報道発表資料

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2000年09月21日

皇居外苑濠魚類相調査について

平成10年度及び平成11年度に実施した皇居外苑濠魚類相調査の結果近年、ブルーギル等の外来種が急速に増加し、いくつかの濠においては在来のジュズカケハゼ等が圧迫され、本来の魚類相の保全が難しい状況となっていることが明らかになった。
 このような状況を踏まえ、昨年度に引き続き魚類の生息状況調査を行い、皇居外苑濠本来の魚類相の保全と回復(再生)の方向を探るための基礎資料を収集しようとするものである。
目的
 皇居外苑濠は、皇居の周囲を取り囲む13の濠から構成され、皇居の美観を保持するうえで極めて重要な役割を担っている。また、魚類、水生昆虫、水鳥などの生物の生息場としても、都心の生物多様性の保全上重要な空間である。
 しかし、定期的に行っている魚類相調査の結果、近年、ブルーギル等の移入種の急速な増加によって在来種が圧迫されており、レッドデータリストに記載されている希少な地域個体群であるジュズカケハゼを含む本来の魚類相の保全(江戸時代からの歴史的自然の保全)が難しい状況となっている。
 このような状況を踏まえ、昨年度に引き続き魚類の生息状況調査を行い、皇居外苑濠本来の魚類相の保全と回復(再生)の方向を探るための基礎資料を収集しようとするものである。

調査年月日
 平成12年9月25日(月)~29日(金)
 (詳細は別紙のとおり。ただし、天候によっては日程変更もあり得る)

調査実施主体
 皇居外苑管理事務所

調査方法
 調査船からの投網(とあみ)を用いた捕獲による。

捕獲魚の処理・処分
 在来種については、種類、個体数を記録し、その場で放流する。
 移入種(ブルーギル、オオクチバス、ソウギョ、ハクレン等)については、陸揚げ後、種類、個体数、体長を記録し、処分する。

その他
 撮影、取材等は自由とする。(ただし、調査船への同乗については、定員に余裕がないため不可)

参考 「ブルーギル等の移入の実態(過年度の調査結果)」
 皇居外苑濠の魚類相調査については、昭和50年度~平成5年度までは概ね10年毎に、それ以降は5年毎に実施してきた。
 昭和50年度の調査ではオオクチバスの生息が、昭和59年度の調査ではブルーギルの生息が確認されているが、その捕獲割合は約2割以下であった。しかし、平成10年度の調査では、13濠中の8濠においてブルーギルの移入が確認され、その捕獲割合も約8割(8濠の平均)を占めるなど、移入種の急速な増加が目立っていた。
 このため、平成11年度に移入種の生息状況のフォローアップ調査を実施したところ、ブルーギルの捕獲割合は89%(平均)にのぼっており、対照的に在来種のモツゴの捕獲割合は8%(平均)であった。
 なお、とりわけ清水濠では、平成10年度調査の捕獲割合と比較すると、ブルーギルが16%から72%に増加し、在来種のモツゴは80%から26%に激減するなど、在来種が圧迫されている傾向が顕著であった。

お濠で見られる魚類
ワカサギ、タモロコ、モツゴ、ソウギョ、ハクレン、キンブナ、ギンブナ、ゲンゴロウブナ、コイ、ナマズ、カムルチー、オオクチバス、ブルーギル、ヨシノボリ、ヌマチチブ、ジュズカケハゼ、ウキゴリ

添付資料

連絡先
環境庁自然保護局企画調整課
国民公園専門官 :木村 英雄(内線6425)
皇居外苑管理事務所
 所        長 :城所   一男
 次        長 :東海林 克彦
  (Tel.3213-0095)