報道発表資料

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1997年11月28日

「気候変動に関する国際連合枠組条約」に基づく第2回日本国報告書の取りまとめについて

政府は、「気候変動に関する国際連合枠組条約」に基づく第2回日本国報告書の政府案について国民の意見聴取(11月5~19日)を行い、今般、聴取した意見を参考にして報告書を取りまとめた。報告書(英語)は、速やかに条約事務局に提出予定である。

1.国民からの意見の提出状況

 第2回報告書の政府案に対しては、42の個人又は団体から延べ254項目について意見が寄せられた。これらの意見については、当庁の図書館で公開する。また、本報告書の条約事務局による詳細審査(明年に予定)の際に、意見の要旨を紹介するほか、審査チームが産業界、NGO等からの意見を聴取する機会が設けられる予定である。

2.国民の意見に基づく報告書修正箇所について

 国民からの意見のうち、政府とは見解や評価を異にするものについては対応できなかったが、主に事実関係の修正を求める指摘に対応し、10箇所について修正を行った。(別紙参照)

3.報告書の提出

 報告書は、速やかに条約事務局へ正式に提出する。


(別紙)報告書修正個所
       (《》部が追加部分、『』部が削除部分)

{1}第1章 国家の状況

 1.9.2 財政 P.21 下から4行目
 予算のうち地球環境保全を直接の目的とするもの及び地球環境保全に特に資すると認められる地球環境保全関係予算は、1996年度5,688億円(前年度当初5,660億円)となっており、このうち、地球温暖化対策は4,605億円(前年度当初は 4,629億円)である《(表1.5参照)》。1996年度における地球温暖化対策予算は、一般歳出全体の1.1%に相当する。

《表1.5 1996年度地球環境保全関係予算の内訳(単位 億円、%)》
  1996年度
  95→96年度
増 減 額
伸び率
地球温暖化対策      4,605    ▲  24    ▲  1
オゾン層の破壊対策 24 2 12
酸性雨対策 66 ▲  8 ▲  11
海洋汚染対策 28 ▲  1 ▲  4
有害廃棄物の越境移動対策 3 2 389
熱帯林の減少 20 2 14
野生生物の種の減少対策 16 2 16
砂漠化対策 11 2 15
開発途上国の公害問題対策 36 0 0
上記分類に当てはまらないもの 879 50 6
合 計 5,688 28 0.5

(関連意見提出者)WWFジャパン、CASA

{2}第3章 政策・措置  ■我が国の地球温暖化に対する取組の体系

 1.地球温暖化防止行動計画 P.46 下から14行目  また、各施策の実施状況について、毎年、地球環境保全に関する関係閣僚会 議に報告されており、『1996年度には、308の施策』《1995年度の実績として、406の施策》(うち新規施策57)が報告されている。

 (関連意見提出者)市民フォーラム2001、日本科学者会議

{3}3.1.1.6 中長期的なエネルギー供給のあり方 P.54 上から1行目

 こうした観点から、石油製品のパイプライン輸送化は、『長期的な一つの』重要な対策として検討されている。

 (関連意見提出者)石油連盟

{4}3.1.2.1 業種横断的対策 P.55 上から15行目

 工場、事業場においてエネルギー利用、転換の効率化を図る方法の多くは共通している。利用の面では《高性能工業炉、》高効率ボイラー、高効率モーター、インバーターの導入といった方法が挙げられる。

 (関連意見提出者)埼玉大学教授 外岡豊

{5}3.1.2.2 各産業における対策 P.59
表3.5 二酸化炭素等排出削減に関する具体的な数値目標を自主的に掲げている業種とその内容
業種団体目標年目標       
石油 石油連盟 2010年
『精油所』《製油所》の補正エネルギー原単位を1990年比10%削減。
2010年
陸上輸送、海上輸送ともに、燃料使用量を1990年比109%削減。
2010年
コージェネレーションの普及により石油消費量を1990年より100万kl/年削減。

(関連意見提出者)石油連盟

{6}第4章 温室効果ガス排出・吸収の将来見通し
表4.3 二酸化炭素排出見通し
年度 199019952010
単位 Tg-CO2 Tg-C Tg-CO2 Tg-C Tg-CO2 Tg-C
エネルギー 『1,052』 287 『1,140』 311 1,272 347
1,053   1,138      
_ エネルギー転換部門 77 21 84 23 92 25
    83      
産業部門 495 135 495 135 521 142
民生部門 264 72 304 83 363 99
運輸部門 213 58 249 68 297 81
214          
工業プロセス 59 16 62 17 62 17
    61      
廃棄物 15 4 18 5 18 5
13   19      
合計 『1,126』 307 『1,217』 332 1,353 369
1,125   1,218      
(1990年度比増減率(%))   +8% +20%

《注1)産業、民生部門については、表2.4と分類が異なっているため、数値は一致していない。

 注2)発電に係る排出量を最終需要部門に配分したものである。

 注3)各部門の合計と総計の差は、統計誤差による。》

(関連意見提出者)WWFジャパン

{7}第5章 気候変動により予想される影響及び脆弱性の評価

 5.5.1 日本の自然環境の脆弱性 P.99 上から12行目
  『このため、』《以上のことから》、地球温暖化による日本の生態系への影響をマクロなスケールで定量的に評価することは、現時点では不可能に近い。

 (関連意見提出者)WWFジャパン

{8}5.5.2 山岳地域における地形形成作用への影響 P.99 上から16行目

 温暖化による『海水準』《海水面》の変化、降水量の増大は河川の下刻(侵食作用)の変化を通して山地の斜面の安定性に大きな影響を及ぼす。

 (関連意見提出者)WWFジャパン

{9}第7章 資金援助と技術移転

 7.4.4 民間レベルでの国際協力の推進 P.118 上から3行目
 国内の様々なNGOにおいても例えば、(財)自然環境研究センター、(財)国際湖沼環境委員会、(社)海外環境協力センター、(財)オイスカ《、(社)経済団体連合会》等の公益法人や、日本国際ボランティアセンター、曹洞宗国際ボランティア会等の任意団体をはじめとする多くの団体が政府レベルから草の根レベルまでの環境保全プロジェクトの実施、環境協力に関するシンポジウム、講演会、セミナーの開催《、環境保全活動の支援》等により国際環境協力の推進に取り組んでいる。

 (関連意見提出者)(社)経済団体連合会

{10}表7.3.3 「ハード」及び「ソフト」技術の移転あるいはそれらの技術へのアクセスを促進し、あるいはそのための資金供与を行うプロジェクトまたはプログラム P.126

  プロジェクト/プログラムの名称
   気候変動及び大気汚染に対応するための東アジア地域ネットワーク設立
   及び活動への地球環境基金からの支援

  実施年
   1995年度『より基金からの支援を実施』《~1996年度》

 (関連意見提出者)環境事業団地球環境基金部

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課   長 :小林  光 (内6740)
 調 整 官  :関 荘一郎(内6765)
 課長補佐 :島田 幸司(内6737)
 担   当 :岩佐 健史(内6763)