報道発表資料
本お知らせは、平成21年9月15日の発表後に計算誤りが判明いたしましたので、平成21年10月13日に、修正版に差し替えさせていただきました(現在掲載されているものは差し替え後のものです。なお、平成21年10月13日付けで修正を行いましたが、本文中の図1~26のリンク先データについては、修正前データへのリンク先のままとなっておりました。平成22年1月4日に正しいリンク先に修正しております)。9月15日からの修正点につきましては、本報道発表の添付資料欄「正誤表」をご覧ください。
環境省では、容器包装リサイクル法に基づくプラスチック製容器包装の再商品化に伴う環境負荷削減効果のライフサイクルアセスメントによる分析(以下「LCA分析」という。)を引き続いて実施しています。今般、現行の容器包装リサイクル制度の効果や、排出側の取組による効果、容器包装以外のプラスチックを含めた場合の効果等についてLCA分析を行いました。
その結果、現行の容器包装リサイクル制度の効果については、昨年の分析でも検討した分別せずに現行技術で焼却した場合との比較のみならず、全量高効率のごみ発電施設で焼却発電を行う場合と比べてもなお、容器包装リサイクルを行った方がCO2排出量が少ないこと等が明らかとなりました。
また、排出側の取組の効果については、ベール品質の向上によるCO2排出削減量は、今回の分析の設定条件では大きな変化がなかったものの、質の高い分別収集により、分別収集・リサイクルに係る環境負荷分析の結果は十分に変わりうることが示唆されました。さらに、容器包装以外のプラスチックを含めた場合の効果については、現行の容器包装のみのリサイクルよりも環境負荷削減効果が高くなりうることが明らかになりました。しかし、排出側の取組や容器包装以外のプラスチックについての検討は、データの不足等のため仮定を重ねて分析しており、これらのデータを整備することにより、LCAの精度向上を図ることが重要であることがわかりました。
環境省では、今後も様々なリサイクルシナリオに係るLCA分析を継続する予定です。
1.検討の背景
プラスチック製容器包装の再商品化については、そのLCA分析について、中央環境審議会プラスチック製容器包装に係る再商品化手法専門委員会及び産業構造審議会プラスチック製容器包装に係る再商品化手法検討会合同会合の取りまとめ(平成19年6月)において、「現状では、手法ごとに一層の改善を図る際の参考指標としては活用し得るものの、各手法間の比較を行うに当たっては、環境負荷の項目等の比較対象や比較範囲、前提条件の設定、根拠となるデータのばらつきといった観点から、なお精査が必要である。このため、このようなLCAの分析については今後も継続的に検討を行っていく必要がある。」と指摘されている。
これを受け、近年行われた代表的な検討である(財)日本容器包装リサイクル協会(以下「容リ協会」という。)の「プラスチック製容器包装再商品化手法に関する環境負荷等の検討」(平成19年6月、以下「容リ協会報告書」という)の報告等の既存研究をもとに、既に前提条件の精査による再商品化手法ごとの環境負荷削減効果の比較、容器包装リサイクル全体での環境負荷削減効果について検討を行った。その結果、再商品化手法ごとの環境負荷削減効果の比較・優劣の判断には、LCAの条件設定においてなお課題が多く、既存の検討結果も踏まえつつ引き続き検討を進めることが重要であることが分かった。また、容器包装リサイクル全体での環境負荷削減効果は、容器包装リサイクルを行わない場合と比較して一定の効果を上げていることが明らかになったところである。
今般、現行の容器包装リサイクル制度の効果や、排出側の取組による効果、容器包装以外のプラスチックを含めた場合の環境負荷削減効果について、検討テーマ及び各テーマにおける評価シナリオを設定し、プラスチック製容器包装のLCA分析について更なる検討を行った。
2.環境負荷低減に向けた検討テーマの設定
本調査では検討テーマを以下の通り設定した。各検討テーマに対し、それらを明らかにするための評価シナリオを設定しLCA分析を行った。
- (A)
- 現行の容器包装リサイクル制度の効果について、消費者の疑問に答えることのできる検討テーマ
- (B)
- ごみ排出側の取組によって環境負荷が変わりうることを示す検討テーマ
- (C)
- 容器包装以外のプラスチックを含める場合の検討テーマ
各検討テーマにおける評価シナリオ、その概要、システム境界は表1のとおりとなる。
3.LCI(ライフサイクル・インベントリ)データの収集・整備
(1)ベール品質の設定
