報道発表資料

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2021年05月28日
  • 自然環境

第52回ガンカモ類の生息調査(全国ガンカモ一斉調査)結果について(速報)

 ガンカモ類の生息調査(「全国ガンカモ一斉調査」)は、ガンカモ類の冬期生息状況の把握を目的として、1970年から毎年1月に各都道府県の協力を得て実施しています。
 第52回目となる今年の調査は、全国約8,600地点において、ボランティアなど約3,500人の協力を得て2021年1月17日頃に実施されました。その結果を暫定値として取りまとめたところ、全国でハクチョウ類:約6万8,500羽(4種)、ガン類:約11万3,700羽(8種)、カモ類:約144万3,900羽(29種)が観察されました。10年前(調査実施年:2011年、調査地点数:約8,900地点、調査者数:約4,400名)の観察数と比べ、ハクチョウ類は約2%増加、ガン類は約33%減少、カモ類は約14%減少し、総数では約15%の減少となりました。
 なお、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言の発出に伴い、東京都では調査を全面中止、兵庫県では一部中止となりました。

1.第52回調査の概要

・目的:我が国におけるガンカモ類の冬期生息状況の把握

・調査日:2021年1月17日(日)(予備日:1月10日~24日)

・調査地:ガンカモ類の生息地となっている全国約8,600地点の湖沼等(ハクチョウ類及びガン類については、

     原則として全ての生息地を対象とし、カモ類については、可能な限り多くの生息地を対象とした)

・調査方法:上記の調査期間の中で定められた調査日に、各都道府県において各調査地点に調査員を配置し、

      双眼鏡等を使用した目視により、ガンカモ類の個体数を種ごとにカウント

・調査者数:約3,500人

・集計:各都道府県の調査結果を環境省において集計

2.第52回調査の結果概要

 全国約6,200地点でガンカモ類が観察され、そのうちコハクチョウなどのハクチョウ類は約630地点、マガンなどのガン類は約160地点、マガモなどのカモ類は約6,100地点で観察されました。全国における観察数は、ハクチョウ類約6万8,500羽(4種)、ガン類約11万3,700羽(8種)、カモ類約144万3,900羽(29種)であり、これらの総数は約162万6,200羽でした(資料1)。

(1)ハクチョウ類について

 ハクチョウ類の観察数約6万8,500羽を10年前(2011年)と比較すると、約2%(約1,100羽)増加していました。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2002年の約6万7,000羽から2006年には約8万1,500羽まで増加し、その後2012年には約5万8,600羽まで減少したものの、以降は概ね7万羽前後で推移しています(資料2図1)。また、都道府県別に見ると、今期の調査では新潟県が約2万1,800羽、宮城県で約1万3,200羽、福島県で約6,300羽と観察数が多く、この3県で、全国の観察数の約60%を占めていました(資料1)。

(2)ガン類について

 ガン類の観察数約11万3,700羽を10年前(2011年)と比較すると、約33%(約5万5,100羽)減少していました。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2020年までは増加傾向にありましたが、2021年は大きく減少していました。2020年末からの寒波により、ガン類の主要な渡来地である東北地方の湖沼の凍結や、積雪量の増加などにより、ガン類が分散して飛来し、過年度と比較して観察個体数が減少した可能性が考えられます(資料2図2)。ガン類のうち、観察数の多い3種の個体数を前年と比較すると、ガン類の約90%を占めるマガンが約63%(約17万7,000羽)減少、約6%を占めるヒシクイが約40%(約1万600羽)減少していました。なお、特定外来生物に指定されているカナダガン(平成27年に国内根絶と報告)は、いずれの地域でも確認されませんでした。

(3)カモ類について

 カモ類の観察数約144万3,900羽を10年前と比較すると、約14%(約22万6,100羽)減少していました。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2009年から減少傾向が見られた後、2014~2020年は160万羽程度が維持されていましたが、2021年は150万羽を下回っていました(資料2図3)。また、観察数が10万羽を超えた県は、茨城県(約12万9,200羽)、千葉県(約15万4,500羽)でした(資料1)。カモ類のうち観察数の多い上位6種の個体数を前年と比較すると、マガモが約9%、カルガモが約10%、コガモが約30%、オナガガモが約15%、ヒドリガモが約16%減少し、スズガモが約4%増加しました(資料2表2及び図4)。なお、新潟県ではコスズガモ(任意報告対象種)が1羽確認されました。

(4)飼養品種(任意報告項目)について

 調査中に観察された飼養品種については、アヒルが福島県・京都府で計14羽、アイガモが千葉県・長野県・三重県・京都府・島根県で計18羽、セイヨウガチョウが千葉県で1羽、バリケンが神奈川県で1羽の計4種が報告されました。

3.その他

・今回の集計結果は暫定値であり、現在行っているデータ精査の結果を踏まえて8月頃を目途に確定値を取りまとめる予定です。本結果を利用される場合には、その点を御留意願います。

・令和2年度ガンカモ類の生息調査(令和3(2021)年1月調査実施)の暫定値は、以下のウェブサイトから御覧いただけます。

・平成29(2017)年度に作成した「ガンカモ類の生息調査の対象種識別ガイド」も以下のウェブサイトから御覧いただけます。

<環境省生物多様性センター ガンカモ類の生息調査 調査成果物>

http://www.biodic.go.jp/gankamo/gankamo_top.html

添付資料

連絡先

環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性センター

  • 直通0555-72-6033
  • センター長松本 英昭
  • 調査科長鴛海 智佳

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