報道発表資料
環境省は、アジア太平洋地域の間で地球温暖化問題に関する情報や意見交換を行うことを目的として、豪州気候変動・省エネルギー省、海外環境協力センター(OECC)との共催により、7月20日(火)から7月22日(木)まで、北九州市において「第19回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を開催しました。
今回のセミナーには、アジア太平洋地域15カ国・地域及び国際機関等11機関から、約50名の専門家が出席し、[1]測定・報告・検証(MRV)可能な排出削減対策、[2]科学的知見に基づく適応策について議論が行われ、排出削減対策と国別報告書のあり方やそのために必要な支援の重要性、適応策の開発への主流化と支援の重要性等について合意されました。
1.日時
平成22年7月20日(火)~22日(木)
2.主催
環境省、豪州気候変動・省エネルギー省、海外環境協力センター(OECC)
3.開催場所
北九州市
4.参加者
アジア太平洋地域15カ国・地域及び国際機関等11機関から、約50名の専門家
- 参加国・地域:
- 豪州、中国、クック諸島、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴル、パプア・ニューギニア、フィリピン、サモア、タイ、米国、ベトナム
(日本からは、竹本地球環境審議官他が参加) - 関係機関:
- 気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)、国際開発計画(UNDP)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)、国立環境研究所(NIES)、地球環境戦略機関(IGES)、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)、北九州市等
5.議長
平石尹彦 IGES理事
アレクサンドラ・ボルスウィック 豪州気候変動・省エネルギー省多国間交渉担当課長
6.主な議論
アジア太平洋地域の各国における排出削減対策としての「国家緩和行動」(NAMA)の策定状況や適応の取組、関係機関による支援の取組等が発表され、気候変動の国際交渉における議論の状況も踏まえ、NAMAを測定・報告・検証(MRV)するための国別報告書や温室効果ガス排出インベントリのあり方と必要な支援、適応の主流化や支援の重要性と地域ネットワークの活用等必要な支援について議論が行われた。
各項目の主な議論は以下の通り。
(1)測定・報告・検証(MRV)可能な排出削減対策
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- 多くの国で、持続可能な発展を十分考慮したNAMAの策定に着手していることが歓迎されるとともに、NAMAにはさまざまなタイプ(定量/定性的な行動、支援を受けた行動/支援を受けない行動、政策/セクター/プロジェクト等)のものがあることが認識された。
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- 国別報告書は、国家の状況や温室効果ガス排出インベントリ等さまざまな情報を含み、NAMAの策定・発展という観点からも潜在的に多くの可能性があることが認識された。
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- 一方、現在でも、途上国の国別報告書の作成にあたっては、数多くの課題があることが再確認された。これらの課題のうち多くは、今後のNAMAのMRVプロセスにおいても生じるものであり、現在の国別報告書を基礎として、それに関する専門家や経験、システムを活用する可能性が認識された。また、より厳密(完全性、情報の質の管理、不確実性等)かつ高頻度(例:2-3年)の国別報告書の提出についても留意された。
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- このため、途上国への資金や技術的な支援が必要であることが認識されるとともに、MRVのための新たなガイドラインの必要性についてもおおむねの合意がなされた。支援としては、先進国の算定報告・公表制度やインベントリの相互学習、国内における法的・組織的な対応について検討することの重要性が指摘された。また、気候変動枠組条約補助機関会合の下で活動している「非附属書I国の国別報告書に関する専門家諮問グループ(CGE)」の役割についても議論された
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- なお、支援に関するMRVについても議論された。先進国が供与した資金や技術の合計についての情報の重要性が指摘される一方、それらによって支援によって行われた行動の結果の重要性も指摘された。
(2)科学的知見に基づく適応策
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- 異なる優先順位に対応した戦略の立て方について議論が行われ、持続可能な開発と一体化した適応策を進めることの重要性が強調された。
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- 途上国においては、適応のためのデータ収集やモデルによる予測、人的・組織的能力の向上が課題であり、それに対応するための地域レベル・国家レベルでの取組が行われていることが紹介された。
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- 適応策を早期に実施することが、コスト削減につながるという事例が紹介され、そのような取組が今後地域全体に広がることが期待された。
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- 適応に関する資金が不足していることが指摘され、今後の課題とされた。また、アジア太平洋地域適応ネットワークのような地域ネットワークが果たす役割が評価された。
- 連絡先
- 環境省地球環境局(旧)国際対策室
直通:03-5521-8330
代表:03-3581-3351
国際対策室長:関谷 毅史 (6772)
補佐:相澤 寛史(6773)
補佐:長谷川 敬洋(6789)