今回、検討テーマBにおいて「高品質なベール」の評価や、検討テーマCにおいて「PE/PPのみをリサイクル」した場合の評価を行うにあたって、ベール品質はベール組成に影響を及ぼすと想定し、ベール組成を以下の観点から設定した。
- 容リ協会ベール品質調査において、「ベール品質」とは「容器包装比率」、「汚れ(外観)、破袋度」、「禁忌品の有無」で評価が行われている。
- このベール品質調査における評価結果とベール組成についての明確な関連は得られていないが、今回の検討においてはベール品質向上によってベール組成が変化する(例えば、その他や金属類、水分等の割合が減る、など)ものとした。
- 容リ協会資料によれば、Aランクベールの容器包装比率の平均は95.3 %で、それ以外の異物構成比は4.7 %である。
- したがって、容器包装比率を95 %とし、これを現行のPE、PP、PET、PS、PVCの比で比例配分した組成を、「ベール品質が向上した場合のベール組成」と考えることとする。
- 「PP/PEのみを分別収集した場合のベール組成」に関しては、検討に際しての参考となりうる資料がなかったため、PP/PEの割合が増加することを前提にベール組成の推計を行った。
各検討テーマ・評価シナリオにおけるベール組成の設定は表2のとおりとなる。
(2)各再商品化手法の環境負荷
各評価シナリオにおけるプラスチック製容器包装の再商品化手法別環境負荷については、昨年の調査と同様に容リ協会報告書の値を用いたが、今回の検討テーマである、「高品質なベールをリサイクルした場合」や「PE/PPのみを回収した場合」については、再商品化手法におけるLCIデータも変化することが予想されることから、再商品化事業者へのヒアリングを実施した。
ベール品質が変わった場合の再商品化プロセスへの影響について再商品化事業者へヒアリングを行った結果は表3のとおりとなる。
(表3)ベール品質が変わった場合の再商品化プロセスへの影響についてのコメント
4.環境負荷分析の実施
(1)検討テーマ(A)
<現行の容器包装リサイクル制度について消費者の疑問に答えることのできる検討テーマ>
検討テーマAにおいては、以下の点について定量的に環境負荷の分析を行った。
- 分別収集・リサイクルすることにより、環境負荷が削減されたのか?
- リサイクルするよりも焼却してエネルギー回収した方がCO2排出は少ないのではないか?
- 容リプラを埋め立てていた時と比較して、どの程度埋立処分量は減ったのか?
ア.分別収集・リサイクルすることにより、環境負荷が削減されたのか?
分別収集・リサイクルによる環境負荷削減の効果(CO2排出量の削減効果及び各種資源節約効果)を検討するため、以下の3シナリオの比較を行った。
- 分別収集・リサイクルをせずに全量を単純焼却するシナリオ([1]:有効利用なしシナリオ)
- 分別収集・リサイクルをせずに通常の可燃ごみと同様に自治体で処理・処分を行うシナリオ([2]:A-2.全量自治体処理・処分シナリオ)
- 現行の容リ法下においてリサイクルを行うシナリオ([3]:A-1-a.現行容リ法シナリオ(現状))
処理・処分の方法として全量を埋立処分するシナリオは、埋立処分場がなおひっ迫する現状では考えにくいことから、比較対象からは除外した。
結果は以下のとおりである5。
- CO2排出量について、[1]分別なし(全量を単純焼却:有効利用なしシナリオ)からの削減効果を見ると、[2]分別なし(全量を現行の焼却・埋立:シナリオA-2.)で約243万トン-CO2、[3]分別・リサイクル(シナリオA-1-a.)で約333万トン-CO2となっている。
- したがって、現状である[3]分別・リサイクルは[2]分別なし(全量を現行の焼却・埋立)と比較しても約90万トンのCO2削減効果があったといえる。これをごみ1トンあたり6にすると、約0.24トンのCO2削減効果となる。
- 5
- 四捨五入によりグラフ中の各数値の合計が一致しない場合がある。以降の分析結果についても同様である。
- 6
- ここでは「ごみ1トンあたり」を、自治体で再商品化もしくは処理・処分される容リプラの量(容リプラ及び非容リプラのうち、自治体での分別収集分と混合収集分の合計から独自ルート再商品化を除いた量)1トン当たりとした。以降の分析結果についても同様である。
- 天然ガス、原油、石炭の消費量についても同様に、[2]分別なしと比較して[3]分別リサイクルのシナリオで削減効果が大きい。
- 上記のことから、現行の容器包装リサイクル制度によって環境負荷の削減につながっていることが分かる。
イ.リサイクルするよりもサーマルリカバリーを行う方がCO2排出は少ないのではないか?
