報道発表資料
環境省、林野庁、文化庁、東京都及び小笠原村では、独特の地史や生物進化が見られる「小笠原諸島」を、世界遺産条約に基づく世界遺産一覧表に、「世界自然遺産」として記載するために必要な手続きを進めてきたところです。本日、世界遺産条約関係省庁連絡会議において、我が国政府として、推薦書を世界遺産委員会事務局に提出することが決定されましたのでお知らせします。提出した推薦書については世界遺産委員会の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)に送付され、本年夏頃(予定)にIUCNによる現地調査が行われます。この評価結果をもとに、平成23年の世界遺産委員会において、世界遺産一覧表への記載の可否が審議される予定です。
1.遺産名
小笠原諸島
2.所在地
東京都小笠原村
東京湾からおよそ1,000km(竹芝~父島間)南方の海上に、南北400kmにわたって散在する大小30余りの島々。父島に約2,000人、母島に約450人が居住。東京の竹芝から父島まで船で約25時間。
3.共同推薦省庁
環境省、林野庁及び文化庁
4.世界遺産としての価値
- ○カテゴリー
- 自然遺産
- ○記載基準
- (viii)、(ix)、(x)
(viii)地球史の顕著な見本
推薦地は、地球上の大陸を形成する場となっている海洋性島弧(列上にならんだ島)の発生と進化の過程を、陸上に露出した岩石や溶岩から解明することのできる世界で唯一の場所である。
(ix)生物進化の過程を示す顕著な見本
推薦地の生物相は、大陸と一度も陸続きになったことのない隔離された環境下で、様々な進化をとげて多くの種に分化した生物から構成され、固有種率が高い。推薦地は海洋島生態系における進化の過程を代表する顕著な見本である。
(x)希少種等の重要な生息生育地
推薦地は、限られた陸域でありながら、固有種を含む動植物の多様性に富んでおり、オガサワラオオコウモリやクロアシアホウドリなど世界的に重要とされる絶滅のおそれのある種の生息・生育地でもあり、北西太平洋地域における生物多様性の保全のために不可欠な地域である。
5.推薦区域等
推薦区域(別図参照)
- 聟(むこ)島列島、父島列島(父島を除く)、母島列島(母島を除く)
- 西之島、北硫黄島、南硫黄島の全島
- 父島及び母島の一部
- 父島属島の南島周辺の海域
保護担保措置
推薦地は、国内法等により指定された以下の地域から構成される。
- 南硫黄島原生自然環境保全地域(自然環境保全法)
- 小笠原国立公園(自然公園法)
- 国指定鳥獣保護区(鳥獣法)
- 小笠原諸島森林生態系保護地域(国有林野管理経営規程)
- 天然記念物(文化財保護法)
面積
- 陸域
- 約6,350 ha
- 海域
- 約1,050 ha
- 計
- 約7,400 ha
6.今後のスケジュール
- 平成22年1月18日
- 世界遺産条約関係省庁連絡会議
推薦書(正式版)の提出について政府として正式決定 - 平成22年2月1日まで
- 世界遺産委員会事務局へ推薦書(正式版)を提出
- 平成22年夏頃(予定)
- 世界遺産委員会の諮問機関であるIUCNによる現地調査
- 平成23年1月末まで
- IUCNからの追加情報要請
- 平成23年2月末
- IUCNからの追加情報要請への回答期限
- 平成23年5-6月
- IUCNからの評価報告書
- 平成23年7月頃
- 世界遺産委員会による世界遺産一覧表記載の可否の審議
7.関連情報
推薦書案など小笠原諸島の世界自然遺産への推薦に関する情報は、以下のHPでご覧頂けます。
http://ogasawara-info.jp/isan_science.html
添付資料
- 連絡先
- 環境省自然環境局自然環境計画課
TEL:03-5521-8274(直通)
03-3581-3351(代表)
課長:星野 一昭(内線6430)
課長補佐:奥山 正樹(内線6435)
担当:羽井佐 幸宏(内線6477)