報道発表資料

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2009年03月09日
  • 総合政策

那覇空港構想段階に対する環境省意見について

 環境省は、滑走路増設が検討されている那覇空港の構想段階PI(パブリック・インボルブメント)について、位置・規模等の検討段階における戦略的環境アセスメント(SEA)を含むものと位置付けられていることから、環境省の取りまとめた「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」に基づき、意見を述べたところである。
 本日開催の「那覇空港技術検討委員会」において、環境省の意見が紹介される事を機にこれを公表するものである。
 なお、本件は、同ガイドラインに基づきSEAが実施された第1号案件である。

1.那覇空港構想段階の概要

 那覇空港は、現在滑走路1本で運営されている空港としては、全国で2番目に利用度の高い空港となっているが、2015年頃には航空旅客需要の増加に対応できなくなるおそれがあることから、現滑走路の沖合に増設滑走路を建設する事が検討されている。
 現在実施中の構想段階に先立ち、内閣府沖縄総合事務局、国土交通省大阪航空局、沖縄県により、平成15年度~19年度にかけて3つのステップでPI(パブリック・インボルブメント)の手法を取り入れながら総合的な調査が実施された。
 その結果を踏まえて、平成20年から、構想段階としての各種調査やPIが進められており、現在、増設滑走路(2700m)を現滑走路から850m沖合または1310m沖合に建設する2案が最終的に示され、PIを通じたこれら2案に対する意見も踏まえて、事業実施に向けた最終案選定のための検討が進められている。

 

2.環境省意見について

 那覇空港の構想段階では、国土交通省が策定した「公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドライン」等の趣旨を踏まえ、PI手法を取り入れつつ検討が進められており、これは、環境省が取りまとめた「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」に基づく戦略的環境アセスメント(SEA)を含むものとして行われている。
 このため、環境省は、これらのガイドラインを踏まえ、国における環境保全に関する行政の総合的な推進を担う立場から、那覇空港構想段階の実施主体である那覇空港構想・施設計画検討協議会に対し別紙のとおり環境の保全の見地から意見を述べたところである。
 本日開催の「那覇空港技術検討委員会」(那覇空港の構想段階の検討における技術・専門的な事項について指導・助言を行う委員会。委員長:屋井鉄雄 東京工業大学大学院総合理工学研究科教授)において、環境省の意見が紹介されることを機にこれを公表するものである。
 なお、本件は、同ガイドラインに基づきSEAが実施された第1号案件である。

〔環境省意見の概要〕

(1)手続きに対する評価
総合的な調査段階から、複数の滑走路増設案について「周辺環境への影響」の視点を含めた比較検討を行い、構想段階では、さらに詳細な調査が実施され、環境に対する影響についても相当具体的な調査・予測・検討が行われていると評価。
その結果、増設A案と増設B案について、自然環境の消失や潮流の変化、航空機騒音の改善等の環境影響を十分具体的に把握、比較検討されていると評価。
(2)概ねの位置・規模を選定するにあたっての留意点
那覇空港周辺は、サンゴ、藻場、干潟などの自然環境が残されており、絶滅危惧種が多く記録されている重要な地域であること。
増設A案ではサンゴや藻場が、増設B案では砂質干潟生態系がより大きな影響を受けること。これらの自然環境については、沖縄本島南部西海岸域を概観した中での位置付けも重要であること。
増設される滑走路の内側の海域については、閉鎖性が増すことによる水質の悪化等の影響が懸念されること。
航空機騒音については、住居地域からより遠方である増設A案は、より騒音影響が小さいと考えられること。
(3)今後、事業が実施されることとなった場合の留意点
サンゴ、藻場、干潟等の重要な生態系と希少な動植物への影響については、埋立に伴う影響をできるだけ最小にし、海流の変化等による底質や水質の変化も十分考慮すること。
増設A案については、新滑走路への連絡誘導路に通水性を持たせる計画について、具体の構造、工法等について十分検討すること。
増設B案については、砂質干潟への影響をできるだけ最小にするための方策について十分検討すること。
航空機騒音については、需要の増加に伴う航空機騒音の影響ができるだけ軽減されるよう十分検討すること。

3.今後の予定

 今後、「那覇空港構想・施設計画検討協議会」において最終案が選定され、最終的に事業者である国において増設滑走路の配置等が決定される。
 その後、具体的な施設計画をもとに事業の評価及び採択が行われ事業が実施されることとなった場合、今回のSEAの結果を踏まえて設計段階において環境影響評価(事業アセス)が実施されることとなる。

増設A案:現滑走路より1310m沖合に新滑走路を増設する案
増設B案:現滑走路より 850m沖合に新滑走路を増設する案

増設案

※参考ホームページ:
「戦略的環境アセスメント」(環境省 環境影響評価情報支援ネットワーク)
https://www.env.go.jp/policy/assess/2-4strategic/index.html
「那覇空港プロジェクト」(沖縄総合事務局開発建設部那覇空港プロジェクト室)
http://www.dc.ogb.go.jp/Kyoku/information/nahakuukou/index.htm

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長:山本 昌宏(内6231)
審査官:三重野 信(内6253)
TEL 03-3581-3351(代表)
03-5521-8237(直通)

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