報道発表資料

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1998年04月27日

「地球温暖化対策の推進に関する法律案」について

環境庁は、中央環境審議会中間答申「今後の地球温暖化防止対策の在り方について」を受けて、「地球温暖化対策の推進に関する法律案」の立案作業を行ってきたが、今般、政府部内の調整が整い、4月28日(火)に閣議決定されることとなった。

1.背景

 昨年12月に採択された京都議定書では、我が国は2010年前後までに1990年比で温室効果ガスの排出量を6%削減することとされた。地球温暖化の防止のためには長期的には更に大きな削減が必要であるが、我が国の温室効果ガスの排出量は増加基調にある。
 したがって、将来の京都議定書の締結に備え、議定書の目標達成を確保できる一層の対策の検討を行うことと併せて、今日の段階において、実施可能な対策を現段階から講じていかなければならない状況にあり、その中で、地球温暖化防止を目的とする法的なルールを定めることが効果的なものについては早急に法制度化を図ることが必要である。温室効果ガスの排出の抑制等にはあらゆる主体が参加した幅広い取組が不可欠であることから、今日の段階からの取組として、国、地方公共団体、事業者及び国民それぞれの責務を明らかにするとともに、各主体の取組を促進する法的枠組みを整備するため、本法案を取りまとめたものである。

2.概要

(1)取組の対象
 取組の対象は、京都議定書の対象である6ガスすべて(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン及び六ふっ化硫黄)の排出及び吸収である。

(2)地球温暖化対策に関する基本方針
 基本方針においては、
{1}地球温暖化対策の推進に関する基本的方向
{2}国、地方公共団体、事業者及び国民のそれぞれが講ずべき温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する基本的事項
{3}政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画(実行計画)に関する事項
{4}温室効果ガスの総排出量が相当程度多い事業者について温室効果ガスの排出の抑制等のための措置(他の者の温室効果ガスの排出の抑制等に寄与するための措置を含む。)
に関し策定及び公表に努めるべき計画に関する基本的事項等について定める。

(3)国、地方公共団体、事業者及び国民それぞれの責務と取組
 温室効果ガスは排出源が多様であり、あらゆる主体がそれぞれ自らの活動に伴う排出の抑制等を図ることが必要であることから、国、地方公共団体、事業者及び国民それぞれが取組を行う責務を定めるとともに、国、地方公共団体及び事業者が自ら排出する温室効果ガスの排出抑制等に関する措置を計画的に進めるための枠組みを定める。

ア.
 国は、環境の監視等を行うとともに、総合的な地球温暖化対策を策定し、及び実施する。温室効果ガスの排出抑制等のための施策を推進するとともに、関係のある施策において排出抑制等を行うよう配意する。自らの事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を講じ、また、地方公共団体、事業者及び国民が温室効果ガスの排出の抑制等に関して行う活動の促進を図るため、技術的な助言を行う等の措置を講ずる。 さらに、調査研究、国際協力を行う。政府は自らの事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出抑制等のための計画を策定し、公表する。また、その実施状況も公表する。
イ.地方公共団体
 地方公共団体は、その区域の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の抑制等のための施策を推進する。また、自らの事務及び事業に関する温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を講ずるとともに、その区域の事業者及び国民が温室効果ガスの排出の抑制等に関して行う活動の促進を図るため、情報の提供を行う等の措置を講ずる。
 地方公共団体(都道府県は義務、市町村は努力義務)は、基本方針に即して、自らの事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画(実行計画)を策定し、公表する。また、その実施状況も公表する。
ウ.事業者
 事業者は、その事業活動に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置(他の者の温室効果ガスの排出の抑制等に寄与するための措置を含む。)を講ずるように努めるとともに、国及び地方公共団体が実施する温室効果ガスの排出の抑制等のための施策に協力する。
 相当量の温室効果ガスを排出する事業者は、基本方針の定めるところに留意して、単独に又は共同して、上記措置に関する計画を策定し、これを公表するよう努めるとともに、計画に係る措置の実施の状況を公表するように努めなければならない。
エ.国民
 国民は、その日常生活に関する温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を講ずるよう努めるとともに、国及び地方公共団体が実施する温室効果ガスの排出の抑制等のための施策に協力しなければならない。

(4)国民の取組の支援
 国民の日常生活において発生する温室効果ガスの排出量の伸びが近年大きいことから、国民の取組を促進するため、以下の措置を講ずる。
{1}都道府県知事は、住民に対しきめ細かな啓発活動、助言等を行う地球温暖化防止活動推進員を委嘱することができる。
{2}国民に対する普及啓発活動を効果的に推進するため、国・都道府県が地球温暖化防止活動推進センターを指定し、同センターにおいて啓発・広報、照会・相談、生活で用いる製品等に関する情報提供、実例に即した排出実態調査等を行う。

(5)その他
 我が国の温室効果ガスの総排出量の公表、温室効果ガスの排出の抑制等に資する施策の実施に関して関係行政機関の長に対する環境庁長官による協力要請、必要な罰則(都道府県センターにおける相談業務についての守秘義務違反)について規定する。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課地球温暖化対策制度化推進室
室 長 :小林 光  (6740)
 主 査 :関 荘一郎(6283)
 主 査 :三好 信俊(6284)