報道発表資料

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2011年07月15日
  • 総合政策

中央新幹線(東京都・名古屋市間)計画段階環境配慮書に対する環境省意見の提出について(お知らせ)

 中央新幹線については、建設主体のJR東海が、改正アセス法の趣旨を踏まえ、計画段階環境配慮書を作成・公表した。本配慮書に対し、国土交通省鉄道局より環境の保全の見地からの意見を求められたため、本日付けで環境省意見を述べた。

1.中央新幹線小委員会における検討経緯と環境配慮書

 中央新幹線については、昨年3月から国土交通省の交通政策審議会 陸上交通分科会 鉄道部会 中央新幹線小委員会において検討され、本年5月に答申がとりまとめられ、営業主体及び建設主体の指名、並びに整備計画の決定が行われた。
 中央新幹線の建設主体として指名されたJR東海は、本年4月に改正された環境影響評価法の趣旨を踏まえ、計画段階環境配慮書を作成し、長野県内を除いて概略ルートを公表し、6月7日~7月7日までの1か月間意見募集を実施したところ。

2.環境省意見について

 環境影響評価法においては、事業の位置・規模等を検討する早期段階から環境配慮を行う戦略的環境アセスメントが本年4月の法改正により導入され、衆・参各院の附帯決議において、改正法の施行前に環境影響評価が行われる事業についても、事業のより早期の段階から適切な環境配慮がなされるよう指導されるべき旨が示された。
 中央新幹線小委員会の答申(案)対して提出した環境省意見において、幅20~25kmのルート帯から事業者が路線位置の絞り込みを行う際に、概ねの路線案を複数設定するか、複数案の設定が困難である場合はルート帯をより狭めた形で概ねの路線案を設定することにより、配慮書手続を行うよう求めており、当該意見及び改正法の趣旨を踏まえ、JR東海により計画段階配慮書が作成され、ルート幅を約3kmに絞り込んだ概略ルートとともに公表された。
 当該配慮書について国土交通省鉄道局より環境の保全の見地からの意見を求められたため、概略ルート周辺の回避すべき環境要素について留意事項を示す別紙の意見を述べたところである。

〔環境省意見の概要〕

路線の位置等を選定する際の配慮事項について

 環境の保全上特に重要と考えられる以下の地域については、路線位置の選定の際に回避することを検討し、回避が困難な場合は環境に配慮した地下構造形式とし、可能な限り付帯施設の設置も避けるなど、特に配慮する必要がある。

[1]
南アルプス国立公園、丹沢大山国定公園、飛騨木曽川国定公園、愛知高原国定公園
[2]
日本の重要湿地500として選定されている沖ノ洞・上ノ洞、大湫、前沢湿地
[3]
南アルプス国立公園の拡張候補地として検討されている地域
[4]
愛知高原国定公園の拡張候補地として検討されている地域
方法書以降の手続における配慮事項について
路線の位置だけでなく、トンネルの立坑・斜坑、工事用道路、土捨場、車両基地などの付帯施設も位置・規模等を明らかにする必要がある。付帯施設の位置等の明示が困難な場合、事後調査により影響を確認する必要がある。
自然環境について、希少動植物の生息・生育地、自然公園や自然環境保全地域も多数存在するため、十分な調査を実施し、影響を回避・低減する必要がある。
騒音・振動・微気圧波について、特にトンネルの坑口において微気圧波が発生する懸念があるため、市街地や人家への影響を回避・低減する必要がある。
地下水について、トンネル工事等により地下水の流出が想定されるため、水源の位置及び使用状況等を十分把握し、地質・水文学的シミュレーションなどの定量的な予測を行うとともに、事後調査により影響を確認する必要がある。
磁界による影響について、国際的な知見の集積を踏まえつつ、用地境界で基準値以下となるように確保すべき土地の範囲等を定める必要がある。
トンネル掘削等による土砂が大量に発生し、大規模な土捨場の設置も想定される。自然由来の重金属等を含む土砂の発生や、シールド工事により発生する建設汚泥の最終処分場の設置も考えられるため、掘削土等の影響を検討する必要がある。
長野県内の計画段階における環境配慮の実施について

 概略ルートが公表されなかった長野県内については、ルートを絞り込んだ際の検討経緯や回避された環境影響等を説明するとともに、今後、路線位置を選定する際に配慮すべき環境要素を示す必要がある。なお、複数案を比較検討した場合は、その内容を示す必要がある。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
直通:03-5521-8237
代表:03-3581-3351
室長:小野 洋(内線6231)
室長補佐:馬場 康弘(内線6233)
審査官:原 哲郎(内線6253)
環境専門員:岸本 祥(内線6232)

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