報道発表資料

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1997年11月28日

港湾審議会第164回計画部会について

運輸省において、平成9年11月28日(金)午後1時30分より、港湾審議会第164回計画部会が開催され、和歌山下津港をはじめとする9港湾の港湾計画の改訂等について審議がなされた。当庁は、当該審議会の委員として、環境保全の観点から意見を述べた。
<上程案件>
【港湾計画】
港 湾 名 種  別 都 道 府
県 名
将来取扱貨物量
(目標年次)
主な改訂等の内容
和歌山下津港 改  訂 和歌山県 5,870万トン
(平成20年代前半)
・埋立による廃棄物処理活用用地(117ha)の確保
・火力発電所用地の確保、公共ふ頭、旅客ふ頭等の整備
日高港 改  訂 和歌山県 1,400万トン
(平成20年代前半)
・埋立による火力発電所用地(110ha)、マリーナ(5ha)の確保
・専用ドルフィン、耐震強化岸壁等の整備
高松港 改  訂 香川県 6,810万トン
(平成20年代前半)
・埋立(19ha)によるふ頭用地、港湾関連用地等の確保
・公共ふ頭、小型船だまり等の整備、廃棄物処理用地の用途指
坂出港 改  訂 香川県 2,960万トン
(平成20年代前半)
・埋立(7ha)によるふ頭用地、港湾関連用地等の確保
・公共ふ頭、緑地等の整備
厳原港 改  訂 長崎県 230万トン
(平成20年代前半)
・埋立(2ha)によるふ頭用地等の確保
・公共ふ頭、フェリーふ頭、小型船だまり、緑地等の整備
石狩湾新港 改  訂 長崎県 660万トン
(平成10年代前半)
・埋立による廃棄物処理用地(41ha)の確保
・公共ふ頭、小型船だまり、防波堤、緑地等の整備

港 湾 名 種  別 都 道 府
県 名
将来取扱貨物量
(目標年次)
主な改訂等の内容
伏木富山港 軽微変更 富山県   公共ふ頭、臨港道路等の整備
衣浦港 軽微変更 愛知県   発電所用専用ふ頭の整備
青方港 軽微変更 長崎県   フェリーふ頭等の整備

<環境庁意見>
【和歌山下津港】
1.本計画のうち、本港沖地区に計画されている廃棄物処理・活用用地については、埋立を厳に抑制すべきとされる瀬戸内海における大規模な埋立てであり、瀬戸内海国立公園の特別地域に隣接していることから、特別地域内の重要な視点場である雑賀崎地区から望見した紀淡海峡から太平洋にかけての景観に著しい影響を与えるものである。
 これは、「瀬戸内海環境保全特別措置法第13条第1項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針」に定める、埋立てによる自然景観への影響の度合が軽微であること、自然公園法による特別地域(その周辺を含む)での埋立ては極力さけることの各事項に抵触するものと考える。
 このため、本埋立計画については、雑賀崎地区から望見した紀淡海峡から太平洋にかけての景観を十分に保全するよう再検討されたい。

2.本港の背後地においては、道路交通騒音に関して現況で環境基準を超え、将来も環境基準を超えることが予測されている。港湾管理者におかれては、臨港道路の整備促進等により港湾関連交通の市街地流入防止策に努めるとともに、内貿ユニットロードターミナルの整備による港湾関連交通の発生量軽減を図ること等により、道路環境保全対策に協力されたい。

3.本港の周辺海域は、窒素、燐に係る環境基準が達成されておらず、富栄養化の進行した海域であり、特に閉鎖性の高い薬種畑地区、内港地区については、将来水質が環境基準を超過することが予測されている。港湾管理者におかれても、関係機関との連絡調整のもと、工場・事業場の排水負荷の削減等を要請すること等により、当該海域の海域環境保全対策に協力されたい。

【高松港】
1.本港の周辺海域は、富栄養化の進行が懸念され、平成9年4月に窒素、燐に係る環境基準の類型当てはめがなされたところであるが、将来水質は、今回計画で朝日地区に位置付けられた埋立地の周辺海域で環境基準を超過することが予測されている。港湾管理者におかれても、下水処理場への高度処理の導入を関係機関に要請すること等により周辺海域の海域環境保全対策に協力されたい。

2.本港の周辺地域における現況二酸化窒素濃度は環境基準の上限値に近く、また、地域内の全測定局において平成元年度以降二酸化窒素年平均値は増加傾向にある。目標年における二酸化窒素環境濃度については不明な点もあるが、将来において二酸化窒素に係る環境基準が達成できないおそれが高いものと考えられる。港湾管理者におかれては、関係機関との連絡調整のもと、港湾関連車両の臨港道路等の利用促進や工場・事業場の負荷低減を要請すること等により、地域における大気環境保全対策に協力されたい。

【石狩湾新港】
 本港の背後地においては、道路交通騒音に関して現況で環境基準を超え、将来も環境基準を超えるおそれのある地点がある。港湾管理者におかれても、関係行政機関との連絡・調整のもと、港湾関連車両が住宅地に流入しないよう要請すること等により道路環境保全対策に協力されたい。

【日高港、坂出港、厳原港、伏木富山港、衣浦港、青方港】
・意見なし



(参 考)    

<港湾審議会答申>
【和歌山下津港】
 原案のとおり、おおむね適当である。但し、雑賀崎前面の埋立計画については、瀬戸内海国立公園の特別地域に隣接していることから、景観の保全についてさらに検討されたい。

【日高港、高松港、坂出港、厳原港、石狩湾新港、伏木富山港、衣浦港、青方港】
原案のとおり適当である。
連絡先
環境庁企画調整局環境影響評価課
室  長 :小林 正明(6231)
 審査官  :関根 達郎(6236)