報道発表資料
平成22年10月15日に開催された中央環境審議会大気環境部会(部会長:坂本和彦埼玉大学大学院理工学研究科教授)において、「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第九次報告)」が取りまとめられ、15日付けで中央環境審議会会長から環境大臣に対し、答申がなされました。
1.経緯
平成7年9月20日に環境大臣が中央環境審議会会長に対して諮問した「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(諮問)」により、有害大気汚染物質対策のあり方について審議が重ねられております。
第九次答申については、平成22年5月から、大気環境部会健康リスク総合専門委員会において審議がなされ、意見募集(パブリックコメント)を経て、平成22年10月15日開催の同部会で第九次報告が取りまとめられました。
これを受けて、大気環境部会長から中央環境審議会会長への報告がなされ、10月15日付けで中央環境審議会会長から環境大臣に対し答申がなされました。
- (1)
- 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト及び優先取組物質の見直し並びに有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方について
-
平成8年の大気汚染防止法の(以下「大防法」という。)改正により、有害大気汚染物質対策の制度化がなされ、同年10月18日付け中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第二次答申)」において、「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質」として234物質が、そのうち、当該物質の有害性の程度や我が国の大気環境の状況等に鑑み、健康リスクがある程度高いと考えられる物質について「優先取組物質」として22物質が列挙されました。
その後、平成12年12月19日付け中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第六次答申)」において、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストは、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(以下「化管法」という。)に基づくPRTR制度の対象物質との整合性を考慮した見直しを行うことが適当であり、また、優先取組物質についてもPRTR制度による情報や最新の科学的知見を元に見直すことが必要とされたところです。
化管法については、最新のデータにより対象物質の見直しが行われ、平成20年11月に化管法施行令が改正されて462物質、100物質がそれぞれ新しい第一種指定化学物質、第二種指定化学物質として選定されたところです。
今般の答申では、これらの状況を踏まえ、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト及び優先取組物質が見直され、その具体的作業に当たっては、化管法対象物質の選定の考え方及び選定時に用いられた最新の有害性、曝露性の情報等を活用し、また、必要に応じて、有害性、曝露性の情報を別途、個別に確認した上で、それぞれの物質が選定されました。
また、物質リストの見直しに併せて、有害大気汚染物質の分類に応じて、国、地方公共団体及び事業者の各主体の取組が明確となるよう、リスクの程度に応じた対策のあり方について整理が行われました。 - (2)
- ヒ素及びその化合物に係る指針値について
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有害大気汚染物質のうち、優先取組物質については、平成15年7月31日付け中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染対策のあり方について(第七次答申)」(以下「第七次答申」という。)において、環境目標値の一つとして、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(以下「指針値」という。)を設定することとされました。これまで、第七次答申に基づきアクリロニトリル等の4物質、平成18年11月8日付け「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第八次答申)」に基づきクロロホルム等3物質について指針値を設定しています。また、第七次答申において優先取組物質のうち指針値が示されなかった物質については、今後、指針値の迅速な設定を目指し、検討を行っていくことが適当であるとされました。
こうした状況の中、今般、ヒ素及びその化合物について健康リスク評価が行われ、指針値を設定することとされました。
2.答申の内容
- (1)
- 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リスト及び優先取組物質の見直し並びに有害大気汚染物質のリスクの程度に応じた対策のあり方について、別添1の健康リスク総合専門委員会報告を了承する。
- (2)
- ヒ素及びその化合物に係る指針値の提案について、別添2の健康リスク総合専門委員会報告を了承する。
これに基づき、ヒ素及びその化合物について、別表のとおり指針値を設定することとする。
- 別表
- 環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値)
ヒ素及び無機ヒ素化合物 | 年平均値 6 ng-As/m3 以下 |
- (注)
- 指針値との比較評価に当たっては、全ヒ素の濃度測定値をもって代用して差し支えない。
添付資料
- 連絡先
- 環境省水・大気環境局総務課
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8290
課長:石飛 博之(内線6510)
係長:永森 一暢(内線6603)
担当:藤田 哲也(内線6516)
環境省水・大気環境局大気環境課
直通:03-5521-8293
課長:山本 光昭(内線6530)
課長補佐:苔口 聖史(内線6572)
担当:山本 剛(内線6572)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成22年10月5日
- 中央環境審議会大気環境部会(第32回)の開催について(お知らせ)
- 平成22年8月9日
- 中央環境審議会大気環境部会(第31回)の開催について(お知らせ)
- 平成22年7月22日
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- 平成22年6月24日
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