報道発表資料

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2022年05月19日
  • 自然環境

種の保存法に基づく緊急指定種の指定について

 令和4年3月に専門誌において日本国内における初記録として報告されたチョウセングンバイトンボPlatycnemis phyllopodaを絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号。以下「種の保存法」という。)第5条に基づく緊急指定種に指定する件について、本日公示しましたのでお知らせいたします。 指定期間は、令和4年5月21日から令和7年5月20日までの3年間です。緊急指定種に指定されると個体の捕獲・殺傷、販売(標本を含む。)などの行為が規制されます。

1. 今回指定した緊急指定種の概要及び指定理由

チョウセングンバイトンボ
チョウセングンバイトンボ
【学名】 Platycnemis phyllopoda
【分布】 対馬、朝鮮半島、中華人民共和国、極東ロシアに分布する。
【特徴及び生態】
 全長30mm~37mmのモノサシトンボ科の1種。国内に分布する近縁のグンバイトンボと同様に、オスの中・後脚の頸節は白色で軍配状に広がる特異な形態を有しているが、チョウセングンバイトンボは雌雄ともに腹部第10節が黒色で、頭部の後頭条が左右に分かれる点、オスの中・後脚の跗節が白色となる点が区別点として挙げられる。

 国内では谷筋を流れる細い渓流及び樹林に囲まれた止水域で確認されている。

【指定理由】 

 令和4年3月に専門誌において日本国内における初記録として報告され、国内での生息確認は数地点に限られている。新たに日本で生息が確認された種として、愛好家による採集や標本販売を目的とした採集を誘発する可能性があり、過度な捕獲圧が集中することにより、個体群が消滅する可能性があることから緊急的に個体の捕獲や販売等を規制するために、緊急指定種として指定を行うもの。

(参考) 尾園暁・二橋亮・境良朗・日下部満.2022.月刊むしNo.613:2-7

2. 種の保存法に基づく緊急指定種制度の概要

・ 緊急指定種は、種の保存法第5条に基づき、環境大臣が指定するもの。

・ 特にその保存を緊急に図る必要があると認められる種について、生きている個体の捕獲・殺傷、個体等(標本を含む。)の販売・譲渡し、陳列等を禁止する緊急的な措置。

・ 指定の期間は、3年が限度となる。

・ 緊急指定後は、調査や研究等による生物学的知見を集積し、国内希少野生動植物種への指定の要否を検討する。

3. 参考

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)(抄)

(緊急指定種)

第五条 環境大臣は、国内希少野生動植物種及び国際希少野生動植物種以外の野生動植物の種の保存を特に緊急に図る必要があると認めるときは、その種を緊急指定種として指定することができる。

2 環境大臣は、前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議しなければならない。

3 指定の期間は、3年を超えてはならない。

4 環境大臣は、指定をするときは、その旨及び指定に係る野生動植物の種を官報で公示しなければならない。

5 指定は、前項の規定による公示の日の翌々日からその効力を生ずる。

6 環境大臣は、指定の必要がなくなったと認めるときは、指定を解除しなければならない。

7 第二項、第四項及び第五項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第五項中「前項の規定による公示の日の翌々日から」とあるのは、「第七項において準用する前項の規定による公示によって」と読み替えるものとする。

                                               以 上

連絡先

環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室
代表
03 - 3581 - 3351
室長
山本 麻衣 (内線 6677)
係長
早瀬穂奈実 (内線 6687)
係長
鈴木 規慈 (内線 7474)