分別収集・リサイクルするシナリオと分別収集せずにエネルギー回収するシナリオとして以下の4シナリオを設定し、環境負荷削減の効果を検討した。
- 分別収集・リサイクルをせずに全量を単純焼却するシナリオ([1]:有効利用なしシナリオ)
- 分別収集・リサイクルをせずに高効率焼却発電を行うシナリオ([2]:A-3.高効率焼却発電促進シナリオ)
- 現行容リ法下での分別は維持しつつ、自治体混合収集分のプラ全量を高効率焼却発電するシナリオ([3]:A-1-b.現行容リ法シナリオ(混合収集分を高効率焼却発電))
- 現行容リ法下で、容リプラの全量を分別・リサイクルするシナリオ([4]:A-1-c.現行容リ法シナリオ(全量分別リサイクル))
結果は以下のとおりである。
- CO2排出量について、[1]分別なし(全量を単純焼却:有効利用なしシナリオ)からの削減効果を見ると、[2]分別なし(全量を高効率焼却発電:シナリオA-3.)で約279万トン-CO2、[3]分別・リサイクル(リサイクル+高効率焼却発電:シナリオA-1-b.)で約362万トン-CO2であり、分別・リサイクルした方が、分別せずに全量を高効率焼却発電するよりも約83万トンのCO2削減効果があったといえる。ごみ1トンでは約0.23トンのCO2削減効果である。
- 現在可燃ごみとして自治体処理・処分に回っている容リプラが仮に全量リサイクルされた場合([4]:シナリオA-1-c.)の削減効果は約619万トン-CO2となり、[3]よりもさらに約257万トンのCO2削減につながる。
- 原油、石炭の消費量についても同様に、[2]分別なしと比較して[3]、[4]の分別リサイクルのシナリオで削減効果が大きいが、天然ガスについては容リプラの分別・リサイクルは分別せずに全量を高効率焼却発電するよりも環境負荷削減効果が小さい結果となっている。
- 上記のことから、サーマルリカバリーを行うよりも、容器包装リサイクル制度下でリサイクルを行う方が、CO2の排出量は少ないことが分かる。
ウ.容リプラを埋め立てていた時と比較して、どの程度埋立処分量は減ったのか?
容リプラを埋め立てていた場合と比較して、分別収集・リサイクルするシナリオではどの程度埋立処分量が削減できたのかを検討するため、以下の3シナリオについて比較を行った。
- 分別・リサイクルをせずに全量埋立するシナリオ([1]:A-4.全量埋立シナリオ)
- 分別収集・リサイクルをせずに通常の可燃ごみと同様に自治体で処理・処分を行うシナリオ([2]:A-2.全量自治体処理・処分シナリオ)
- 現行容リ法下においてリサイクルを行うシナリオ([3]:A-1-a.現行容リ法シナリオ(現状))
結果は以下のとおりである。
- 埋立処分量の総量では、[1]分別なし(全量を埋立:シナリオA-4.)で約333万t、[2]分別なし(全量を現行焼却・埋立:シナリオA-2.)で約70万t、現状である[3]分別・リサイクル(現状:シナリオA-1-a.)で約56万tとなっている。
- したがって、埋立処分量は、[1]全量埋立よりも[3]分別・リサイクルの方が約277万t少ないこととなる。
- また、[3]分別・リサイクルを行った方が、[2]全量に現行の焼却・埋立方法を適用するよりも、埋立処分量は約13万トン少ない。
- これは、現行の自治体処理処分において、リサイクル工程よりも多くの埋立が行われていることによる(本検討では、自治体処理処分のうち79 %が焼却、21 %が埋立と設定している )。
- 上記のことから、現行の容器包装リサイクル制度は、埋立処分量の減少に大きく寄与していることが分かる。
- 7
- (社)プラスチック処理促進協会「プラスチック製品・廃棄物・再資源化フロー図(2007年度)」における一般廃棄物の「廃棄物発電+熱利用焼却+単純焼却」と「埋立」の比率から、自治体処理処分における焼却と埋立の比率を設定
(2)検討テーマ(B)
<ごみ排出側の取組によって環境負荷が変わりうることを示す検討テーマ>
ごみ排出側の取組によってベール品質が向上し、それが全体の環境負荷にどのような影響を及ぼすのかを検討した。なお、選別工程に係るエネルギー消費量の減少等ベール品質による再商品化プロセスのLCIへの影響や、より高品質な再商品化製品が製造されることによる代替効果の増加等再商品化製品の品質への影響についてはデータが十分でないため、今回の分析の対象外とした。したがって、ベール品質向上による環境負荷への影響は、製品率の向上による再商品化製品の生産量増加の効果とマテリアルフローが変わることによる処理方法の変化による影響が主なものとなる。検討に用いる評価シナリオは以下のとおり。
