報道発表資料
汚水処理施設連携整備事業(以下「連携事業」という。)は、公共用水域における水質保全効果がより一層促進されると見込まれる市町村を認定し、市町村が作成する連携整備事業計画に基づき、下水道、農業集落排水施設、浄化槽等各種汚水処理施設整備を5か年間にわたり重点的に実施する事業制度である。
農林水産省、国土交通省及び環境省(以下「三省」という。)では、平成9年度から連携事業を実施し、これまでに50市町村を認定しており(別紙1)、実施市町村でそれぞれの汚水処理施設の特色をいかして連携することにより、効果的かつ効率的な汚水処理施設の整備を図っているところである。
三省では、連携事業の情報公開を進めるために、これらの市町村における汚水処理施設の整備状況、放流水質の状況等を公表しているが、本年度は平成20年度をもって連携事業を完了した4市町(平成16年度認定)、及び平成20年度に連携事業の中間年度を迎えた2市町(平成18年度認定)のデータを取りまとめ公表することとした。
1.汚水処理施設の整備状況について
(1)平成20年度に連携事業を完了した市町の状況
平成16年度認定の4市町(別紙1参照)は、平成20年度末をもって連携事業を完了したが、これら市町における、認定時点の汚水処理人口普及率、認定時点における汚水処理人口普及率の目標値、完了時点の汚水処理人口普及率を取りまとめた(別紙2)。
連携事業の認定から平成20年度末までに、富山県入善町において下水道の供用開始地区が順次拡大され、広島県三次市において農業集落排水施設が、島根県津和野町においては下水道、農業集落排水施設が新規に供用開始された。また、各市町において浄化槽の整備が進められ、順次供用が開始された。
平成20年度末の汚水処理人口普及率は、連携事業着手前である平成15年度末と比較して急上昇しており、富山県入善町で90.0%(+30.6ポイント)、島根県大社町(現:出雲市)で74.2%(+18.0ポイント)、島根県津和野町で47.9%(+36.6ポイント)、広島県三次市で47.1%(+7.6ポイント)となった。
全国の汚水処理人口普及率は、平成15年度末には77.7%であったものが、平成20年度末では84.8%になり、5年間で7.1ポイント上昇したが、平成16年度認定市町についてみると、この5か年の間に平均で18.7ポイント上昇した。
連携事業の実施により、汚水処理施設整備の促進が図られたといえる。
- [平成16年度認定市町における効果事例]
※)平成20年度に連携事業を完了した4市町の汚水処理人口普及率の平均の推移である。
(2)平成20年度に連携事業の中間年度を迎えた市町の状況
平成18年度認定の2市町(別紙1参照)は、平成20年度で連携事業の中間年度(3年目)を迎えたが(平成22年度で完了予定)、これら市町における、認定時点の汚水処理人口普及率、平成20年度末時点の汚水処理人口普及率、認定時における平成22年度末の汚水処理人口普及率の目標値を取りまとめた(別紙3)。
連携事業の認定から平成20年度末までに、福岡県苅田町において下水道供用開始地区が順次拡大され、大分県宇佐市において農業集落排水施設が新規に供用開始された。また、各市町において浄化槽の整備が進められ、順次供用が開始されている。
平成20年度末の汚水処理人口普及率は、連携事業着手前である平成17年度末と比較して3年間で概ね順調に上昇しており、福岡県苅田町で72.6%(+14.0ポイント)、大分県宇佐市で52.6%(+5.2ポイント)となった。
全国の汚水処理人口普及率は、平成17年度末には80.9%であったものが、平成20年度末では84.8%になり、3年間で3.9ポイント上昇したが、平成18年度認定市町についてみると、この3か年の間に平均で8.4ポイント上昇した。
- [平成18年度認定市町における効果事例]
※)平成20年度に連携事業の中間年度を迎えた2市町の汚水処理人口普及率の平均の推移である。
2.汚水処理施設からの放流水質の状況について
(1)平成20年度に連携事業を完了した市町の状況
平成20年度に連携事業を完了した市町の各汚水処理施設における平成20年度末時点の年平均放流水質を調査し、水素イオン濃度(pH)、生物化学的酸素要求量(BOD)、浮遊物質量(SS)等各値を取りまとめた(別紙4)。
