報道発表資料

この記事を印刷
2020年07月10日
  • 再生循環

「令和2年度脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装化に向けた実証事業」の公募結果について

 環境省では、金属リサイクル(破砕・選別、金属回収等)の脱炭素化を進めるとともに、全体最適の観点で、装置開発、リサイクル工程から金属回収工程にわたり業種横断的に技術実証を行い、二酸化炭素排出削減に向けた脱炭素型金属リサイクルシステムの有効性を検証することを目的とした「令和2年度脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装化に向けた実証事業」の公募を実施しました。この度、申請書類による事前審査及び有識者で構成される評価審査委員会において申請者からのヒアリングを行い、採択事業を決定しました。

1.「令和2年度脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装化に向けた実証事業」の公募概要

 スマート社会の進展により、自動化製品やIoT機器、電動化製品の需要が増加しており、これに伴い、センサーや電子基板類、バッテリーといった製品・部品の廃棄量についても増加することが見込まれています。こうした製品・部品には、非鉄金属・レアメタルが含有されていることから、適切にリユース、リサイクルすることによって、天然資源の節約、資源の海外依存度の低下、二酸化炭素排出量の削減、最終処分場の延命等の環境負荷低減が期待できます。

 我が国は、廃棄物処理法や各種リサイクル制度による廃棄物収集システムや制度的・物理的インフラ、破砕・選別技術、人的リソースが発達してきている上、製錬等の金属回収技術は世界に冠たる水準にある一方、破砕・選別機器メーカー、リサイクル(破砕・選別)事業者、金属回収事業者等それぞれの主体間の連携・協調は未だ改善の余地があります。例えば、リサイクル事業者の選別プロセスにAIロボットを導入し選別産物の品位(純度)を向上させることによって、当該プロセスの省エネルギー化に加えて、金属回収事業者での前処理工程(熱処理等)においても合理化・省エネルギー化につながることが考えられます。

 そのため、環境省では、金属リサイクル(破砕・選別、金属回収等)の脱炭素化を進めるとともに、全体最適の観点で、装置開発、リサイクル工程から金属回収工程にわたり業種横断的に技術実証を行い、二酸化炭素排出削減に向けた脱炭素型金属リサイクルシステムの有効性を検証することを目的とした実証事業を実施することとし、令和2年5月11日(月)から5月29日(金)までの間に対象事業の公募を行いました。

2.選定結果

 本事業の公募に対し、16件の応募があり、事業における環境改善効果の評価方法、実現した場合の環境改善効果の見込み、事業終了後の出口戦略等の観点から、申請書類による事前審査及び有識者で構成される評価審査委員会による審査を行った結果、6件の事業を選定しました。

申請者名(五十音順)

申請事業名 事業の概要

株式会社アステック入江

電子基板及び自動車部品の未回収白金族リサイクルシステム実証事業(その2) AI画像認識選別システムによるPGM(1)等をターゲットとした電子部品の選別技術等の開発、着火プラグ・O2センサーの自動車解体工場等を含めた回収スキームの構築及び同部品からのPGM含有部位の分離技術の開発等の実証を行い、PGM含有部品のリサイクルシステム及びビジネスモデルの構築を図る。
イー・アンド・イーソリューションズ株式会社 太陽光パネルの収集・リユースおよび非鉄金属の回収に係る技術実証 太陽光パネル中のセル/EVAシートの価値(銀・銅の有価性、ガラス・プラスチック等の忌避性)の簡易評価方法、及び商業スケールの非鉄金属濃縮プロセスの技術について実証するとともに、可能な限り最終処分場に依存しない太陽光パネル処理ルートの構築に係る試験を行う。
株式会社新菱 太陽光パネルの高度選別技術開発とリサイクル・システム構築による早期事業化 太陽光パネル中の有価物の濃縮化、製錬忌避成分の除去等に向けた高度破砕・選別技術開発の実証を行い、選別後の回収金属を用いた精錬会社での金属回収エネルギー使用量削減の評価、及びリサイクルガラスの用途開発を行い、ガラスのリサイクルシステムの構築を図る。
株式会社JERA リチウムイオン電池の新規リユース技術開発実証事業 劣化状態の異なるLIB(※2)の混合状態による制御性・運用性に係る実証、及びLIBとニッケル水素電池等のハイブリッド検討を行うとともに、経済性からみた最適な設備設計を実施し、中古電池の安全性・信頼性及び価格競争力向上による二次利用拡大を図る。

三菱マテリアル株式会社

北九州地域での全体最適LIBリユース・リサイクル技術・システム実証 廃車両からの①LIBの取り出し自動化、②リユース/リサイクル仕分けに係る劣化診断、③④LIBユニットの放電及び解体自動化、⑤LIBの熱分解処理、破砕・選別処理による高効率な有価物分離回収、⑥コバルト・ニッケルの高効率回収に係る実証を行い、システム全体の事業評価・LCA評価を行う。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 包括的中間処理(ソーティングセンター4.0)の実現に向けた再資源化技術・システム実証 主要素材の再資源化忌避物質の静脈産業内での流通状況の推計に基づく忌避物質等管理が必要とされる箇所・技術仕様の検証、忌避物質等の分離・選別プロセスや要素技術の確立及び情報連携システムの構築を行い、各素材産業の原料要求仕様に応じた中間処理での解体・選別の実施を図る。

(※1)PGM: 「Platinum Group Metals」の略で、「白金系金属」の通称。プラチナ(Pt)・パラジウム(Pd)・ロジウム(Rh)・ルテニウム(Ru)・イリジウム(Ir)・オスミウム(Os)のプラチナと同系列6種類の非鉄金属を指す。

(※2)LIB: 正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う「リチウムイオン二次電池(Lithium-Ion rechargeable Battery)」の略。ハイブリッド自動車や電気自動車、蓄電池などの製品に使用。

連絡先

環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-6205-4946
  • 室長冨安 健一郎(内線 6831)
  • 担当鳥居 ほのか(内線 6855)
  • 担当石井 颯杜(内線 6833)