報道発表資料
環境庁では、廃PCB等による環境汚染の未然防止を図るため、新たなPCBの処理技術の評価や諸外国における処理方策などについての調査・検討を行ってきたが、このたび、調査に関する助言をいただいてきた検討委員会において、中間報告(「PCB処理の推進について」)がとりまとめられた。
この中で、化学処理等の新たな技術が開発されてきたことを踏まえ、現在保管中のPCBについて、一定の処理目標を設定し、住民理解を進めながら処理を推進すべきであるとの提言がなされた。
環境庁としては、これを受けて、PCB処理の必要性とその安全性についてのリスクコミュニケーションを進めていく。また、PCBを保管している事業者を含め広く国民の意見を聞きながら、関係省庁とも連携しつつ、安全かつ円滑に処理が進められるよう、引き続き調査・検討を行うとともに、必要な措置を講じていく。
[1] 経緯この中で、化学処理等の新たな技術が開発されてきたことを踏まえ、現在保管中のPCBについて、一定の処理目標を設定し、住民理解を進めながら処理を推進すべきであるとの提言がなされた。
環境庁としては、これを受けて、PCB処理の必要性とその安全性についてのリスクコミュニケーションを進めていく。また、PCBを保管している事業者を含め広く国民の意見を聞きながら、関係省庁とも連携しつつ、安全かつ円滑に処理が進められるよう、引き続き調査・検討を行うとともに、必要な措置を講じていく。
環境庁においては、環境汚染のおそれのある廃PCB及びこれを含む電気機器等の保管が長期間に及ぶ一方で、化学処理等の新たなPCB処理技術の開発が進んできたことに鑑み、平成5年度より(財)日本環境衛生センターに依頼して、「PCB混入機器等処理調査」を開始し、処理技術の開発状況、諸外国におけるPCB処理状況などについて調査してきた。さらに、平成8年度より同所に「PCB混入機器等処理推進調査検討委員会(委員長:平岡正勝・京大名誉教授)を設置して、我が国における具体的なPCB処理方策について検討いただいてきたが、このたび、同委員会の「PCB処理の推進について」と題する中間報告がとりまとめられた。
[2] 検討委員会の構成:別紙のとおり(親委員会及び2つのワーキンググループ)
[3] 中間報告の概要
1 PCBの環境に対するリスク
有用な物質として生産・使用されていたPCBは、環境中で難分解性であり、生物に蓄積しやすくかつ慢性毒性がある物質であることが明らかになったため、昭和49年までに製造・輸入や開放系用途での使用を禁じられた。
現在、一部トランス等で密閉して使用されている以外の廃PCB及びこれを含む電気機器等は、事業者によって保管されている。しかし、これらの保管の長期化に伴い、紛失、漏出、事故等により環境を汚染するおそれがあり、また、保管・処理の努力を後世代に押しつけるべきでないと考えられることから、できるだけ早期に、安全なレベルまでPCBを処理することが必要と考えられる。
2 国際的な対応
国際的には、EU諸国をはじめ、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどでPCBの処理が進められている。諸外国では主に高温焼却が行われているが、近年、化学処理等も行われるようになっており、移動型の処理方法も導入されている。
3 PCB処理技術の安全性
(1)処理技術の評価
我が国では、廃棄物処理法で高温焼却処理のみが認められており、兵庫県高砂市鐘淵化学工業(株)高砂事業所において、昭和62年より液状廃PCBの処理が行われた。
一方、近年、化学処理を中心に新たな処理方法の開発が進められており、これまでの評価の結果、化学的に脱塩素化を進める4種類の処理方法及び超臨界水を利用する方法の、計5種類の処理方法について、実用化が可能と考えられる。
この他の新たな技術についても、引き続き評価を行っていく必要がある。
(2)PCB及びPCB含有油の処理目標値
PCB及びPCB含有油の化学処理等の方法に係る処理目標値については、「処理後の油中のPCB含有量として0.5mg-PCB/kg-油(ppm)を下回ること」(超臨界水を利用する方法では水質汚濁防止法に基づく排水基準)とすることが適当と考えられた。これは、安全性が十分確保され、かつ諸外国におけるPCB処理の基準値で最も厳しいもの(2mg-PCB/kg-油(ppm)以下)よりもさらに低いレベルであり、またこれまで開発された化学処理等の方法で達成が十分可能なレベルである。なお、処理済み油については、廃油等として適正な管理・焼却がなされる必要がある。
(3)容器及びPCB汚染物の処理方法
PCB含有油を抜き取った後の容器及びPCB汚染物についての処理方法、処理目標値及び処理フローについては、引き続き検討が必要である。
(4)処理に伴う環境への影響と処理実施の要件
前述の処理目標値まで処理が行われた場合の環境へのPCB等の排出は、環境保全上問題ないレベルである。処理を行うに当たっては、環境保全に万全を期す観点から、環境監視等を行う必要がある。
4 PCB処理を進めるにあたって
現在PCBを保管している事業者は、処理を行うまでの保管を徹底するとともに、処理方策の検討を始めるべきである。また、処理に当たっては情報を公開し、住民の理解を求めるなどのリスクコミュニケーションを図るべきである。なお、安全性・信頼性を確保しつつ処理を円滑に進めるため、行政も必要に応じ関与すべきである。
今後、委員会では、PCBを保管している事業者や一般市民の意見を踏まえつつ、PCB処理をより円滑に進める方策について具体的に検討していく。
[4] 今後の予定
環境庁としては、本中間報告を受けて、PCB処理の必要性とその安全性についてのリスクコミュニケーションを進めていく。また、関係省庁とも連携しつつ、安全かつ円滑に処理が進められるよう、引き続き調査・検討を行うとともに、必要な措置を講じていく。
なお、処理を進めるに当たっての課題、情報公開などについて、PCBを保管している事業者を含め広く国民からの意見を求め、今後の検討の参考としたい。
(上記に関する意見の提出先) 〒100 東京都千代田区霞が関1ー2ー2 環境庁環境保健部環境安全課 Fax:03-3580-3596 E-mail : ehs@eanet.go.jp 締め切り:平成9年12月26日(金) (報告書入手先)上記又はインターネット・ホームページ(http://www.eic.or.jp/eanet/) |
添付資料
- 連絡先
- 環境庁企画調整局環境保健部環境安全課
課長:中島正治(6350)
担当:早水輝好(6353)
環境庁水質保全局企画課海洋環境・廃棄物対策室
室長:太田 進(6620)
担当:高橋康夫(6621)