下水道の年平均の放流水質は、5箇所の終末処理場で調査した結果であり、農業集落排水施設の年平均の放流水質は、5箇所の汚水処理施設で調査した結果である。また、浄化槽の放流水質は、補助事業による総設置基数1,940基中164基(うちBODは94基)で調査した結果である。
pH | BOD(mg/l) | SS(mg/l) | |
下水道 | 6.8~7.5 | 1.2~2.7 | 1.0~3.6 |
農業集落排水施設 | 6.5~7.2 | 1.2~13.6 | 1.3~13.8 |
浄化槽 | 6.0~8.1 | 1.0~58.0※1 | - |
- ※1
- BODの高値については、浄化槽機器の故障によるもので機器の交換により適切な状態に回復した。
(2)平成20年度に連携事業の中間年度を迎えた市町の状況
平成20年度に連携事業の中間年度を迎えた市町の各汚水処理施設における平成20年度末時点の年平均放流水質を調査し、水素イオン濃度(pH)、生物化学的酸素要求量(BOD)、浮遊物質量(SS)等各値を取りまとめた(別紙5)。
下水道の年平均の放流水質は、3箇所の終末処理場で調査した結果であり、農業集落排水施設の年平均の放流水質は、6箇所の汚水処理施設で調査した結果である。また、浄化槽の放流水質は、補助事業による総設置基数2,117基中555基で調査した結果である。
pH | BOD(mg/l) | SS(mg/l) | |
下水道 | 6.8~7.1 | 1.6~3.2 | 1.5~2.9 |
農業集落排水施設 | 6.7~7.0 | 1.6~9.4 | 1.5~4.8 |
浄化槽 | 4.2~8.2 | 1.0~120.0※2 | - |
- ※2
- BODの高値については、浄化槽内の生物膜の肥厚(汚れが溜まり厚くなる)が原因であり、逆洗浄により適正な状態に回復した。
3.公共用水域の水質保全に向けた地域の取組
(1)平成20年度に連携事業を完了した市町
平成20年度に連携事業を完了した市町では、施設整備の他に以下のような公共用水域の水質保全に向けた取組がなされている。
都道府県名 | 市町名 | 公共用水域の水質保全に向けた地域の主要な取組 |
富山県 | 入善町 | 下水道事業、農業集落排水事業、浄化槽整備事業を連携して推進し、これらの事業を町広報誌で取りあげ地区住民に対しPR活動を実施 |
島根県 | 大社町 (現:出雲市) |
ホームページや広報誌で下水道や集落排水への接続促進活動、浄化槽については設置希望者の募集を行い併せて水質保全に向けたPR活動を展開 |
島根県 | 津和野町 | 下水道等未接続世帯へは手紙を送付し加入を促進、浄化槽の設置補助についてはケーブルテレビや広報誌を活用したPR活動を実施 |
広島県 | 三次市 | 身近な河川の清掃活動、学習の場としての水辺教室などの取り組みにより河川保護の意識の向上を図る |
(2)平成20年度に連携事業の中間年度を迎えた市町
平成20年度に連携事業の中間年度を迎えた市町では、施設整備の他に以下のような公共用水域の水質保全に向けた取組がなされている。
都道府県名 | 市町名 | 公共用水域の水質保全に向けた地域の主要な取組 |
福岡県 | 苅田町 | 町内河川の草刈・清掃を企業や自治会が中心となって実施し、小学校では水環境に親しむ水辺教室を開催 |
大分県 | 宇佐市 | 農業集落排水事業を実施している地区において地区住民等により水質保全活動を推進 |
添付資料
- 別紙1:汚水処理施設連携整備事業の認定状況 [PDF 160 KB]
- 別紙2:汚水処理施設整備状況(普及率)〈平成16年度認定〉 [PDF 137 KB]
- 別紙3:汚水処理施設整備状況(普及率)〈平成18年度認定〉 [PDF 52 KB]
- 別紙4:汚水処理施設の放流水質の状況〈平成16年度認定〉 [PDF 139 KB]
- 別紙5:汚水処理施設の放流水質の状況〈平成18年度認定〉 [PDF 137 KB]
- 連絡先
- 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課浄化槽推進室
直通 03-5501-3155
代表 03-3581-3351
室長 角倉 一郎(内線6861)
室長補佐 松田 和久(内線6863)
担当 奥野 真章(内線6865)
担当 吉岡 直 (内線6865)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成20年8月22日
- 汚水処理施設連携整備事業の実施状況等について