報道発表資料
環境省は、(仮称)小名浜火力発電所環境影響評価準備書について、本日付けで経済産業大臣に対し、環境大臣意見を提出した。
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- 環境省は、(仮称)小名浜火力発電所(事業者:小名浜パワー事業化調査株式会社)環境影響評価準備書について、環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成21年5月26日付けで経済産業大臣に対し、別紙のとおり環境大臣意見を提出した。
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- 本事業は、日本化成株式会社小名浜工場の構内に、40万kW(20万kW×2)の石炭火力発電所を新設する計画である。この事業により、2012年の運転開始以降、新たに多量の二酸化炭素の排出が見込まれることから、京都議定書目標達成計画(以下「目達計画」)及び低炭素社会づくり行動計画の長期目標(2050年に温室効果ガス60~80%削減)に鑑みて、慎重に考える必要がある。
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- この点に関して、京都議定書の第一約束期間に係る論点及び中長期的な論点を整理した上で、これらを総合的に勘案した結果、環境大臣意見では、次の結論とした。
- 本事業については、実行可能な最大限の二酸化炭素排出削減対策が講じられているとは言えず、また、電気事業全体の二酸化炭素排出原単位を低減させる枠組みのない現状においては、第一約束期間において相当量の二酸化炭素排出増加につながることから目達計画の達成に支障を及ぼすおそれがあることに加え、その後も電気事業における長期的な二酸化炭素排出原単位の低減に支障となるおそれがあることから、温暖化対策上問題があり、今回の環境影響評価の前提となった計画内容については是認しがたい。
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- また、同大臣意見の中で併せて経済産業省に対し、地球温暖化対策に係る協力として、以下の措置を講じていただくよう要請した。
- 中期目標の達成に向けた有効な枠組みが整備されないままに、2013年以降、本計画を含む電気事業用途の新たな石炭火力発電所の運転開始が行われることのないよう、論点として整理した条件を満足した電気事業全体による二酸化炭素排出原単位低減の枠組みを早期に整備すること。
- 長期目標の2050年60~80%削減が実現できる電源構成のあり方について検討を進め、その見通しを明らかにすること。
- また、今後計画される石炭火力発電所は、その時点で採用可能な石炭ガス化複合発電(IGCC)、二酸化炭素回収・貯留(CCS)等の最高水準の技術を用いて、二酸化炭素の排出を最大限抑制したものとするよう求めること。
- なお、特定規模電気事業者の現行の自主行動計画については、第一約束期間における二酸化炭素排出削減に資するよう目標を深掘りし、二酸化炭素排出原単位を低減させる計画とするよう要請すること。
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- なお、事業者に対しては、経済産業大臣から、環境大臣意見を勘案した勧告がなされることとなる。
[参考]
事業概要
- ・名称
- (仮称)小名浜火力発電所
- ・事業者
- 小名浜パワー事業化調査株式会社
- ・計画位置
- 福島県いわき市小名浜字高山34番地(日本化成(株)小名浜工場構内)
- ・発電方式
- 汽力
- ・出力
- 40万kW(20万kW×2基)
- ・燃料
- 石炭
- ・運転開始時期
- 1号機:平成24年7月(予定)、2号機:平成26年7月(予定)
環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
- ・方法書手続
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- 方法書縦覧
- 平成16年 6月11日~平成16年 7月12日(住民意見6通)
- 福島県知事意見
- 平成16年11月11日
- 経済産業大臣勧告
- 平成16年12月 6日
- ・準備書手続
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- 準備書縦覧
- 平成20年 7月 2日~平成20年 8月 1日(住民意見2通)
- 福島県知事意見
- 平成20年12月24日
- 環境大臣意見照会
- 平成21年 3月27日
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長 山本 昌宏(内6231)
補佐 馬場 康弘(内6233)
TEL 03-3581-3351(代表)
03-5521-8237(直通)