- 現行の容リ法下においてリサイクルを行うシナリオ([1]現状:B-1.現行容リ法シナリオ)
- 質の高い分別収集により高品質なベールを作製し、リサイクルを行うシナリオ([2]ベール高品質化:B-2.高品質なベールをリサイクルするシナリオ)
結果は以下のとおりである。
- CO2排出量の削減効果については、[1]現状(シナリオB-1.)が約333万t-CO2、[2]ベール高品質化(シナリオB-2.)が約331万トン-CO2であり、[2]ベールが高品質化した場合でも削減効果はほとんど変化していない。また、ごみ1トンあたりでも、[1]が約0.99トン-CO2/トン-ごみ、[2]が約0.98トン-CO2/トン-ごみとなり、ほぼ違いは無いものと考えられる。
- また、材料リサイクル、ケミカルリサイクル、焼却・エネ回収、埋立の内訳別にCO2排出量削減効果を見ても、両シナリオ間に大きな差は見られない。これは、両シナリオの主たる違いが、ベールの異物(本検討では「その他」、「金属」、「水分」と設定)が、再商品化工程後に他工程利用プラスチックとして処理されるか(現状:B-1)、自治体混合収集された後に処理されるか(ベール高品質化:B-2)であり、これらの処理の違いによるCO2排出削減量の差がほとんどないことから、全体としてもほぼ差がないという試算結果になったものと考えられる。
- なお、選別工程に係るエネルギー消費量の減少等ベール品質による再商品化プロセスのLCIへの影響や、より高品質な再商品化製品が製造されることによる代替効果の増加等再商品化製品の品質への影響については、今回は考慮していないが、下記【参考】に示すとおり、これらの影響による環境負荷削減効果が示唆されることから、これらのデータを把握し、設定することで、結果は十分変わりうるものと考えられる。
【参考】
- 本検討では、ベールが高品質化した場合の再商品化工程におけるLCIデータの変化について、複数の再商品化事業者へのヒアリングを実施した。その結果、ベール品質が向上した場合には、選別工程の縮小等による再商品化工程の改善効果や、再商品化製品の品質向上などの効果が得られる可能性が高いことが明らかとなった。
- しかしながら、ベール品質向上による再商品化製品の品質向上については、その環境負荷の削減効果ついて定量的なデータを得るには至っていない。
- 再商品化工程の改善が再商品化手法の環境負荷に与える影響について、既存の再商品化工程において通常の運用を行った場合と、製造ラインの効率化等による運用状況の改善を行った場合のデータを用いて、検討を行った(図19)。この結果、再商品化工程の改善により環境負荷削減効果が向上することが示唆された。
- ベール品質の向上は、再商品化工程の改善に寄与する可能性が高いことから、環境負荷削減効果の向上にも資するものと考えられる。
(3)検討テーマ(C)
<プラスチックリサイクル制度全般に関する今後の議論に資する検討テーマ>
現行容リ法の分別収集方法とは異なる区分でプラの収集を行ったとした場合の影響を検討した。なお、選別工程に係るエネルギー消費量の減少等ベール品質による再商品化プロセスのLCIへの影響や、より高品質な再商品化製品が製造されることによる代替効果の増加等再商品化製品の品質への影響についてはデータが十分でないため、今回の分析の対象外とした。検討に用いる評価シナリオは以下のとおり。
- 現行の容リ法下においてリサイクルを行うシナリオ([1]:C-1.現行容リ法シナリオ)
- 非容リプラも含め分別収集後、PP/PE中心に材料リサイクルするシナリオ([2]:C-2.非容リプラも含む・PP/PEのみMRシナリオ)
- 非容リプラも含め分別収集後、ケミカルリサイクルするシナリオ([3]:C-3.非容リプラも含む・CRシナリオ)
結果は以下のとおりである。
- CO2排出量について、全量を単純焼却した場合からの削減効果は、[1]現状(シナリオC-1.)で約333万t-CO2、[2]PP/PE中心に材料リサイクル(シナリオC-2.)で約359万t-CO2、[3]非容リプラも含めてケミカルリサイクル(シナリオC-3.)で約376万トン-CO2となった。ごみ1トンあたりでは、それぞれ[1]約0.99トン-CO2/トン-ごみ、[2]約1.06トン-CO2/トン-ごみ、[3]約1.12トン-CO2/トン-ごみ、となる。
