報道発表資料
農林水産省と環境省が連携して実施している「田んぼの生きもの調査」について、平成21年度の調査結果がまとまりましたのでお知らせします。
本年度は、全国で616団体が参加し、魚について約1,250地点、カエルについて約300地点、水生昆虫について約1,450地点で調査が実施され、その結果、87種の魚、15種のカエル、20種の水生昆虫が確認されました。
1.調査目的
水田や水路、ため池など多様な環境がネットワークを形成している農村地域は、さまざまな生きものにとって重要な生息・生育の場所となっています。農林水産省と環境省は連携して、農村地域の生きものや生態系に関する情報を収集するため、田んぼの代表的な生きものである魚、カエルなどを対象として、これらの生息状況の調査を実施しています。
2.調査内容
調査対象種は魚、カエル、水生昆虫を対象としました。併せて、農業用施設等に対する被害の恐れのある外来種の生息状況についても調査しました。
- 対象生物:
- 魚、カエル、水生昆虫(タイコウチ、ゲンゴロウなど)、外来種(カワヒバリガイ、ボタンウキクサ、ホテイアオイ)
- 調査場所:
-
- ・魚調査
- 農業用の水路、ため池
- ・カエル調査
- 水田の畦や水路など
- ・水生昆虫調査
- 水田の畦際、農業用の水路、ため池
- ・外来種調査
- 農業用の水路など
- 調査地点数:
-
- ・魚調査
- 約1,250地点
- ・カエル調査
- 約 300地点
- ・水生昆虫
- 約1,450地点
- ・外来種調査
- 約 200地区
3.参加団体及び人数
農林水産省の出先機関をはじめ、都道府県や市町村、土地改良事業団体連合会や土地改良区、地元農家、さらには小学校や地域住民の皆さんの延べ616団体の5,069人が参加しました。
4.調査期間
平成21年5月~10月
5.調査結果の概要
- (1)
- 魚・カエル調査
魚が87種、カエルが15種確認されました。全国で確認地点数の多かった魚の上位5位はドジョウ、ギンブナ、メダカ、タモロコ、モツゴであり、カエルの上位5位はニホンアマガエル、トノサマガエル、ヌマガエル、ツチガエル、トウキョウダルマガエルでした。魚とカエルの希少種・外来種に関する結果は以下のとおりです。- ○
- 希少種(ここでは、環境省レッドリストに挙げられている生物種を示します。)
- ・
- 魚ではカワバタモロコ(絶滅危惧IB類)、ギバチ(絶滅危惧II類)をはじめ19種、カエルではナゴヤダルマガエル(絶滅危惧IB類)、トウキョウダルマガエル(準絶滅危惧)の2種が確認されました。
- ・
- メダカに関しては、平成20年度までの本調査で確認されていなかった10メッシュで新たに生息が確認されました。平成13~21年度の本調査の結果について、第5回自然環境保全基礎調査の分布情報(約10km四方の2次メッシュ単位で691メッシュ)と重ね合わせた結果、本調査により198メッシュで新たな生息情報が得られました。
- ・
- トウキョウダルマガエルに関しては、平成20年度までの本調査で確認されていなかった9メッシュで新たに確認されました。メダカの分析と同様にこれまでの調査結果について第5回自然環境保全基礎調査の分布情報(2次メッシュ単位で155メッシュ)と重ね合わせた結果、本調査により108メッシュで新たな生息情報が得られました。
- ○
- 外来種(ここでは、国外から移入してきた種を示します。)
- ・
- 魚ではオオクチバス、ブルーギルなど12種、カエルではウシガエルなど2種、合計14種の外来種が確認されました。
- (2)
- 水生昆虫調査
全国で4科20種が確認されました。全国で確認地点数の多かった水生昆虫の上位5種はヒメガムシ、タイコウチ、コガムシ、オオコオイムシ、ミズカマキリでした。また、絶滅危惧I類のコガタノゲンゴロウ、準絶滅危惧のゲンゴロウ、マルガタゲンゴロウ、コオイムシの4種が確認されました。 - (3)
- 外来種調査
ボタンウキクサが鹿児島県の1地点で、カワヒバリガイが群馬県の1地点で、ホテイアオイは静岡県、香川県、佐賀県の3地点で確認されました。- ※
- 結果の詳細については、添付資料及び農林水産省報道発表資料(http://www.maff.go.jp/j/press/index.html)をご参照ください。
添付資料
- 「田んぼの生きもの調査2009」で確認された魚とカエル [PDF 83 KB]
- 「田んぼの生きもの調査2009」で確認された水生昆虫 [PDF 59 KB]
- 第5回自然環境保全基礎調査による分布情報との比較 [PDF 727 KB]
- 第5回自然環境保全基礎調査による分布情報との比較 [PDF 558 KB]
- 連絡先
- 環境省自然環境局自然環境計画課
TEL:03-5521-8274(直通)
03-3581-3351(代表)
課長:星野 一昭(内線 6430)
課長補佐:奥山 正樹(内線 6435)
担当:鬼塚 淳一(内線 6482)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成21年4月10日
- (お知らせ)農林水産省と環境省の連携による「田んぼの生きもの調査2008」の結果について