報道発表資料
環境庁は、神戸国際港都建設計画学園南土地区画整理事業の環境影響評価書について、環境影響評価法第22条第2項の規定に基づき、建設大臣より環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成12年11月2日付けで、同大臣に対し、大気環境、水環境、自然環境保全対策等に関する環境庁長官意見を提出した。
【環境庁長官意見】
1. | 大気環境 | |
計画区域は既存の住宅等に近接しているとともに、計画区域周辺の道路交通騒音について環境基準を超過している地域があること等から、可能な限り環境影響の低減に努めるとともに、以下の措置を講じる旨評価書に記載すること。 | ||
(1) | 建設作業に係る環境影響ついて、関係機関と協力しつつ、近接する住居等への大気質、騒音、振動の適切な監視及びそれを踏まえた必要な対策を実施すること。 | |
(2) | 供用時について、道路交通騒音の予測結果が環境基準を超過していること等から関係機関と協力しつつ可能な限り道路交通騒音を低減するための措置を講ずるとともに、道路交通騒音等沿道環境に係る適切な監視及びそれを踏まえた必要な対策が行われるよう措置を講ずること。 |
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2. | 水環境 | |
工事中の土砂、濁水の流出防止対策について、既存事業における実績を引用するなどして評価書に定量的な説明を記載すること。 |
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3. | 自然環境 | |
(1) | 計画区域において、オオタカ、ハチクマなどの希少な鳥類の飛翔が確認されていることから、工事着手前及び工事期間中において、これらの鳥類の繁殖行動等が確認された場合には、専門家等の指導・助言を得ながら必要な調査を実施すること。さらに、営巣に影響を及ぼす可能性があると判断された場合には、適切な保全対策を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 | |
(2) | 本事業の実施により、計画区域内で確認された貴重な動植物の生息・生育地が消失することとなり、環境保全措置として移動・移植を検討しているが、事業の実施による自然環境の質的変化をどのようにふまえて、当該措置を検討するに至ったのか、その経緯を評価書に記載すること。また、それらの移植地等となる水辺空間の創出、及び移動・移植に当たっては、工事着手前に予め委員会の設置等により、専門家等の指導・助言を得た上で、必要に応じて移動・移植後のモニタリングを実施すること。また、その旨を評価書に記載すること。 | |
(3) | 生態系の解析において、蝶類を用いての自然性に関する評価を試みているが、当該手法については、予測の不確実性が高いことから、その他の手法の摘用を含めて事後調査を実施し、その解析結果を公表すること。その旨を評価書に記載すること。 | |
(4) | 工事中に新たに希少な野生動植物が確認された場合は、専門家等から意見の聴取を行い、これらの生息、生育環境に対する影響が最小限になるよう措置を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。 |
【参考】
神戸国際港都建設計画学園南土地区画整理事業
1.事業概要
(1) | 都市計画決定権者 | :兵庫県知事 貝原 俊民 |
事業予定者 | :都市基盤整備公団 関西支社 代表者 理事、支社長 土師一郎 |
(2) | 事業の名称及び所在地 | |
名 称: | 神戸国際港都建設計画学園南土地区画整理事業 (神戸学園南地区の整備) |
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所在地: | 神戸市垂水区多聞町字小束山及び字寺池の一部並びに字三ツ池及び字上ノ畑の全部 |
(3) | 事業の目的 |
当事業は、神戸市復興計画(平成7年6月)で、良質な住宅を供給するための住宅地整備を推進する地区として位置づけられており、今後の計画的・安定的な住宅・宅地の供給を主体とした新たな都市空間の整備を図ることを目的としている。
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(4) | 事業規模 |
計画区域面積:108.4ha
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(5) | 土地利用計画 |
土地利用 | 面積(ha) | 現況保全 緑地(ha) |
造成緑地 (ha) |
割合 (%) |
備考 | |
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公 共 用 地 |
道路 | 19.0 | - | 0.6 | 17.5 | |
公園 | 4.2 | 0.6 | 3.6 | 3.9 | ||
緑地 | 3.8 | 1.9 | 1.9 | 3.5 | ||
河川・水路 | 1.2 | - | - | 1.1 | ||
小計 | 28.2 | 2.5 | 6.1 | 26.0 | ||
施 設 用 地 |
公益施設 | 1.2 | - | - | 1.1 | 商業・業務施設等 |
教育施設 | 2.9 | - | 0.5 | 2.7 | 小学校1校、幼稚園1園 | |
誘致施設 | 2.3 | 0.1 | 0.1 | 2.1 | 沿道サービス施設等 | |
小計 | 6.4 | 0.1 | 0.6 | 5.9 | ||
住 宅 用 地 |
集合住宅 (中高層系) |
20.3 | 2.7 | 0.7 | 18.7 | |
集合住宅(低層系) | 22.0 | 2.8 | 1.5 | 20.3 | ||
独立住宅 | 31.5 | 0.1 | 0.5 | 29.1 | 沿道施設(生活利便施設等)を含む | |
小計 | 73.8 | 5.6 | 2.7 | 68.1 | ||
合計 | 108.4 | 8.2 | 9.4 | 100.0 |
2. | 経緯 | ||
平成11年 | 10月19日~11月18日 | 準備書公告・縦覧 | |
平成12年 | 6月13日 | 知事意見提出 | |
9月20日 | 建設省より意見照会 |
添付資料
- 連絡先
- 環境庁企画調整局環境影響評価課環境影響審査室
室 長 :森谷賢 (6231)
審査官 :澤山秀尚(6232)