報道発表資料

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2010年09月27日
  • 地球環境

「低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)」第2回年次会合の開催結果について(お知らせ)

 「低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet:The International Research Network for Low-Carbon Societies)」の第2回年次会合が9月20-21日にドイツのベルリンにおいて開催されました。
 本会合には、23カ国57研究機関およびEU、1国際機関と1国際連合組織から合計88名が出席しました。我が国からは、LCS-RNet政府窓口である環境省、日本国代表研究機関である(独)国立環境研究所、(財)地球環境戦略研究機関(LCS-RNet事務局)が出席しました。本会合では、低炭素社会関連研究に関する発表を踏まえ、国・自治体・個人の各レベルにおける低炭素社会への転換をどのように促進すればよいのか、また転換を実現させるための科学の役割は何かについて議論が行われました。
 今回の成果は、気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)のサイドイベント及び来年度のG8環境大臣会合にて報告される予定です。

1.LCS-RNetの概要

(1)経緯

 LCS-RNetは、2008年5月のG8環境大臣会合(神戸:5月24‐26日)における我が国の提案により設立が合意されたものである。それぞれ自国の低炭素社会を実現するための研究を行っている、各国を代表する研究機関により、2009年4月に正式に立ち上げられ、同月に開催されたG8環境大臣会合において、今後LCS-RNetの活動成果をG8環境大臣会合に定期的に報告していくよう求められた。昨年10月には、第1回年次会合が、イタリアのボローニャにおいて開催された。
 現時点での参加国・機関は、我が国のほか、フランス、イタリア、韓国、イギリス、ドイツ、インドの7カ国からの15研究機関である。

(2)目的

[1]
G8や気候変動枠組条約締約国会議などの気候政策の意思決定プロセスへの科学的知見の提供
[2]
低炭素社会研究の推進及び様々な研究に関する情報交換
[3]
政策決定者やNGO、市民らと研究者の対話の推進

2.第2回年次会合概要

共催:環境自然保護原子炉安全省(BMU)およびドイツ連邦環境庁(UBA)
協力:ブッパタール気候・環境・エネルギー研究所(WI)
日程:平成22年9月20日(月)-21日(火)
開催場所:ベルリン(ドイツ)

(1)プログラム概要

 今回の会合では、
[1]
LCS-RNetに対する政策決定者からの要請(パネル1)
[2]
変化する社会:低炭素社会への社会的支援と政策転換(パネル6.1)
[3]
行動変化:持続可能な消費と生産のモデル(パネル5.1)
等に関するパネルセッションが設けられた。

(2)主な成果

 EU、中国、インド、ブラジル、カナダ等20カ国の研究機関や政策決定者等43名から発表が行われ、それらを踏まえた主な成果の概要は以下の通りである。
[1]
低炭素社会への急激な変化への対応には様々な分野での研究統合が不可欠であること、研究者には、政策決定者や企業界の理解を得るという変革を起こすための役割があること、などが示された。
[2]
政策実行段階にある先進国だけでなく、低炭素社会実現のための政策を打ち出しつつある途上国においても、各国の優良事例や研究に関する情報を効果的に得るためのメカニズムが必要であり、LCS-RNetが提供する情報共有の機能に期待が寄せられた。
[3]
低炭素社会形成のフレームとして、社会的コンセンサスの形成、中長期的な目標設定、政策提案・実行、シナリオと政策オプションの評価検証、段階に応じて時機を得た技術と投資、モデルシティによる先導を挙げ(三輪恭子IGES主任研究員)、それぞれのプロセスにおける研究ニーズはなにかを検討し、研究界はこれらの研究に世界を挙げて取り組むこと、および政策との協働が不可欠であることが確認された。

(3)日本の貢献

[1]
西岡秀三IGES研究顧問は、日本の低炭素社会研究による政策支援状況を説明するととともに、LCS-RNet事務局長として本会合を組織化し実りある会合に導いた。
[2]
環境省高橋康夫地球温暖化対策課長は「LCS-RNetに対する政策決定者からの要請」と題したパネル1で、日本の低炭素社会に向けた政策の紹介に加え、中長期ロードマップの検討状況、今後の研究ニーズなどを紹介した。
[3]
国立環境研究所甲斐沼美紀子温暖化対策評価研究室長は、英国・オランダ・ブラジル・インドの先駆的な研究者が参加した「変化する社会:低炭素社会への社会的支援と政策転換」と題したパネル6.1で、議長として議論をリードし、今はすでに政策立案の時代から政策の社会への実装のための科学が必要とされる時代に入りつつあることを結論とした。
[4]
行動変化:持続可能な消費と生産のモデルと題したパネル5.1では、日本の温暖化政策立案過程とそれに並行して行うステークホルダー会合による意思決定システムの社会実験により、市民による自主的取り組みの効果を評価する石川雅紀神戸大学教授の研究が、参加者の注目を集めた。

3.今後の予定

次回会合は、フランスにて開催される予定。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局総務課研究調査室
直通:03-5521-8247
代表:03-3581-3351
室長:松澤 裕(内線 6730)
補佐:清野 達男(内線 6731)
係長:井上 由美子(内線 6735)
担当:小早川 鮎子(内線 6733)

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