報道発表資料

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1997年06月30日

国連環境開発特別総会の結果について

平成9年6月23日~27日に、アメリカのニューヨーク国連本部において、国連環境開発特別総会が開催された。
 会合では、27日に、「アジェンダ21の更なる実施のためのプログラム」を採択した。
 我が国からは、橋本龍太郎内閣総理大臣、石井道子環境庁長官、鈴木恒夫環境政務次官らが出席した。

1.結果概要

 5年前の地球サミットの合意を着実に実施していくため、これまでの実施状況を踏まえ、今後優先的に取り組むべき課題を明らかにすることを目的として議論が進められ、最終日に「アジェンダ21の更なる実施のためのプログラム」が採択された。 なお、政治宣言については、議論の過程で、各国から、気候変動、森林保全、資金問題等のそれぞれの関心事項についても正確に記述すべき等との意見が出され、結果的に採択文書(セクションB、C、D)の記述との重複が目立つような案となったため、気候変動等の個別課題は採択文書と重複するので記述せず、アジェンダ21やリオ原則の再確認等の総括的な記述のみをステートメント・オブ・コミットメント(決意の表明)として、採択文書に含めることとなった。


2.「プログラム」の主な内容

(1)決意の表明
地球サミット以降、多くの成果が得られたことを認めるが、今日の持続可能な開発の全体的な状況は1992年当時と比べて悪化していることを深く憂慮する。グローバル・パートナーシップに立ち返り、環境と開発の諸目標を達成する国際環境を提供する、より効率的で平等な世界経済を建設する必要性から生まれた持続的な対話と行動に再びコミットする。

(2)気候変動
 「付属書[1]締約国に関する、2005年、2010年あるいは2020年といった特定の期間内に温室効果ガス排出量を相当削減する結果をもたらすような、法的拘束力があり、意味のある、現実的、かつ衡平な目標を考慮する必要があるという、普遍的ではないものの幅広い合意が既にある」としたほか、地球温暖化を防止する究極的な目標を達成するためには、排出量を相当削減する結果をもたらすのに十分な、効率的で費用効果的な政策・措置が必要であること、地球温暖化対策の実施による経済や環境への影響を考慮に入れるべきことなどが盛り込まれた。

(3)森林保全
 CSDの下に政府間フォーラムを設置し、国際協定やメカニズムの要素となるものを検討し、国際協定などに向けてのコンセンサスづくりを進め、その作業結果を1999年のCSDに報告することとされた。その報告に基づき、また、2000年のCSDの結果を踏まえ、どうフォーラムは法的拘束力のある措置に関する政府間交渉プロセスの確立に関し、更なるアクションをとることとされた。

(4)資金
 政府間の協議プロセスの強化について討議されたが、表現ぶりをめぐって意見の相違があったため、次回の経済社会理事会で引き続き討議されることとなっった。

(5)今後の予定
 アジェンダ21の実施状況の包括的なレビューを次回は2002年に行うこととした。また、それに向けたCSDの毎年の作業計画を示した。

3.我が国の貢献

(1)橋本総理の演説
 初日の23日に橋本総理が演説し、12月に京都で開催される地球温暖化防止京都会議の成功に向けて、国連として、固い決意を示そうと訴えるとともに、地球温暖化対策を国際協力の下に加速するよう、提唱した。

(2)非公式首席代表会合
 24日に開催された非公式首席代表会合において、石井環境庁長官は、デンバーサミットで、G8が温室効果ガスを2010年までに削減する結果をもたらすような、意味のある、現実的、かつ衡平な目標にコミットする用意があることで一致したことを報告するとともに、その内容を特別総会で作成する文書に盛り込むことを訴えた。
 26日に開催された非公式首席代表会合において、文書の気候変動問題に関するパラ42のとりまとめに関し、トルバ議長より先進国側の議長として我が国が指名され、田邊地球環境大使が議長となった。我が国はデンバーサミットの結果を踏まえた提案を行い、EUの提案と我が国の提案の2つの案が討議の対象となったが、我が国の提案に対する指示が多く、我が国提案がベースとなって意見の調整が行われた。結果として採択された文章の中核となる部分は、我が国の提案がベースとなっている。

(3)環境庁主催昼食会
 24日に各国代表団を招待し、昼食会を開催した。会場において、石井環境庁長官から、アジア太平洋地域での環境協力の今後の方向性を提示したエコ・パックを紹介した。

(4)ジャパン・ルーム
 26日に国連内にジャパン・ルームを開設し、環境白書、環境基本計画、こどもエコクラブニュース等の環境庁作成の多数の英文冊子を配布するとともに、日本の公害経験及びエコアジア長期展望プロジェクトの紹介ビデオを上映し、約200名が訪れた。

             国連環境開発特別総会採択文書
            地球温暖化対策(パラグラフ42)
                 (環境庁仮訳)

 42.第19回特別総会において、国際社会は気候変動問題が来世紀に取り組むべき最大の課題であるという認識を確認した。多くの国の指導者が総会における声明の中で、このことの重大性を強調し、国内外で取り組んでいる対応の概要について述べた。

 すべての国が共有する究極の目標は、大気中の温室効果ガスの濃度を気候系に危険な人為的影響をもたらさないレベルに安定させることである。このためには、排出の相当の削減をもたらすのに十分となるような、効率的でかつ費用対効果が高い政策及び措置が必要である。今次会合で、各国は、京都での第三回気候変動枠組条約締約国会議に向けた準備状況をレビューした。我々は、満足のいく成果が得られることが重要であることを合意している。

 これらの交渉における多くの国の見解は未だ固まっておらず、その結果を予断することは適切ではないということが合意されたが、各国の検討中の立場について、有意義な意見交換がなされた。

 2005年、2010年あるいは2020年といった特定の期間に、温室効果ガス排出量を相当削減する結果をもたらすような、附属書[1]締約国に関する、法的拘束力があり、意味のある、現実的、かつ衡平な目標を考える必要があるという、普遍的ではないものの幅広い合意が既にある。目標の設定に加え、その達成のための方法と手段を考える必要があること及びそのような対策が全ての国、特に開発途上国に与える経済的影響、環境に対する悪影響等についても考慮する必要があるという幅広い合意もある。

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部企画課
課長:岡澤和好(6731)
 補佐:徳田博保(6721)

環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課長:小林 光(6740)
 温暖化国際対策推進室
 室長:鈴木克徳(6741)
 補佐:米谷 仁(6758)