- [2]のシナリオでは材料リサイクルに回る量は減少している(材料リサイクル量は[1]31.2万トンに対し、[2]で28.2万トン)にもかかわらず、CO2排出・天然ガス・原油における削減効果が増加している。これは、PP・PE含有量の多いベールを材料リサイクルに供することにより、他工程利用プラスチックが減少(=製品率が向上)し、ベール当たりの削減効果が向上したためである。しかし、材料リサイクルに不適なプラの有効利用として行われるRPF製造やセメント原燃料ついては石炭代替効果が高いため、他工程利用プラスチック処分量の減少により、石炭消費の削減量は減少している。
- 非容リプラを含めることや、PP/PEを多く分別・収集した場合の再商品化プロセス及び再商品化製品の品質に与える影響は今回考慮していないため、これらの設定次第では、結果はさらに変わりうるものと考えられる。
5.今後の課題
分析の結果、現行の容器包装リサイクル制度の効果については、昨年の分析でも検討した分別しない場合はもちろん、全量高効率の焼却発電を行う場合と比べてもなお、容器包装リサイクルを行った方が、CO2排出量が少ないこと等が明らかとなった。また、排出側の取組の効果については、ベール品質の向上によるCO2排出削減量は、今回の分析の設定条件では大きな変化がなかったものの、質の高い分別収集により、分別収集・リサイクルに係る環境負荷が大きく変化しうることが示唆された。さらに、容器包装以外のプラスチックを含めた場合の効果については、現行の容器包装のみのリサイクルよりも環境負荷削減効果が高くなりうることが明らかになった。
しかし、今回の環境負荷分析では、データ入手における制約等から、様々な仮定を置いて算定を行った。プラスチック製容器包装のLCAの精度向上に向けては、以下の課題についての検討が重要であると考えられる。
- 再商品化のLCIデータのアップデート・拡充
- ベール組成の適切な設定
- ベール品質が向上した場合における選別工程に係るエネルギー消費量の減少等、ベール品質や分別収集区分が変化した場合の再商品化のLCIデータの設定
- ベール品質が向上した場合におけるより高品質な再商品化製品が製造されることによる代替効果の増加等、再商品化製品の機能代替に対する考え方のアップデート
- プラスチックのマテリアルフローの適切な設定
- ライフサイクルコスト分析の実施
また、環境負荷の観点から望ましいリサイクルの在り方について検討するため、今後も様々なリサイクルシナリオに係るLCA分析を行う。
(参考)検討体制
- 座長
-
- 森口 祐一
- 独立行政法人国立環境研究所
- 循環型社会・廃棄物研究センター センター長
- 委員
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- 浅川 薫
- 財団法人日本容器包装リサイクル協会
- プラスチック容器事業部 部付部長
- 匂坂 正幸
- 独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 素材エネルギー研究グループ グループ長
- 中野 加都子
- 神戸山手大学 現代社会学部環境文化学科 教授
- 西原 一
- 社団法人プラスチック処理促進協会 技術開発部 部長
- 平尾 雅彦
- 東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻 教授
添付資料
- 正誤表 [PDF 105 KB]
- 表1 検討テーマ設定の概要とシステム境界 [PDF 154 KB]
- 表2 今回の検討におけるベール組成 [PDF 80 KB]
- 表3 ベール品質が変わった場合の再商品化プロセスへの影響についてのコメント [PDF 93 KB]
- 図1~5 [PDF 72 KB]
- 図6~10 [PDF 76 KB]
- 図11~13 [PDF 70 KB]
- 図14~19 [PDF 86 KB]
- 図20~26 [PDF 89 KB]
- 連絡先
- 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室
直通:03-5501-3153
代表:03-3581-3351
室長:上田 康治(内線:6831)
室長補佐:平尾 禎秀(内線:6823)
室長補佐:菊池 圭一(内線:6822)
担当:九反田悠妃(内線:6823)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成20年8月7日
- プラスチック製容器包装の再商品化に伴う環境負荷の削減効果について(お知らせ)