報道発表資料

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1997年11月30日

AGBM8再開会合及びシンクに関する非公式会合の概要(11月30日(日))

1.AGBM第8回会合再開会合

(1) 11月初め以降の進捗について、エストラーダ議長からまとめがあり、各国が個々の論点について意見を述べた。
(2) 附属書I国のバブル提案  ロシアからの本件に関する提案については、明日テキスト配布される予定。
(3) 対象ガス
 「エ」議長より、「3ガスについてはこれまでに合意されている。6ガスについてはコンセンサスが広がっているやに見受けられる」との発言あり。
 これに対し、英、日、ロシアが3ガスを主張。ハンガリーは3ガスに加えて残りのガスは別のバスケットとすべき旨発言。米、ノルウェーは6ガスを主張。タンザニア、中国はこれまでどおりガスバイガスを主張。 最後に議長より、2年半議論してまだ状況が変わっていないことに不満である旨発言があった。
(4) シンク
 本日行われた非公式会合について議長役のフィリピン・ラビナ次官より、4つのオプションに関する議論等の報告があった(詳細はシンクについての非公式会合ブリーフィング参照)。
 議長から、{1}シンクについての立場についてはまだ各国間で相違が続いているが、重要な問題で検討がされるべきという点では合意されていること、{2}タイミング、方法、スコープ、技術的面については懸念があることについて発言があった。
 ブラジルからシンクを考慮した場合にカバーする二酸化炭素量は20億トンにもなり問題であるとの発言があった。
 シンクの問題は、数値目標に影響を与えるので、デッドラインを設けて早急に議論すべきとされ、火曜日の夜をデッドラインに作業することが提案された。 
(5) バジェット
 議長より、G77は目標年の面でバジェットに賛成していないが、バジェットを受け入れるものと認識している旨の発言あり。
 G77(タンザニア)としては、「バジェットを承認すると見るのは時期尚早。納得していない」旨発言。中国も同様のコメント。
(6) 政策措置
 議長より、「まだ合意はない。強制的(マンダトリー)であるという意見と、不要という意見とに分かれている。両極端の合意は無理。それらの間の妥協点を探す必要がある」
旨発言あり。日本、ロシアがエストラーダ議長を支持。米国もエストラーダ議長に協力する旨発言。
 EUより「マンダトリーと言うが、これまで十分譲歩を続けてきており、現在のテキストはかなり一般的になっている」旨発言あり。
 また、ルクセンブルクは自発的に参加する途上国が条約の寄託者に政策措置を通報するという議定書第10条bis(追加)を提案した。これに対しタンザニア(G77代表)は、新たな提案であり、ベルリンマンデートを越えるものであるとして反対。 なお、議長より「明日からの全体委員会で、政策措置、QELROsについて新たなテキストを用意する」旨発言あり。
(7) 議定書の名称
 議長より、拡大ビューローの合意として、Kyoto Protocol to UNFCCC on GreenhouseGases(気候変動に関する国連気候変動枠組条約の温室効果ガスに関する京都議定書)との紹介があった。
 G77(タンザニア)等からは、「内容が決まっていないのに名称を決めるのは時期尚早」との意見があり、名称決定は後回しとなったが、「京都」の名を付けることに反対する国はない模様。

2.シンクに関する非公式会合

 シンク(吸収源)の扱いについて、AGBM8の10月会合に引き続き、フィリピンのアントニオ・ラビナ環境天然資源省次官を議長として議論が行われた。
 まず議長から、シンクの扱いについての各国のこれまでの意見を踏まえ、次の4つのオプションが提示された。本案は、両極端を排除した案であり、いずれもある程度の妥協案となっている。

{1} 第一バジェット期を対象としたネットアプローチで、第2バジェット期以降はIPCCで更に検討した手法をもとに改善した方法で行う。
{2} 第一バジェット期は土地利用変化・林業をQELROsから外し、IPCCで手法を改善して第二バジェット期から導入。
{3} 当面土地利用変化・林業をQELROsから外す。議定書第1回締約国会議で、新たな様式及びIPCC手法の改善により土地利用変化・林業を加える(第一バジェット期にこれらが入るか明確に決めない)。
{4} 土地利用変化・林業分野をQELROsの対象から外す。但し、「新規活動」によって削減された温暖化ガスを将来のためにカウントできるようにする。

 この4つの案についてどう考えるか、各国が意見を出しあった。 基本的傾向として、{1}については、米、豪、NZ、ノルウェー等が支持し、{2}は日本の他、ナウル等の小島嶼国連合、EU(オプション3も可)、またブラジルも近い意見。{3}はEUの数ヶ国、{4}についても若干の国が支持した。
 なお、IPCCのボーリン前議長が出席し、IPCCによる吸収源の現状の測定ガイドラインは法的拘束力のある約束になじむ程立派なものではないと明言。
 ラビナ議長は、本会合の取りまとめとして、依然として基本的なスタンスに違いがあるものの、相当な歩み寄りが見られること、各国の協調的な姿勢が見られることを評価した。また議長は、各国は、シンクが重要な問題であり、いつかの時点でQELROに取り入れるこ、一方でその不確実性にも疑問の余地なし、という見解に合意したと考えていると述べた。
 明日以降、具体的な議論が行われる予定(議長は引き続きラビナ次官となると思われる)。

連絡先
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