報道発表資料

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1997年01月13日

ナホトカ号重油流出による被害鳥の放鳥について

ナホトカ号から重油流出による被害鳥については、これまで石川、福井、京都、鳥取、島根各府県において保護収容、治療してきたところであるが、今般、石川、福井両県で保護されたもののうち一部が放鳥できる状態に回復した。
 しかし、石川、福井両県周辺の海域には油の漂流があり、放鳥に適さないため、北海道へ移送し放鳥することとなった。
 今回の放鳥は、全日空、(財)日本野鳥の会、野生動物救護獣医師協会、北海道庁、北海道の地元関係者の協力を得て実施する運びとなったもの。
1 放鳥の方法
 ・小松空港から全日空の協力を得て千歳空港へ移送
 ・千歳空港から北海道苫小牧市の勇払海岸へ移送し放鳥の予定

2 放鳥の日程:1月14日
 ・石川、福井両県が小松空港に移送
  10:25 小松空港発(全日空381便)
  11:55 新千歳空港着(日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリー職員、
        地元獣医師、北海道庁等により移送)
        勇払海岸で放鳥予定(時刻は未定)

 ・放鳥する鳥  石川県保護分 ウミスズメ 35羽
           福井県保護分 ウミスズメ 8羽、アカエリカイツブリ 5羽
                 ミツユビカモメ、オオハム、ウトウ 各1羽
                       計16羽

3 北海道苫小牧市勇払海岸を放鳥場所に決定した理由
 (1)油汚染の可能性のない場所である
 (2)同種の個体が越冬している。餌条件、社会性(群れに入れる)
 (3)苫小牧は太平洋に面しており、日本海側より風も弱く穏やかである
 (4)秋の渡りの時期は過ぎており、大きく南下する可能性は低い
 (5)日本野鳥の会との連携が可能であり、受け入れ体制を確保できる
 (6)小松空港からの空輸が可能である



(財)日本野鳥の会資料

 ナホトカ号の重油流出事故により、ウミスズメ類やウトウといった海鳥が被害を受けているが、石川県、福井県の救護施設で処置を受けて回復した鳥を放鳥するため、全日空の全面的な協力で北海道への空輸が実現することになった。
 13日(月)午後、日本野鳥の会(会長:黒田長久)が、環境庁、石川県、福井県、野生動物救護獣医師協会(会長:野口泰三)、日本野鳥の会の石川、福井の両県支部及び地元関係者との協議を経て全日空と交渉し、快諾を得たものである。
 第1便は14日の10:25小松空港発、11:55千歳空港着。千歳空港には日本野鳥の会のウトナイ湖サンクチュアリのレンジャーをはじめ、北海道庁、獣医師、日本野鳥の会苫小牧支部、野生動物救護研究会らが待機し、勇払海岸に放鳥の予定。
 放鳥場所は、海鳥の専門家にアドバイスを受け、勇払海岸が適当と判断された。その理由は以下の通り。

・油汚染の可能性がない。
・同種の個体が越冬している。餌条件、社会性(群に入ることができる)
・太平洋に面しており、日本海側よりも風が弱く穏やかである。
・秋の渡りの時期は過ぎており、大きく南下する可能性は低い。
・日本野鳥の会との連携が可能であり、受け入れ体制を確保できる。
・小松空港からの空輸が可能である。

 全日空は、これ以降重油汚染の被害状況を見ながら長期的に対応する意向で、多くの関係者に歓迎されている。

 放鳥が予想される海鳥
  ウミスズメ:環境庁レッドデータブック希少種
  アカエリカイツブリ、ウトウ、アビ、オオハム

-連絡先-
ウトナイ湖サンクチュアリ:tel&fax 0144-58-2505
日本野鳥の会保護・調査センター:tel 03-3463-8997 fax 03-3463-8844
(担当:古南、上原)

連絡先
環境庁自然保護局野生生物課
課長 小林  光(6460)
 鳥獣保護業務室
 室長 守口 典行(6470)
 担当 吉井、水谷(6472)