報道発表資料

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2009年11月16日
  • 保健対策

第11回 化学物質の内分泌かく乱作用に関する日英共同研究ワークショップの結果について(お知らせ)

 第11回化学物質の内分泌かく乱作用に関する日英共同研究ワークショップを、11月13、14日に大阪府大阪市で開催いたしました(公開)。本ワークショップでは、両国の研究担当者によるこれまでの成果の発表、意見交換が行われたほか、今後の研究テーマについても議論がなされ、共同研究の今後5年間の継続に関する文書の調印式が行われました。

1 目的

 平成11年3月に開催されたG8環境大臣会合において、化学物質の内分泌かく乱作用に関して英国と共同研究を実施することが合意され、5カ年の日英共同研究事業が開始されました。平成16年度には、5年間の延長(2005~2009年)が決定され、日英両国の研究者が共同で研究を推進してきました。
 今年度のワークショップでは、両国の研究担当者によるこれまでの成果の発表、意見交換が行われたほか、昨年10月に英国で開催された第10回ワークショップにおいて日英共同研究を2010年より引き続き5年間延長することが合意されたことを受け、今後の研究テーマについての議論がなされ、日英共同研究の継続に関する文書の調印式が行われました。

2 日時

平成21年11月
13日(金)9:00~18:20
14日(土)8:40~13:00

3 場所

リーガロイヤルホテル大阪
(大阪市北区中之島5-3-68)

4 出席者

日本:
井口泰泉(研究統括者、自然科学研究機構)、田中宏明(京都大学)、早水輝好(環境省)、他(18名)
英国:
チャールズ タイラー(研究統括者、エクセター大学)、トム ハッチンソン(環境水産科学研究所)、イアン ダルトン(環境食料農村地域省)、マイク ロバーツ(同)、他(12名)

5 結果の概要

(1)
日英共同研究における研究プロジェクト(2005~2009年)について

 両国の研究担当者より、5年間の第2期共同研究の成果についての発表がなされた。
概要は以下のとおり。

[1]
排水由来エストロゲン様作用の評価に関する研究
 下水処理水及び環境水中のエストロゲン様作用(女性ホルモン様作用)を持つと考えられる物質について、日英の現状及びその違い等に関する報告がなされた。
[2]
イトヨを用いたアンドロゲン様作用の評価手法の研究
 イトヨ(冷水性淡水魚)を用いた、アンドロゲン様作用(男性ホルモン様作用)の検出法、ホルモン剤の複合影響等に関する報告がなされた。
[3]
魚類精巣卵の誘導機構に関する研究及び魚類エストロゲン受容体の種特異性の調査
 メダカなど6種類の魚を用いて、女性ホルモン様物質をばく露した飼育試験及び試験管内試験を行い、その影響について、種差などを考慮した多角的な解析の結果が報告された。
[4]
両生類の生態影響評価手法の研究
 両生類(アフリカツメガエル・ニシツメガエル)を用いた、化学物質のエストロゲン様作用等の影響を調べるための遺伝子技術の開発、発達段階のデーターベースの作成及び変態試験の検討、生態調査の方法の検討等の結果が報告された。
(2)
今後の日英共同研究における研究内容について

 2010年以降の共同研究は、これまでの成果を踏まえ、横断的なテーマを設定して進めることとされ、以下のテーマが設定された。

[1]
処理排水中及び環境中の主要な内分泌かく乱作用を有すると疑われる化学物質及び新たな化学物質の挙動を推定するための研究、並びにそれら化学物質の環境中への排出を低減するための研究
[2]
内分泌かく乱化学物質が起こしうる環境リスクを評価するための野生生物への悪影響を推定する方法(試験法)の開発
[3]
水生生物及びその他の生物の生殖及び成長への影響を把握するための化学物質試験法における様々なエンドポイントの評価(遺伝子レベルや分子生物学的なアプローチ)に関する研究
[4]
英国及び日本における野生生物への環境リスク(個体群レベルでの影響等)の解析
(3)
次回ワークショップについて

 次回ワークショップは平成22年英国にて開催されることが合意された。

6 日英共同研究の5年間の継続に関する調印

 
 ワークショップでの検討結果を踏まえ、両国環境省代表者により5年間の継続に関する文書の調印を行った。調印内容は別添のとおり。
化学物質の内分泌かく乱作用に関する日英共同研究については、下記ホームページ(専門家向け 英語のみ)でも概要を御覧いただけます。
 http://www.uk-j.org

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
直通  03-5521-8261
代表  03-3581-3351
課長  早水 輝好(内6350)
課長補佐 佐方 信夫(内6352)

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