報道発表資料
3月12日(月)~17日(土)にかけてマルセイユ(フランス)で開催された第6回世界水フォーラムにおいて、環境省は「水と気候変動適応に関する高級円卓会議」に参加するとともに、(財)地球環境戦略研究機関がサイドイベント「持続可能な未来に向けた水環境パートナーシップ」を開催しました。
同サイドイベントでは、「アジア水環境パートナーシップ(WEPA)※」参加各国の水環境とその管理に関する最新の基礎情報や、共通する優先課題「生活排水対策」「気候変動と水環境」に関するWEPAでの討議内容、共有された情報をまとめた「WEPA水環境管理アウトルック2012」を発表しました。
1.第6回世界水フォーラムについて
「世界水フォーラム」は、世界の重大な水問題について討議するために開催される、水に関する世界最大級の国際会議(世界水会議(国際NGO)と主催国政府の共催)です。3年に1度、3月22日の「世界水の日」の時期に合わせて1週間程度開催され、これまでマラケシュ(モロッコ、1997年)、ハーグ(オランダ、2000年)、京都(日本、2003年)、メキシコシティ(メキシコ、2006年)、イスタンブール(トルコ、2009年)で開催されたのに続き、今回で6回目の開催となりました。
今回の世界水フォーラムは、[1]12の優先課題と3つの成功条件ごとのテーマプロセス、[2]4つの地域と2つの大陸横断的地域(地中海、アラブ)からなる地域プロセス、[3]閣僚や国会議員、地方自治体のそれぞれの代表が議論する政治プロセス、[4]草の根・市民参加プロセスの4種類のプロセスで構成されたほか、同会場では多数のサイドイベントや各国政府・国際機関や民間企業が出展するエキジビジョンが開催され、各国政府・企業・学識者・NGO・国際機関等、世界100ヶ国以上の国・地域からの参加者が来場しました。
2.第6回世界水フォーラムにおける環境省の取組
- (1)
- 閣僚プロセス「水と気候変動適応に関する高級円卓会議」
- 日時:
- 平成24年3月13日(火)8:30~12:30
- 主催:
- ヨルダン水・灌漑省、メキシコ国家水会議、ポルトガル農業・海洋・環境省
- 出席者:
- 約10カ国からの閣僚を含めた各国政府関係者及び国際機関から計約50名
- 環境省からの出席者:
- 鷺坂水・大気環境局長
- 結果概要:
- 各国から次のような意見が述べられました。
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- 今後気候変動適応策を主流化させるため、各国関係省庁間や国際、地域レベルにおける水に関するガバナンスの改善が重要。
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- 気候変動に適応するためには水管理の改善が重要であり、民間セクターをそのような取組に参画させるための適切な枠組みを構築する政策が必要。
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- 気候変動が水資源に与える影響は多大かつ多様であり、その影響予測に不確実性を伴わざるを得ないが、それを理由に水関連セクターに関する適応策への投資を怠ってはならない。
- また、本会合の成果は国際連合枠組条約(UNFCCC)やリオ+20などの既存のプロセスに、その進捗については次回第7回世界水フォーラムに報告されることとなりました。
- (2)
- WEPAサイドイベント「持続可能な未来に向けた水環境パートナーシップ」
- 日時:
- 平成24年3月14日(水)13:15~14:15
- 主催:
- 環境省、(財)地球環境戦略研究機関
- プログラム
- (議長:岡田光正 中央環境審議会水環境部会長)
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- 開会挨拶(環境省水・大気環境局長 鷺坂 長美)
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- 基調講演(中央環境審議会会長 鈴木 基之)
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- WEPA水環境管理アウトルックの発表((財)地球環境戦略研究機関)
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- アジアにおける水環境改善への挑戦(ラオス天然資源環境省流域委員会事務局)
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- WEPAの活動への期待(UNESCO国際水文プログラム(IHP)水科学プログラム)
- 結果概要:
- WEPAパートナー各国の水環境及びその管理に関する最新の基礎情報や、共通する優先課題「生活排水対策」、「気候変動と水環境」に関する情報をまとめた「WEPA水環境管理アウトルック(別紙概要版参照)」を発表しました。
(ウェブサイト:http://www.wepa-db.net/からダウンロード可能)
同イベントでは、鈴木基之中央環境審議会会長からの基調講演に続いて、WEPAパートナー国や関連国際機関等からのアジアの水環境の現状と課題に関する発表を踏まえた意見交換を通じ、環境省及びWEPAのアジアを中心とした水環境保全の推進に関する取組への今後のコミットメントを表明しました。会場からは、アジアのみならず、このようなネットワークが他地域に展開することに対する期待が表明されました。 - (3)
