大規模出生コホート調査に関する国際作業グループについて（お知らせ）

１．日時及び場所

平成２３年９月１７日（土）９：００～１８：００
バルセロナ（スペイン）

２．主催及び参加者

主催：

世界保健機関（ＷＨＯ）

後援：

我が国環境省、全米子ども調査事務局、ドイツ環境・自然保護・核安全省

参加者：

上記の他、各国の大規模コホート調査担当官・研究者約５０名

３．経緯及び目的

　環境省では、環境が子どもの健康に与える影響を明らかにするため、平成２３年１月より、１０万人の妊婦に参加を呼びかけ、出生児が１３歳になるまで追跡する大規模かつ長期のコホート調査「子どもの健康と環境に関する全国調査（エコチル調査）」を実施しています。
　米国においても、同様に１０万組の親子を対象とした「全米子ども調査」が計画され、本格的な実施に向けて予備調査が進められており、欧州諸国でも同様の大規模調査が計画されています。こうした調査に関する国際連携・協力を進めるため、環境省では、平成２３年２月、東京に国際機関・各国調査の専門家を招き、エコチル調査国際連携会議・シンポジウムを開催しました。この連携会議において、大規模出生コホート調査に関する国際作業グループの設置が提言されたことを受け、世界保健機関（ＷＨＯ）と日米独の調査担当機関の呼びかけにより、９月１７日、スペイン・バルセロナで第一回会合が開催（※）されました。

（※）

９月１３～１６日にバルセロナで開催された国際環境疫学学会の機会を活用して開催したもの。

４．プログラム

（１）

日本、ドイツ、米国における出生コホート調査の内容・進捗状況報告

（２）

出生コホートにおける調査手法の標準化、データの相互利用に関する意見交換

（３）

国際作業グループの活動方針

５．会合の結果

○

今回は第一回会合であるため、各国の出生コホート調査の進捗状況に関する情報交換や、国際連携に関する意見交換に主眼が置かれました。

○

今回プレゼンテーションがあった日米独のほかにも、イギリスや中国など、大規模な出生コホート調査が計画されていることが紹介され、将来的に各国調査のデータを結合して大規模な解析を行ったり、それらの比較を行うことの重要性が確認されました。

○

そのためにも、早い段階から健康状況の把握の方法や化学物質の測定手法等の共通化・標準化について議論しておくことが必要であるとされました。調査の項目と内容について、純粋に公衆衛生学的な観点からは多くの期待や意見があるものの、まずは、比較的単純比較が可能なもの（出生体重など）、病理所見や形態学的所見あるいはバイオマーカーなどから専門医による診断がなされるもの（先天異常の一部など）、大規模な疫学調査のために国際的に標準化された質問票が存在するもの（アレルギー疾患など）、標準的な手法が未確立なためデータ比較手法をさらに検討すべきもの（精神発達評価の一部など）などに分類・列挙した上で、データ結合等の意義や実行可能性等について引き続き議論していくことが合意されました。

○

なお、罹患率は低いが診断・判断の基準が明確な疾患については、こうした各国の協調の下でのデータの結合によって、新たな知見が得られるのではないかとの期待が寄せられました。

○

第二回会合は１０月２５日に米国・ボルチモアで開催され、その後、１２月上旬にドイツ、平成２４年２月下旬に日本でも会合が開催されることが合意されました。

＜エコチル調査ホームページ＞

https://www.env.go.jp/chemi/ceh/
https://www.env.go.jp/en/chemi/hs/jecs/（英語版）