報道発表資料

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2000年11月17日

福山道路に係る環境影響評価書に対する環境庁長官意見の提出について

環境庁は、福山道路(岡山県、広島県)に係る環境影響評価書について、環境影響評価法第22条第2項の規定に基づき、建設大臣より環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成12年11月17日付けで建設大臣に対し、大気負荷低減対策、道路交通騒音対策、オオタカ等の野生動物への配慮に関する環境庁長官意見を提出した。

1.事業の概要

路線名
事業区間
道路の規模等計画交通量
(台/24h)
主な手続きの経緯
福山道路
岡山県笠岡市茂平
  ~広島県福山市赤坂町
一般国道2号の改築
[自動車専用道路]
16.5km・4車線
岡山県 1.5km
広島県15.0km
32,700~42,900
準備書縦覧
H11/5/21~6/3(岡山県)
H11/5/20~6/3(広島県)
知事意見提出
H11/10/5(岡山県)
H12/4/7(広島県)

2.環境庁長官意見

○福山道路(岡山県)

 本事業の環境影響評価書について、以下の意見を述べるものである。

 計画路線が通過する笠岡市は備後地域公害防止計画の策定地域であることを踏まえ、関係機関との連携のもとに、環境影響評価書に記載されている環境保全対策を確実に実施し、計画路線の整備に伴う環境影響の回避、低減に万全を期すこと。

○福山道路(広島県)

 本事業の環境影響評価書については、周辺の学校等への騒音影響の評価において環境基準より厳しい目標を設定するなど、環境影響の低減に向けた先進的な取組も見られるところであるが、計画路線の一部が住居系地域を通過すること、住民意見において大気や騒音の影響に関する懸念が示されていることなどから、より一層の環境影響の回避、低減を図るとともに、以下の措置を講じる必要がある。

1.全般的事項

 計画路線が通過する福山市は備後地域公害防止計画の策定地域であること及び一部が住居系地域を通過することを考慮すると、幅広い対応策を検討し、最大限の環境保全措置を講ずる必要がある。こうした認識を踏まえ、関係機関との連携のもとに、環境影響評価書に記載されている環境保全対策の確実な実施はもとより、計画路線の整備に伴う環境影響の回避、低減に万全を期すこと。

2.大気・騒音関係

(1) 浮遊粒子状物質についてはほとんどの予測地点で環境基準を超過すること、二酸化窒素については環境基準の上限値に近い水準となる地点があることが予測されることから、計画路線及び並行路線を一体とした沿道大気負荷の低減対策を実施することが重要であり、関係機関との連携のもとに、実施予定の光触媒による脱硝、植栽や路面清掃等の措置を適切に実施するとともに、道路構造面の対策及び脱硝装置や集じん装置の採用、並びにその他沿道大気負荷の低減に資する新技術の採用について検討し、更なる大気負荷の低減対策が導入されるよう措置すること。その検討過程において、これらの複数の案の比較検討、実行可能なより良い技術が取り入れられているかどうかの検討その他の適切な検討を行うこと。また、その旨を評価書に記載すること。
(2) 供用時の道路交通騒音レベルが環境基準の上限値付近に達することが予測される地点があること等から、事業実施時点における沿道状況、予測の前提となる最新条件を踏まえ、排水性舗装の導入等必要な措置を講じ、一層の道路交通騒音の低減に努めること。また、その旨を評価書に記載すること。
(3) 工事中、供用時を通じて、関係機関と協力しつつ、実施予定の事後調査に加え、関連交通量や、大気環境・騒音等の沿道環境に係る監視を適切に実施し、その結果を踏まえ適切な措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。

3.自然関係

(1) 事業区域近傍においてオオタカの営巣が確認され、行動圏の一部が当該事業区域に重なっていることから、繁殖期における事業実施にあたっては、猛禽類に詳しい専門家等の指導・助言を得ながら、工事工程の調整を含めた保全措置を適切に行うこと。非繁殖期についても、工事による生息への支障が生じないように工法を検討すること。
 また、上記の措置について評価書に記載すること。
(2) 動物及び生態系の項目に係る環境保全措置として行われるカスミサンショウウオ等の動物の移動等に配慮した道路構造の採用については、現時点ではその効果について不確実性が高いことから、専門家の指導・助言を得ながら事後調査を行うこと。また、当該措置について評価書に記載すること。
(3) 生態系の予測・評価については、注目種への影響のみ記述されているが、生態系の構造、機能なども踏まえた当該計画の影響に関しても、本評価書の中に具体的に記述すること。

4.その他

 本事業に係る道路の構造について、土工部における盛土又は切土の区分、さらに全ての橋梁の位置の概要を評価書に記載すること。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境影響評価課環境影響審査室
室  長 :森谷 賢  (6231)
 審査官 :福本 幸造(6232)