報道発表資料

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1998年03月04日

やってみよう環境にやさしい暮らし-エコライフ実践活動in代沢中町会97-結果発表

 この取組は、環境庁、世田谷区が、世田谷区代沢中町会の協力を得て、平成9年11月4日から12月10日まで実施したもので、1つのまとまった地域で約1ヶ月にたり環境にやさしい暮らし(エコライフ行動)を実践していただき、その効果を電ガス使用量を通じ、二酸化炭素削減量という数字で把握するものですが、この度取組の結果をとりまとめましたので、その概要を以下のとおり発表いたします。

【調査結果の概要】
1.対象世帯
 1098世帯にアンケート票を配布、うち、659世帯(回収率60.0%)から回収しました。

2.取組結果
全体として、積極的な取組が行われました。行動リストの「すぐやってみよう」の9項目のうち6項目以上を「いつも実施した」と回答した世帯が回答のあった世帯の約4割にのぼっています。
取組項目毎に、実施率の差が見られ、「部屋の消灯」等は高く、「炊飯器の保温をできるだけしない」等は低いという結果になりました。
積極的に取り組んだ世帯について集計すると、前年比約5%、炭素換算で6.1kg-C/世帯・月(気温変動等補正済)の電気・ガスによる二酸化炭素排出削減がみられました。
仮に全国でこの効果が得られたとすると、130万トン/年の削減となります。

3.今後の展開
 今後、さらに詳細な分析をすすめるとともに、自治体、NGO等のエコライフに関する取組について調査を行い、自治体及び国民一般向けのパンフレットを作成し、エコライフの普及に努める予定です。
1.「エコライフ実践活動in代沢中町会’97」について
 この取組は、環境庁、世田谷区が、世田谷区代沢中町会の協力を得て、約1ヶ月間(平成9年11月4日~12月10日37日間)、「使っていない家電製品のコンセントを抜く」、「使っていない照明を消す」といった環境にやさしい暮らし(エコライフ行動)を実施していただき、その効果を電気・ガスの使用量を通じ、二酸化炭素削減量という具体的な数字で把握していただき、日常生活と地球温暖化問題との深い関わりあいを参加者に実感していただくとともに、エコライフ実践活動の幅広い普及を目的に実施したものです。
 具体的には、予めお配りした「エコライフ行動リスト」に基づき、参加者の可能な範囲でエコライフを実施していただいた後で、検針票の当月及び前年同月の電気・ガスの使用量や実際にどの程度の頻度で行動を行ったかなどをアンケートに記入していただく形で実施しました。
 なお、電気・ガスの使用量の分析については、各家庭の期間中の使用量を前年同月の使用量との比較により行いました。また、期間中の気温が前年より高かったことによる電気・ガス使用量の減少要因についての調整は、調査対象地域の属している世田谷区全体のガス・電気使用量の前年との比較を用いて行いました。

2.アンケート票回収状況等
 アンケート票回収数659票(回収率60.0*%)
  *この種の調査としては、非常に高い回収率です。

3.取組による二酸化炭素削減効果
(1)削減効果の算定方法について
 今回の削減効果は、前年同月のガス・電気使用量との比較で算出することとしました。その結果には、今回の取組により新たに生じた削減効果が反映されることになります(以前から行われてきたエコライフによる削減量は従来の数字に含まれているので算出できません)。
 なお、実施期間中の気温は、前年同期に比べかなり高めだったこと等から(11月前年比1.4℃:世田谷区)、実施対象地域を含む世田谷区全体の電気・ガス使用量は前年比7.9%減と大幅に変動しています。今回の削減効果の算定にあたってはこの減少分をマイナス補正して算出することにしました。

(2)今回の取組による削減効果
 今回、積極的に取組を行った世帯(「すぐやってみよう」6~8項目をいつも実施した世帯。全体の36.7%)の削減量を見てみると、約5%(6.1kg-C/世帯・月)の削減効果が見られます。(図1)
 仮に電気・ガスの使用に関し、5%の削減を我が国全世帯で達成したと仮定すると、年間130万トン-C/年の削減となります。
 なお、今回全く始めてエコライフ活動を始めた世帯では、削減率は3.2%(削減量は5.6Kg-C/世帯・月)となります。

図1「いつも実施した」エコライフ項目数別二酸化炭素排出削減率

(3)対象世帯全体での削減量
 二酸化炭素の削減率は1.9%(削減量は3.8Kg-C/世帯・月)でした。

(参考)
 代沢中町会はアンケート結果によれば、エコライフに対する意識がもともと高い地域であることもあり、今回の実験による削減量が比較的低めに出る傾向を示していますが、既存の調査結果*では、エコライフに対する意識の高い世帯は、平均的な世帯と比較して、約15%エネルギー消費量が少ないとの結果も出されておりますので、仮に、他の一般的な地域において、代沢中町会の家庭のうち、熱心に取り組んだ家庭と同レベルの取組が行われたとすれば、10%を超える削減も十分可能であったと考えられます。
*平成6年3月経済企画庁実施「平成5年度家庭でのエネルギー消費量と環境負荷発生量に関する調査」による

