報道発表資料

この記事を印刷
2021年03月26日
  • 大気環境

「光害対策ガイドライン(改訂版)」の策定について(お知らせ)

 環境省では、屋外照明の適正化等により良好な光環境の形成を図り地球温暖化防止に資することを目的に、「光害(ひかりがい)対策ガイドライン」を平成10年度(1998年)に策定し、平成18年度(2006年)に改訂を行っております。
 平成18年度の改訂から15年が経過し、この間、LED照明が広く普及するなど地域を取り巻く光環境も大きく変化していることから、このような状況を踏まえ光害が及ぼす影響や光害の防止対策について見直しを行い、当該ガイドラインを改訂しましたので、お知らせいたします。

1.改訂の経緯    

 平成18年度の光害対策ガイドライン改訂当時においては、LED照明は一般的には普及していなかったが、現在では広く普及しており、さらに、今後も従来の照明からLED照明への切替えが推進されていくものと考えられるため、これまでの照明とは異なるLED照明の特性等を踏まえた光害対策を進めていく必要がある。また、照明に関する学術的な国際機関であるCIE(国際照明委員会)による「屋外照明による障害光規制ガイド」の改訂版(CIE150:2017)が2017年に発行されるなど、国際的にも光害対策の取組が進んでいる。

 これらを踏まえ、光害の防止対策等について見直しを行い、今般、光害対策ガイドラインを改訂することとした。

 なお、ガイドラインの改訂に当たっては、「令和2年度光害対策ガイドライン改定に係る検討業務」において、以下の委員により構成される「光害対策ガイドライン改訂に係る検討委員会」を設置し検討を行い、この検討結果を基に「光害対策ガイドライン(改訂版)」として取りまとめたものである。

 

 光害対策ガイドライン改定に係る検討委員会 名簿(50音順、敬称略)

   伊東 勇人  パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社ライティング事業部

          エンジニアリングセンター 課長     

   越智 信彰  東洋大学 経営学部 会計ファイナンス学科 准教授

   鈴木 信篤  一般社団法人日本照明工業会 技術部 担当部長

   竹下 秀   東海大学 工学部 光・画像工学科 准教授

座長 望月 悦子  千葉工業大学 創造工学部 建築学科 教授

   山田 哲司  岩崎電気株式会社 新技術開発部開発企画課 主査

2.ガイドラインの概要

 本ガイドラインは、光害を抑制し、屋外における良好な光環境の形成を目的に、照明による人や動植物、夜空の明るさなどに及ぼす影響への配慮に関する指針や対策を示すとともに、照明に対する考え方・あり方を示すものである。

 ※光害とは、良好な光環境の形成が、人工光の不適切あるいは配慮に欠けた使用や運用、漏れ光によって阻害されている状況、又はそれらによる悪影響のことである。

以下にガイドラインの主な概要を紹介する。

(1)LED照明の普及と光環境の現状について

 LED照明の特性について示すととともに、LED照明の普及を踏まえた地域の光環境の現状について説明している。

 LED照明は、発光効率が高く、従来の蛍光ランプや水銀灯などに比べて配光制御等が容易であるため、これらの特性を効果的に活用し、適切に配置することで、より良い光環境を形成するとともに、地球温暖化防止にも資することが可能であることなどを解説している。

(2)屋外照明による環境影響と対策について

 不適切な照明が及ぼす様々な環境影響について、人への影響、動植物への影響及び夜空の明るさへの影響に分け、具体例も挙げながら説明している。

 また、目指すべき良好な光環境は地域の特性に応じて異なるため、地域ごとに目指すべき光環境を光環境類型として区分し、類型ごとの指針値等を示したうえで、具体的な対策方法を解説している。

 環境影響への対策については、配光、上方光束比、輝度(輝度分布)及び光色(相関色温度)に着目し、それぞれの視点を解説するとともに、指針値等を示している。特に、上方光束(水平より上方へ向かう光束)については、夜空の明るさや鳥類・昆虫類等への影響があり、特殊な状況・目的以外では人々の生活の利便性の向上に寄与せず、省エネルギーの観点からもできる限り削減することが望ましいことから、本ガイドラインでは、より積極的な上方光束の削減を目指し、光環境類型ごとに上方光束比の最大許容値を以下のように設定している。

 また、照明の目的に応じた光色(相関色温度)の選定の考え方についても解説している。

光環境類型

地域対象イメージ

上方光束比

E1

里地など

0.0 %

E2

郊外など

2.5 %

E3

都市の周辺等

5.0 %

E4

都市中心部等

15 %

(3)光環境保全のさらなる取組について

 より積極的な光害対策に取り組もうとする地方公共団体等が参考とできるよう、星空保護の取組を進めている事例や、光害抑制のための条例等の制定事例、良好な夜間景観の形成による地域の魅力向上に取り組んでいる事例などを紹介している。さらに、海外における動向についても紹介している。

(4)チェックリスト

 屋外照明設備の設計、設置、保守・運用の各段階において、光害抑制のために確認・検討すべき項目を、本ガイドラインの内容と照らし合わせて確認できるようチェック事項を示している。

○光害対策ガイドライン(令和2年度改訂版)については、以下の環境省ホームページから御覧ください。(https://www.env.go.jp/air/life/light_poll.html

添付資料

連絡先

環境省水・大気環境局大気環境課大気生活環境室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8298
  • 室長山本 郷史(内線 6540)
  • 室長補佐石関 延之(内線 6541)
  • 担当山 眞實(内線 6549)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。