報道発表資料

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2009年11月30日
  • 保健対策

第2回SAICMアジア太平洋地域会合等の結果について(お知らせ)

 アジア太平洋地域における「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」(SAICM)の推進のため、11月23、24日に北京(中国)において、「第2回SAICMアジア太平洋地域会合」が開催されました。
 今回の会合では、本年5月に開催された第2回国際化学物質管理会議(ICCM)において今後国際的に取組を進めるべきとされた「製品中化学物質」等の新たな課題に関連して、地域各国が抱える問題等について意見交換を行ったほか、地域におけるSAICMの実施を促進するため、新たに地域調整グループを設置することに合意しました。
 また、同会合に引き続いて、水銀に関するアジア太平洋地域協議会合とナノテクノロジー及び工業用ナノ材料に関する地域ワークショップが開催されました。

1.背景

 2006年2月にドバイ(アラブ首長国連邦)で開催された国際化学物質管理会議(ICCM)において、「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」(Strategic Approach to International Chemicals Management;SAICM)が策定されました。
 SAICMは、2020年までに化学物質が健康や環境への影響を最小とする方法で生産・使用されるようにすることを目標とし、科学的なリスク評価に基づくリスク削減、予防的アプローチ、有害化学物質に関する情報の収集と提供、各国における化学物質管理体制の整備、途上国に対する技術協力の推進等を進めることを定めたものです。

2.第2回SAICMアジア太平洋地域会合の概要

・会議期間:
2009年11月23日(月)~24日(火)午前、26日(木)午前
・場所:
北京(中国)
・出席者:
アジア太平洋地域の各国政府代表、関係国際機関、産業界、非政府機関等。我が国からは、早水輝好・環境省環境安全課長のほか、環境省、経済産業省の担当官等が出席。
・会議文書:
議題、会議文書等はSAICMの以下のウェブサイトから入手可能です。
http://www.saicm.org/index.php?ql=h&content=home

3.第2回SAICMアジア太平洋地域会合の結果の概要

 本会合では、我が国の早水輝好・環境省環境安全課長が中国政府の代表とともに共同議長を務めました。主な議題に係る結果は以下の通りです。

(1)アジア太平洋地域における保健分野での化学物質管理に係る取組
 2007年にUNEPと世界保健機関(WHO)により設立された「東アジア及び東南アジアにおける環境と保健に関する地域フォーラム」の下に設置されている「有害化学品及び有害物質に関する作業部会」の活動や、各国における環境担当省と保健担当省の連携状況が報告されました。これらの情報は、今後UNEPがWHOと共同で作成する「SAICM保健セクター戦略」の検討に活用されることとなります。
(2)製品中の化学物質等の課題
 本年5月に開催された第2回ICCMで選定された4つの「新規の課題」(「ナノテクノロジー及び工業用ナノ材料」、「製品中化学物質」、「電気電子製品のライフサイクルにおける有害物質」及び「塗料中鉛」)に関するこれまでの取組状況について、UNEP事務局等より報告がなされました。
 このうち、「電気電子製品のライフサイクルにおける有害物質」については、使用済製品のリサイクルや廃棄に伴う有害物質の排出に対して多くの国が懸念を表明しました。このため、UNEP等が来年5月のバーゼル条約の公開作業部会に併せて開催する本課題に関するワークショップに向けて、途上国の能力向上等を求める提言がまとめられました。
 また、「製品中化学物質」については、各国が製品中の化学物質を特定できるような情報の提供等が重要であり、今後優先的に取り組むべき製品群を絞って情報提供の改善に係る検討を進めるべきといった議論が行われました。
(3)アジア太平洋地域におけるSAICMの実施
 今後のSAICMの実施に当たって、アジア太平洋地域の主張を世界全体での議論に適切に反映させていくため、新たにアジア太平洋地域調整グループを設置することとし、各準地域(北東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジア、西アジア及び大洋州)を代表する国、国際機関、ステークホルダーの代表などを同グループのメンバーとすることやグループの役割等について合意しました。
(4)国連持続可能な開発委員会(CSD)に向けた準備
 2010年及び2011年のCSDにおいて、化学物質が議論のテーマの一つとされていることから、化学物質管理に関して地域が抱える課題について議論が行われました。多くの国から、SAICMの実施のために長期的に持続可能な資金提供が必要であるとの認識が示され、その他の本会合での論点と併せて、11月30日から行われるアジア太平洋地域におけるCSD準備会合にインプットすることになりました。

4.その他

 SAICM地域会合に引き続き、水銀に関するアジア太平洋地域協議会合(24日午後~26日)とナノテクノロジー及び工業用ナノ材料に関する地域ワークショップ(27日)が開催されました。

(1)
水銀に関するアジア太平洋地域協議会合

 水銀管理に関する条約の制定に向けて、来年から政府間交渉委員会が開催されることを踏まえ、地域各国における水銀の排出・利用の状況等が報告されたほか、条約交渉に向けた地域における議論の進め方に関して意見交換がなされました。我が国からは、水銀含有廃棄物の管理に関する水銀パートナーシップの活動等について報告を行いました。

(2)
ナノテクノロジー及び工業用ナノ材料に関する地域ワークショップ(経済協力開発機構(OECD及び国連訓練・調査研究所(UNITAR)主催)

 第2回ICCMにおいて「ナノテクノロジー及び工業用ナノ材料」が新規の課題として選定されたことを踏まえて、OECD等において実施されている工業用ナノ材料の安全性に関する国際的取組の状況、工業用ナノ材料の環境保全等への応用可能性等について、情報共有がなされました。我が国からは、ナノ材料の安全性評価や環境影響の防止に向けた取組について報告を行いました。

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
代表:03-3581-3351
課長:早水 輝好(内線 6350)
課長補佐:関谷 毅史(内線 6353)

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