が現代社会でどの様に受け止められているかを知る 
5 ツバメ類の分布の変化と自然環境の変化の関連を知る
  ツバメが営巣し、繁殖生活を送るには、巣を作る場所、巣材となる泥の採集地、虫の多い採餌地が必要。
  都市化の影響がツバメの分布にどの様な影響を与えているかを分析する。

3.調査期間 平成9年5月から8月4.調査への参加申込方法
1 次の方法により案内パンフレットと申込カードを入手する。
  a.官製ハガキで環境庁まで申し込む。
 (「身近な生きもの調査案内希望」と書き、住所、氏名、電話番号を明記のこと。)

     申込先
     〒100  東京都千代田区霞が関1-2-2
           環境庁 自然環境調査室
  b.Faxによる取出し。 (NTT World Nature Network 自然とマルチメディア)
     Fax番号  03-5353-7460(情報番号4300#)
  なお、平成7年度のセミ調査及び平成8年度のひっつきむし調査の参加者には、案内パンフレットと申込みカードを直接送付する。(団体で参加した場合は、代表者に送付する。)
2 入手した「申込カード」に所要事項を記入して、環境庁自然環境調査室まで送付する。
       申込〆切  平成9年4月30日

  ※「調査の手引き」等の送付のための郵送代について
   「調査の手引き」等の郵送代については申込者に負担をお願いする。

   個人参加の場合、申込カードを送付するときに、190円分の郵便切手を同封をお願いする。団体参加の場合は、必要部数により送料が異なる。
3 参加申込者には、原則として4月以降に環境庁から「調査の手引き」と「調査票」を送付する。
 

4.調査の流れ
       参加者                環境庁
        |                 |
     ┌――┴―――┐             |
     |申込みハガキ├――――――――――――→|
     └――┬―――┘             |
        | ・申込カード等はFaxによる  |
        |  取出もできる。        |
        | ・平成7・8年度調査参加者には |
        |  申込カード等を直接送付┌―――┴―――――――┐
        |             |1 申込カード     |
        |←――――――――――――┤2 調査案内パンフレット|
        |             |3 申込用封筒     |
     ┌――┴―――┐         └―――┬―――――――┘
     | カード記入 |             |
     └――┬―――┘             |
    ┌―――┴――――┐            |
    |申込カード送付 ├―――――――――――→|
    |(返信用切手同封)|(〆切:平成8年4月30日) |調査参加者登録
    └―――┬――――┘         ┌――┴―――――┐
        |              |1 調査票    |
        |←―――――――――――――┤2 調査の手引き |
        |       4月中     |     の送付|
    ┌―――┴――――┐         └――┬―――――┘
    |  調査     |            |
    └―――┬――――┘            |
    ┌―――┴――――┐            |
    | 調査票提出  ├―――――――――――→|
    |(巣の写真を貼付)|(〆切:平成9年8月31日) |
    └―――┬――――┘            |
        |             ┌―――┴――――――┐
        |             |専門家によるチェック|
        |             |集計・分析     |
        |             └―――┬――――――┘
        |              ┌――┴―――┐
        |              | 報告書作成 |
        |              └――┬―――┘
        |             ┌―――┴――――――┐
        |             |・公表       |
        |←――――――――――――┤・調査参加者への送付|
        |             └――――――――――┘


5.マルチメディアによる参加希望者への情報提供サービス
 前回と同様、NTTの協力により、本調査の参加申込要領の案内を行う。
1 テレフォンサービス
 03-5353-7440
2 インターネット
 http://www.wnn.or.jp/wnn-w/
  (NTT World Nature Network 自然とマルチメディア)

6."緑の便り"の発行
 身近な生きもの調査をはじめ「緑の国勢調査」に関する情報を参加者等に提供するため、マルチメディアを用いて「緑の便り」を平成8年7月から発行し、2ヶ月に1回程度情報を更新している。
 緑の便り第4号は、次の内容で1月20日から提供する。
   ツバメの巣調査参加者募集
   ひっつきむし調査参加者からのお便り紹介
   植生調査報告書(全国版)の市販

アクセス方法
1 Fax通信(NTT World Nature Network 自然とマルチメディア)
  Fax番号  03-5353-7460(情報番号4301#)
2 インターネット(NTT World Nature Network 自然とマルチメディア
  http://www.wnn.or.jp/wnn-w/

【参考資料】
(引用文献)
  (財)日本野鳥の会 野外観察ハンドブック1  山野の鳥

*参考資料は割愛。

連絡先
環境庁自然保護局自然環境調査室
室長  黒田大三郎(内線6480)
 専門官 小荒井 衛(内線6438)
 担当  中島 慶次(内線6439)
 直通  3591-3228