報道発表資料

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1998年04月24日

自動車騒音低減技術の開発状況について~自動車騒音低減技術に関する第3次報告書の概要について~

1. 環境庁では、平成4年中央公害対策審議会中間答申及び平成7年中央環境審議会答申で示された自動車騒音低減に関する許容限度設定目標値を早期に達成するため、自動車騒音低減技術に関する第2次報告書のとりまとめ以降は、学識経験者からなる「自動車騒音低減技術評価検討会」を14回開催し、自動車メーカーにおける自動車騒音低減技術の開発状況について、評価・検討を行ってきたところ、この度「第3次報告書」をとりまとめた。

2. 本報告書では、中間答申から10年以内(平成14年頃まで)に許容限度設定目標値を達成すべきとされた車種のうち、
(1)中型車(注1)のうちバス(全輪駆動車を除く)及び
(2)小型車(注2)のうちキャブオーバ型の軽自動車については、平成12年頃、また、
(3)小型車のうち車両総重量が1.7トンを超えるもの(軽自動車を除く)
については、平成12年又は13年頃に目標値を達成できる見通しが立ったと評価された。

3. これにより、中間答申から6年以内又は10年以内に自動車騒音低減に関する許容限度設定目標値を達成すべきとされた車種のうち、生産台数べースでみると約9割の車両について、目標値を達成できる見通しが立ったことになる。

4. 今後、環境庁では本報告書を踏まえて運輸省と連携して前述の車種について、規制強化のための具体的な手続きに入ることとする。
 なお、これまでの報告書で目標値達成の具体的な見通しが立たなかった車種については、引き続き自動車騒音低減技術の開発状況についての技術評価を行うことにより、技術開発の促進を図り、目標値の早期達成の見通しを得ることとしている。

注)1.中型車・・普通自動車及び小型自動車(乗用車、二輪自動車を除く)のうち、車両総重量が3.5トンを超え、原動機の最高出力が150キロワット以下のもの。
注)2.小型車・・普通自動車、小型自動車及び軽自動車(乗用車、二輪自動動車を除く)のうち、車両総重量が3.5トン以下のもの

1.経緯等

 自動車騒音問題については、各種対策が実施されてきているにもかかわらず、自動車の交通量の増加等によって幹線道路の沿道地域を中心に依然として厳しい状況にあり、環境改善のためには平成4年11月の中央公害対策審議会中間答申及び平成7年2月の中央環境審議会答申で示された許容限度設定目標値をできるだけ早期に達成する必要がある。
このため環境庁は、平成7年6月、自動車メーカー等における技術開発を促進するとともに、許容限度設定目標値に対する技術開発の進捗状況を評価し、目標値達成の見通しを逐次明らかにすることを目的として、「自動車騒音低減技術評価検討会」を設置した。
 本検討会設置以後、継続的に検討を行った結果、平成8年4月には、中間答申から6年以内(平成10年頃まで)に達成すべきとされた大型バス等の4車種すべてについて、平成10年頃に許容限度設定目標値を達成できるとの第1次報告書を、また平成9年4月には中間答申から10年以内(平成14年頃まで)に達成すべきとされた車種のうち小型車の一部については平成11年頃に、また、乗車定員6人を超える乗用車については平成11年又は12年頃に目標値を達成できるとの第2次報告書をまとめたところである。
 その後、本検討会においては、第1次及び第2次報告書で目標値達成の具体的な見通しが立たなかった車種について、引き続き自動車メーカーに対して、自動車騒音低減技術の開発状況について現地調査やヒアリングを実施するなど精力的に技術的検討を進め、この度、第3次報告書をとりまとめた。

2.第3次報告書の概要

(1) 研究開発の方針

 自動車の走行に伴い発生する騒音については、従来からの騒音低減対策に加え、より詳細な音源分析を行った上で対策を検討する必要がある。  このため、現在、自動車メーカーにおいては、騒音の各音源別寄与度を詳細に解析した上でそれぞれの音源に対して必要な騒音低減量を割り出し、各音源ごとの発生源対策を行うほか、各音源への遮音の強化を図っている。  主な騒音低減対策例については、4ページ(略)のとおりである。

(2) 車両全体としての開発状況

 目標値を達成できる見通しが立ったと評価された車種は、下表のとおりである。

達成時期車種
平成12年頃 中型車のうちバス(全輪駆動車を除く)
小型車のうちキャブオーバ型の軽自動車
平成12年又は13年頃 小型車のうち車両総重量が1.7トンを超えるもの(軽自動車を除く)

(3) 今後の研究開発について

 今回の技術評価により目標値達成の目処が立った車種のうち、小型車のうち車両総重量が1.7トンを超えるもの(軽自動車を除く)については、車体の形状がキャブオーバ型とボンネット型のものがあり、また、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンのみの機種とガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方の設定がある機種が存在するなど、機種により騒音低減対策の難易度に差異があることから、すべてを平成12年に達成することは困難であり、平成12年又は13年頃に達成可能と評価したところである。

 しかしながら、現下の自動車騒音問題を取り巻く厳しい状況から、技術的に対応可能な車種については、騒音に係る目標値を達成した低騒音の車両をできるだけ早期に販売することが社会的に要請されており、自動車メーカーにおいては1型式でも多く平成12年頃までに目標値を達成するよう積極的な取組が望まれる。

 また、今回、達成時期を明確にできなかった車種についても、可能な限り早い時期からの規制開始が社会的に要請されており、できるだけ早期に許容限度設定目標値を達成できる技術を確立すべく開発を推進することが望まれる。特に中型トラック、小型二輪車及び第二種原動機付自転車については、機種によっては比較的早期に対応可能と思われるものもあり、自動車メーカーにおいては技術的に容易と思われるものから、逐次計画的に開発を進め、できるだけ早期に目標値を達成した車種が販売できるよう、積極的な取組が望まれる。

3.自動車騒音低減技術評価検討会検討員(五十音順、敬称略)

梅澤 清彦  東京工業大学教授
大野 進一  東京都立科学技術大学教授
金子 成彦  東京大学助教授
橋本 竹夫  成蹊大学教授
連絡先
環境庁大気保全局自動車環境対策第二課
課 長 :三宅 哲志(内線6550)
 担 当 :野津 真生(内線6552)