4.取組状況(数字は回答のあった世帯に占める率)
(1)全体の取組状況
 エコライフ行動リストの「すぐやってみよう」9項目のうち、6項目以上を「いつも実施した」と回答した世帯が約4割に上るなど、積極的な取組が見られました。
 また、「じっくりやってみよう」についても、18項目のうち約半数の世帯が8項目以上を「いつも実施した」と回答しています。

(2)項目ごとの実施状況
 エコライフ行動リストの「すぐやってみよう」の9項目について、全体に実施率は高かったが、特に実施率の高い項目は、「つけっぱなしの使用していない部屋での照明を切る」等で、低いものは、「ご飯が炊けたら炊飯器電源を切る」等でした。
(図2)

「すぐやってみよう」について
 (実施率の高かったもの)
  使用していない部屋の消灯97%
  冷蔵庫には暖かい食品は冷まして入れる94%
  風呂のふたをまめにする89%

 (実施率の低かったもの)
  ご飯が炊けたら炊飯器の電源を切る64%
  ジャーポットを長時間使用しない場合コンセントを抜く67%

図2エコライフの実施状況「すぐやってみよう」

「じっくりやってみよう」について
 (実施率の高かったもの)
  アイロンの電源を入れっぱなしにしない91%
  掃除機をかける前に部屋を片づけ掃除時間を短縮する89%
  少量で洗濯せずにまとめ洗いをする88%

 (実施率の低かったもの)
  風呂の残り湯を洗濯に使用する42%
  外出時に暖房便座ヒーターのスイッチを切る43%
  軽い汚れの時はスピードコースで洗濯する60%

※実施率は、「いつも実施した」「時々実施した」の計の割合としました。

(3)認知度について
 行動リストの「すぐやってみよう」については、「以前から知っていた」の項目が多かったものの、約2/3の世帯しか知られていなかった項目も見られました。認知度の高さと取組の実施については相関が見られました。

(認知度の高い項目)
 使用していない部屋のつけっぱなしの照明を切る92.1%
 視聴していないテレビのつけっぱなしを止める90.3%
 冷蔵庫は暖かい食品は冷まして入れる90.1%

(認知度の低い項目)
 使用していない家電製品のコンセントを抜く69.0%
 ジャーポットを長時間使用しない場合コンセントを抜く68.3%、
 ご飯が炊きあがったらでるだけ炊飯器の電源を切る63.7%

 また、今回はじめて知った項目数は、世帯あたり平均1.4項目であり、この地域でのエコライフに対する認知度はもともと高かったことが示されています。

(4)項目別の取組を行わなかった理由
 行動リストの「すぐやってみよう」のうち、項目ごとに取組を行わなかった理由を「つい忘れてしまった」、「実施するのが面倒」、「実施したくなかった」の3つに分けると、9項目中7項目で「実施するのが面倒」が最も高い割合となりました。また、「つい忘れてしまった」、「実施したくなかった」それぞれで割合の高かった上位2項目は、冷蔵庫や炊飯器、電気ジャーポットといった食品に関係する電化製品についての項目でした。

「つい忘れてしまった」という理由が多かった上位3項目
 「冷蔵、冷凍の強弱の設定を「強」から「中」にする」33.9%
 「冷蔵庫に食品を冷まして入れる」31.3%
 「見ていないテレビのスイッチを切る」30.6%
 「使用していない家電製品のコンセントを抜く」50.7%
 「視聴していないテレビのスイッチを切る」40.8%

「実施したくなかった」という理由が多かった上位3項目
 「炊飯器の電源を切る」34.3%
 「電気ジャーポットを長時間使用しない場合はコンセントを切る」27.9%
 「冷蔵、冷凍の強弱の設定を「強」から「中」にする」23.1%

(5)従前からのエコライフ実施状況
 エコライフ行動リストの「すぐやってみよう」のうち、今回の取組以前に実施したことがある項目数の世帯あたりの平均は、6.9項目でした。また、7項目以上を以前実施したことがある世帯の割合は、全体の52%となり、以前から、この地域では半数以上の世帯でエコライフに取り組んでいたことがわかりました。

5.エコライフ実施後の感想について
 今回エコライフ実践活動を行った人は、回答者のみ実施した世帯の割合が45%、家族も協力して実施した世帯の割合が44%と割合はほぼ等しくなりました。
 また、エコライフ実践活動の必要性については、「大変そう思う」が最も多く68%、以下「かなりそう思う」が19%となっており、全体の87%が必要性を感じていることが明らかとなりました。
 さらに、エコライフ実践活動拡大の必要性については、「大変そう思う」と「かなりそう思う」を加えて87%が必要性を感じていることが明らかになりました。

6.今後の展開について
 今後、さらに詳細な分析をすすめるとともに、自治体、NGO等のエコライフに関する取組についても調査を行い、結果を取りまとめます。
 環境庁としては、これらの結果を行政施策の推進に活用するとともに、実験結果等を自治体及び国民一般向にわかりやすく解説したパンフレットを作成、配布するなど、エコライフの普及に努めたいと考えております。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境計画課
課長     :細谷 芳郎(6220)
 計画官   :今田 長英(6227)
 課長補佐 :飛島 雄史(6228)
 担当     :飛永 雅信(6224)
  〃      :荒川 秀彦(6224)

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