報道発表資料

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1998年04月27日

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令案について

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令が、平成10年4月28日(火)の閣議で決定される予定ですのでお知らせします。
 この政令案は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図るため、象牙及びその加工品の国内取引を行う特定国際種事業の届出の対象を拡大する等の改正を行うものです。

1 政令案の概要

 特定国際種事業の届出の対象を、現行の象牙の製造業者から、印章関係の卸売業者及び小売業者まで拡大する。
また、これに併せて、適法に輸入される象牙については、登録の対象とし、流通できることとする。

注) 特定国際種事業......現行政令では、象牙のカットピース(牙を切断したもの)、端材(製品を製造する段階で発生したもの)等の譲渡し等の業務を伴う事業が対象。事業を行うに当たっての環境庁長官及び通商産業大臣に対する届出と取引の記帳等が義務付けられる(法第33条の2及び第33条の3)。

2 施行日

 本政令は、平成11年3月18日(ボツワナ、ナミビア及びジンバブエによる象牙の国際取引のモラトリアムが終了する日)から施行する。

(背景)
 平成元年(1989年)のワシントン条約第7回締約国会議において、アフリカゾウ全個体群の国際取引禁止(附属書[1]掲載)決定。

 昨年開催された第10回締約国会議に向けて、ボツワナ、ナミビア及びジンバブエがそれぞれの国の象牙の合法ストックのみを輸出するため、各個体群の附属書[2]への移行提案を提出。これを受けて、決議7.9に基づいて設置されたアフリカゾウ専門家パネルが、平成8年(1996年)12月に日本の国内管理体制を審査。カットピース、端材等の管理、立入検査、小売規制等について改善の余地がある旨指摘。
 このため、昨年来、特定国際種事業に係る届出等に関する命令を改正し、カットピース、端材等の管理強化を図ったほか、立入検査の回数を増やすなど所要の措置を講じてきたところ。

 昨年6月の第10回締約国会議において、ボツワナ、ナミビア及びジンバブエの個体群の附属書[2]への移行決定。象牙の国際取引再開については、平成11年(1999年)3月18日までは留保し、専門家パネルの指摘事項の是正等の条件が満たされた場合再開できることとされた。具体的には、来年2月開催予定の常設委員会においてその是非が決定される予定。
 これを受けて、専門家パネルからの指摘事項で改善すべきとされた小売規制を実施するため、今回の政令改正により、印章関係の卸売業者及び小売業者を特定国際種事業の対象に加えることとしたところ。

(参考)今回の改正内容
  現行 改正後
1 届出が義務付けられる事業者 1kg以上かつ20cm以上の象牙素材を扱う者(象牙製品加工業者) すべての象牙素材(加工品でないもの)又は印章を扱う者(左に加えて印章関係の卸売業者及び小売業者も対象)
2 届出事業者の義務 材料の入手先の確認及び取引状況の記帳義務必要に応じ立入検査の対象 同左(卸売業者及び小売業者も立入検査の対象)
3 登録対象 アフリカゾウが附属書[1]に移行する前に日本に輸入された牙 ボツワナ、ナミビア及びジンバブエから輸出される牙を追加
連絡先
環境庁自然保護局野生生物課
課 長 :森 康二郎(6460)
 担 当 :前島・星野(6465)