報道発表資料

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2011年04月27日
  • 大気環境

アスベスト大気濃度調査に係る予備調査の結果について

 被災した住民等へのアスベストを含む粉じんのばく露防止、不安への対応及び今後本格的に実施する予定のアスベスト大気濃度調査の計画策定及び実施等のための基礎情報の収集を目的として、宮城県、福島県及び茨城県の数地点においてアスベスト大気濃度の予備調査を実施したので、その結果をお知らせします。

1.測定地点について

 宮城県、福島県、茨城県内の以下のいずれかの条件を満たす15地点を測定しました。  (被災地における試料採取日は4月13日~15日、18日)

津波による被害が甚大な地点
津波による被害がないものの、地震により建築物が倒壊・半壊している地点
避難所の周辺
がれき集積場

2.測定方法について

 測定方法は、まず位相差顕微鏡法で総繊維数濃度を測定することにより、スクリーニングを行いました。その結果、原則として総繊維数濃度が1 f/L(1リットルあたり1本)を超過した箇所においては位相差/偏光顕微鏡法により、アスベストの同定を行いました。また、最も総繊維数濃度が高い箇所(郡山市冨久山清掃センター 南側)においては、分析走査電子顕微鏡法によってより詳細なアスベストの同定を行いました。

3.測定結果について

(1)測定結果一覧表(位相差顕微鏡法及び位相差/偏光顕微鏡法)

 全ての地点において、アスベスト濃度は、通常の一般大気環境とほぼ変わりませんでした。宮城県の測定地点においては、全ての測定結果が総繊維数濃度1f/L以下であったため、アスベストの同定を行いませんでした。福島県の測定地点においてはアスベストではなく、石膏、植物繊維等その他の繊維が多く検出されました。
 また、福島県及び茨城県の測定地点の一部においては、別添1の通り、アスベストを含有するスレートが見つかりましたが、当該測定地点のアスベスト濃度は通常の一般大気環境とほぼ変わりませんでした。
 なお、当該地点の周辺状況及び測定状況を別添2のとおり例示します。

<測定結果一覧表>

(2)総繊維数濃度が最も高かった地点(郡山市冨久山清掃センター 南側)における分析走査電子顕微鏡法による測定結果

 電子顕微鏡法による同定の結果、当該地点で多く検出された繊維はアスベストではありませんでした。なお、電子顕微鏡法は、位相差顕微鏡以上の高倍率に調整して計数を行う事が可能であるため、位相差顕微鏡法に対して、計数可能な繊維数に大きな差が生じることがあります。

<分析走査電子顕微鏡法による測定結果>

4.まとめ

 今回の調査結果において、アスベストを含有しているスレートが存在するがれき集積場においても、アスベスト濃度は、通常の一般大気環境とほぼ変わりませんでした。従って今回の調査において、アスベストはそれほど飛散していないと考えられます。しかし、福島県の測定地点の様に、他の測定地点と比較して総繊維数濃度が高いことから一般粉じんが相当程度飛散している場所もあると考えられます。従って、今後、被災地が乾燥していくことやがれき処理及び建築物等の解体作業が本格的に始まること等を考慮すると防じんマスクの着用の徹底が必要です。
 環境省においては、今まで防じんマスクの着用の周知を図ってきましたが、なお一層の周知を図るとともに、被災した住民等へのアスベストのばく露防止と被災した住民等が有する不安への対応を図るため、補正予算として計上しているアスベスト大気濃度調査に関して、委員会を設置するとともに、引き続きアスベストのモニタリングを実施することとしています。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通:03-5521-8295
代表:03-3581-3351
課長:山本 光昭(6530)
課長補佐:栗林 英明(6533)
担当:山口 久雄(6534)

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