- テーマセッションへの参加
- ターゲット3.1.3(栄養塩の流入と汚染の削減)に関するセッション内でのパネルディスカッションのパネラーの一人として鈴木中央環境審議会会長が、またターゲット1.2.7(国・地球レベルでの適切な排水処理施設の定期的なモニタリング)に関するセッションの基調講演者として岡田中央環境審議会水環境部会長が参加し、それぞれWEPAの活動の継続を通じた各ターゲットへの貢献について発言しました。
- (4)
- 水エキスポ「日本パビリオン」への出展
- 開催期間を通じて設置された「日本パビリオン」内にブースを出展し、WEPAの活動状況や国内における水環境保全への取り組みに関するポスターの展示、環境省関連のパンフレット(水環境保全、気候変動適応、浄化槽の普及など)を配布しました。
参考:第6回世界水フォーラムにおける環境省の取組の様子
(1)高級円卓会合で発言する鷺坂水・大気環境局
(2)WEPAサイドイベントの様子
(4)日本パビリオン内の環境省ブース
- ※アジア水環境パートナーシップ(WEPA: Water Environment Partnership in Asia)
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- 「アジア水環境パートナーシップ(WEPA)」は、第3回世界水フォーラム閣僚級国際会議の成果として、各国の自発的な水問題解決への行動をまとめた「水行動集」に、環境省が登録した施策の一つ
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- アジアモンスーン地域の水質汚濁問題の解決を目指して、関係各国が水環境に関する政策、技術等の情報を共有し、先進的な事例を相互に学ぶことを通じ、各国の水環境管理体制の向上と担当行政官の能力向上を同時に図るプログラム
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- パートナー国(13ヶ国):カンボジア、中国、インドネシア、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、日本
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- これまで、政策情報、水環境保全技術、市民活動情報、情報源の4つの分野で構成されるWEPAデータベース(http://www.wepa-db.net/)を構築するとともに、蓄積した情報や人的ネットワークを活用し、各国の水環境問題の解決に貢献している
(別紙)
「WEPA水環境管理アウトルック2012」について
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- WEPAパートナー各国の水環境とその管理に関する最新の基礎情報、優先課題「生活排水対策」「気候変動と水環境」に関するWEPAでの討議や知識共有の結果などをまとめたWEPAの主要な出版物
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- 原則として3年に1回、世界水フォーラムの時期に合わせて作成・公表
- ・
- 同文書の概要版は別添のとおり。またその構成は下記のとおり
(ウェブサイト:http://www.wepa-db.net/からもダウンロード可能です)
プログラム
序 章 WEPAからのメッセージ
- 第1章 WEPAパートナー国の水環境管理の概観
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- 背景
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- WEPAパートナー各国の水環境管理枠組みの概要
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- 最近の動向と課題
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- WEPAパートナー国の共通課題
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- 将来のWEPAの活動
WEPA水環境管理アウトルック2012
- 第2章 優先課題に関する議論と考察
- 2.1
- アジアにおける生活排水処理
- 2.2
- 気候変動と水環境
- 第3章 WEPAパートナー各国の
水環境管理に関する基礎情報 - 3.1
- カンボジア
- 3.2
- 中国
- 3.3
- インドネシア
- 3.4
- 日本
- 3.5
- 韓国
- 3.6
- ラオス
- 3.7
- マレーシア
- 3.8
- ミャンマー
- 3.9
- ネパール
- 3.10
- フィリピン
- 3.11
- スリランカ
- 3.12
- タイ
- 3.13
- ベトナム
添付資料
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局水環境課
直通 :03-5521-8312
代表 :03-3581-3351
課長 :吉田 延雄(内線6610)
課長補佐:若公 崇敏(内線6618)
係長 :大山 修(内線6624)