報道発表資料

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1997年01月10日

ナホトカ号油流出事故への対策について

[1].情報収集体制の整備
 ナホトカ号の事故に伴い、関係情報を迅速・的確に収集するため、環境庁においては、担当職員の現地への派遣、国立公園・野生生物事務所による現地対策本部の設置を行うとともに、環境影響を適切に把握・評価するためのモニタリング調査の実施について検討を開始した。
1 職員派遣
 平成9年1月8日、9日の両日、鳥獣保護業務室、海洋汚染・廃棄物対策室の担当職員らを油の漂着している福井県及び石川県に派遣し、現地被害状況等調査及び、野鳥の救護体制に関する連絡調整等を行った。

2 国立公園・野生生物事務所による現地対策本部等の設置
 京都府以西・・・山陰地区国立公園・野生生物事務所において、現地対策本部を竹野スノーケルセンター(兵庫県竹野町)内に設置。
 福井県以東・・・中部地区国立公園・野生生物事務所では現地連絡事務所を越前三国国民休暇村(福井県三国町)内に設置

3 今後の情報収集体制
[1] 現地対策本部等が入手した情報について随時報告を受ける。
[2] 水鳥保護関係について、各府県から毎日午後5時を目途に水鳥被害状況報告を受ける。
[3] 国立・国定公園について、各府県から海中公園地区及び公園利用上重要な地域について影響が出た場合等に報告を受ける。
[4] 必要に応じ、随時職員を派遣し、被害状況調査等を行う。
[5] 庁内関係部局の連絡を密にするための連絡会議を設置する。

4 環境影響を適切に把握・評価するためのモニタリング調査について検討する。

[2].水鳥救護体制の整備
 ナホトカ号の事故に伴い、流出した原油により汚染された海鳥類等の傷病鳥が大量に発生することが懸念されることから、環境庁では、関係府県に対し傷病鳥救護体制の緊急な整備を図るよう連絡を行った。
1 各府県による救護体制確立
石川県 農林総合事務所、市町村、鳥獣保護員等より、県傷病鳥救護施設の石川県野鳥園(金沢市)、傷病鳥獣嘱託獣医(10カ所)へ収容、治療する。
リハビリについては、石川県野鳥園で行う。
福井県 林業事務所、鳥獣保護員等より、福井県畜産試験場(三国町)へ一時収容した後、柴田獣医科病院(福井市)等へ搬送、治療する。
リハビリについては、福井県自然保護センター(大野市)で行う。
京都府 地方振興局(舞鶴、宮津、峰山)で応急処置を行い、リハビリについては京都市動物園で行う。
兵庫県 県下20の救急指定病院と3指定動物園へ収容し治療する。うち日本海に近いのは井上獣医科病院(浜坂町)及び有田動物病院(豊岡市)。
鳥取県 地方農林振興局等より(財)鳥取県動物臨床医学研究所(倉吉市)へ収容、治療する。この場合、必要に応じて最寄りの家畜保健衛生所・県委託傷病鳥獣救護動物病院の協力が得られる。
島根県 傷病鳥救護についての県委託の協力獣医師へ搬送、治療する。

2 救助マニュアル配布
 平成8・9年度で作成中の「野鳥の油汚染救助マニュアル」について、素案の段階であるが、急きょ関係府県に対し配布。

[3].国立・国定公園における重油除去等の対策
 ナホトカ号の事故に伴い流出した重油が、周辺の国立・国定公園に漂着していることが確認された。このため、環境庁では、関係府県に対し、被害状況の把握と漂着した重油の除去等可能な対策を講じるよう、9日、協力要請を行うとともに、本日10日、山陰海岸国立公園竹野地区に職員を派遣し、現地対策本部を設置。同本部では、竹野海中公園地区周辺における重油の除去作業を関係機関と共に開始することとしている。環境庁では、パークボランティアなどに重油の除去作業へのボランティア参加を呼びかけている。
1.現時点での影響
・山陰海岸国立公園
公園東部を中心に廃油ボール状の重油塊が漂着。竹野海中公園地区にも漂着が確認されている。
・若狭湾国定公園
丹後半島西海岸を中心に廃油ボール状の重油塊が漂着。
・越前加賀海岸国定公園
三国町の東尋坊付近に船首部分が座礁し、著しい重油汚染を受けている。この他にも公園区域内各所にて廃油ボール状の重油塊が漂着している。

2.対策
(1) 1月9日、関係府県に対し、国立公園及び国定公園の保全の観点から、海中公園地区や公園利用上重要な海岸については、海岸管理者等とも調整の上、被害状況の把握と漂着重油の除去等可能な対策を講じるよう協力を依頼。
(2) 原油の漂着が9日に確認された山陰海岸国立公園については、本日10日、山陰地区国立公園・野生生物事務所より所長以下4名の職員を、当該公園の保護及び利用上重要な竹野地区に派遣し、現地対策本部を設置した。同本部では、竹野海中公園地区周辺において、竹野海岸国民休暇村等関係機関の協力を得て、漂着した重油の除去作業を実施することとしている。
(3) また、竹野地区でシュノーケリング等による自然解説活動を行っているパークボランティアなどに除去作業への参加を呼びかけている。
(現地対策本部連絡先:竹野スノーケルセンター tel.0796-47-1932)

  なお、漂流している重油が、大山隠岐国立公園等他の公園においても漂着する可能性があり、監視体制の強化を図っている。

連絡先
環境庁自然保護局計画課
課長 鹿野久男 (6430)
 担当 上杉、中澤(6434)

環境庁自然保護局国立公園課
課長 下  均  (6440)
 担当 塚本、則久(6442)

環境庁自然保護局野生生物課
課長 小林  光 (6460)
 鳥獣保護業務室
 室長 守口典行 (6470)
 担当 吉井、水谷(6472)

環境庁水質保全局企画課海洋汚染・廃棄物対策室
室長 渡邊和夫 (6620)
 担当 田中、福山(6622)