報道発表資料

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2009年03月27日
  • 総合政策

川崎発電所リプレース計画(更新及び増設)環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、川崎発電所リプレース計画(更新及び増設)環境影響評価準備書について、本日付けで経済産業大臣に対し、施設の稼働に伴い排出される二酸化炭素及び窒素酸化物の一層の低減などを求める環境大臣意見を提出した。

1.

環境省は、川崎発電所リプレース計画(更新及び増設)(事業者:東日本旅客鉄道株式会社(以下、「JR東日本」))環境影響評価準備書について、環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成21年3月27日付けで経済産業大臣に対し、別紙のとおり環境大臣意見を提出した。

2.

本事業は、JR東日本の川崎発電所において、発電設備の更新及び増設を行い、発電電力を同社及び同社グループ会社へ供給するものであり、燃料転換により天然ガスを燃料とする発電効率の高いコンバインドサイクル方式の発電設備となる。しかしながら川崎発電所からの年間の二酸化炭素排出量及び窒素酸化物排出量が増加することから、環境大臣意見では以下の措置を適切に講じる必要があることを指摘している。

(1)温室効果ガス

 二酸化炭素については、「低炭素社会づくり行動計画」の長期目標に鑑みれば、あらゆる活動に対してより厳しい温室効果ガスの削減が求められることから、二酸化炭素排出量をできる限り低減する必要がある。事業者は、同社のグループ経営ビジョンを策定し、高い水準の二酸化炭素削減目標を掲げているところであり、この目標達成に向けて、最大限努力する必要がある。そのため以下の措置を講ずることにより、川崎発電所並びにJR東日本及びグループ会社の事業活動における二酸化炭素排出量をできる限り低減すること。

発電設備について、低負荷運転を避けること等により発電効率を高く維持すること、最も発電効率が高い本事業の発電設備の利用率を高く維持すること等により、発電所全体の二酸化炭素排出原単位の一層の低減を図ること。
事業者の鉄道事業において、省エネルギー対策や再生可能エネルギー導入などを最大限行い、二酸化炭素排出量の低減を図ること。それによって事業者のグループ経営ビジョンにおける二酸化炭素排出削減目標の達成に向けて見通しを明らかにすること。またグループ会社に対しても省エネルギー対策等を求めること。なお、電力会社等の電力から自営電力へ置き換える場合には、二酸化炭素排出量が増加することのないよう適切な措置を講ずること。
本事業や省エネルギー対策等の取組などをフォローアップし、必要に応じ適切な追加対策を講ずること。また、新たに2013年以降の温室効果ガス削減の枠組みが整備された場合には、これを踏まえて二酸化炭素排出削減に取組むこと。

(2)窒素酸化物

 本事業が実施される区域の周辺は、二酸化窒素に係る環境基準が達成されていない地点があり、「大気汚染防止法」に基づく窒素酸化物に係る総量規制地域及び「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」に基づく対策地域にも指定され、大気環境改善に向けた各種対策が長期にわたり集中的に講じられてきた地域であることから、以下の措置を講ずることにより、窒素酸化物による大気環境への影響をできる限り低減すること。

発電設備及び排煙脱硝装置の適正な運転管理・維持管理、環境負荷の少ない工事等関係車両や建設機械の使用等により、窒素酸化物排出濃度を極力低減すること。
事業者及びそのグループ会社の省エネルギー対策等の取組みを進め、本計画の目的に沿う最小限の発電を行うこと、また窒素酸化物排出量の少ない発電設備を優先的に稼働すること等により、窒素酸化物排出量をできる限り低減すること。
今後、より高い窒素酸化物排出削減技術が開発された場合はその採用を検討するなど、必要に応じて適切な対策を講ずること。

(3)その他

本年3月に事業者が信濃川水力発電所の水利権を取り消されたことに伴い、今後、本計画に基づく川崎発電所の運用の変更などが想定される場合は、環境への負荷を増加させないよう事業者は適切に対応すること。

3.

なお、事業者に対しては、経済産業大臣から、環境大臣意見を勘案した勧告がなされることとなる。

[参考]

事業概要

・名称
川崎発電所リプレース計画(更新及び増設)
・事業者
東日本旅客鉄道株式会社
・計画位置
神奈川県川崎市川崎区扇町8番3号
・発電方式
ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)
・出力
21.1万kW×3基(現状出力合計65.4万kWから101.8万kWへ変更)
・燃料
天然ガス
・運転開始時期(予定)
新4号機:平成25年12月、新1号機:平成31年5月、5号機:平成32年2月

環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)

・方法書縦覧
平成18年3月7日~平成18年4月6日(住民意見14件)
・東京都知事意見提出
平成18年7月27日
・神奈川県知事意見提出
平成18年8月4日
・経済産業大臣勧告
平成18年9月1日
・準備書縦覧
平成20年7月15日~平成20年8月14日(住民意見38件)
・東京都知事意見提出
平成21年1月16日
・神奈川県知事意見
平成21年1月23日
・環境大臣意見照会
平成21年2月5日

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長 山本 昌宏(内6231)
審査官 大束 淳一(内6239)
TEL 03-3581-3351(代表)
03-5521-8237(直通)

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