報道発表資料

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2020年06月15日

「漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法調和ガイドライン」の改訂について

 環境省では、海洋表層に漂流するマイクロプラスチックについて、モニタリング結果のデータを比較可能にするためのガイドラインを作成し、令和元年5月に初版を公開しました。
 今回、比較的手軽にモニタリングが実施できる小型船にもガイドラインを適用できるように改訂し、公開しました。これにより、東南アジア等でのモニタリングを促進するとともに、データ整備で世界を主導していきます。

1.背景

 海洋プラスチックごみは世界的な課題となっています。地球規模で海洋プラスチックごみを削減していくためには、海洋プラスチックごみの分布状況などの科学的な知見を世界各国で共有することが必要です。これまで、海洋表層に漂流するマイクロプラスチックの実態調査は、調査の目的に応じて異なる調査手法がとられていたため、データの比較が困難でした。そのため、モニタリング手法の調和(モニタリング結果のデータを比較可能にすること)が重要な課題として認識されていました。

 平成27年のG7エルマウサミットにおいて、モニタリング手法の調和と標準化が優先的な施策として挙げられ、サミットのフォローアップとして開催された国際ワークショップにて、日本が漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法の調和等をリードすることが合意されました。また、令和元年のG20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合において合意された「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」においては、調和したモニタリング手法の促進が挙げられ、実施枠組のフォローアップ会合において、日本がモニタリングの調和とデータ整備を主導することとされました。

 これらを踏まえ、環境省ではサンプリングと分析の手法を比較する実証事業を実施し、国内外の専門家による国際専門家会合での議論を経て、令和元年5月に「漂流マイクロプラスチックのモニタリング手法調和ガイドライン」(Guidelines for Harmonizing Ocean Surface Microplastic Monitoring Methods。以下「ガイドライン」という。)の初版を公開しました。

2.改訂の概要

 従来のモニタリングにおいては大型の観測船を用いることが一般的でしたが、数が限られ、加えて費用もかかることから、大型の観測船を広く利用することは困難でした。そのため、小型船でのモニタリングが期待されるところですが、装備の違いや波の影響により小型船でのモニタリングでは調和した手法によるモニタリングが実施できない可能性がありました。また、魚卵やプランクトンなどの浮遊物が多い海域では、ネットが詰まりやすいため対策が必要でした。そこで、環境省は、今般、調和した手法の拡大を図るため追加的な実証事業を実施し、小型船や魚卵やプランクトンなどの浮遊物が多い海域でのモニタリングにも適用できるよう、ガイドラインの改訂を実施・公開しました。

 主な改訂のポイントは以下の通りです。

  • 小型の調査船や漁船でもモニタリングが実施できるよう留意点(船の走行による波の影響を避けるためサンプリングネットは船の側面から十分に離す、ネットは船の柱などに十分な強度で固定する、治具等の破損を防ぐためロープで補強するなど)を追加しました。これにより、ガイドラインが小型船にも適用できるようになり、海洋プラスチックごみの流出量が多いと言われている東南アジアでも広くモニタリングが可能になります。
  • 魚卵やプランクトンなどの浮遊物が多い海域において、サンプリングを分割して行うこととしました。熱帯やプランクトンが大量発生する季節でのモニタリングは、ネットが詰まりやすく実施が困難でしたが、分割してサンプリングすることでデータの充実が期待されます。
  • モニタリング結果の比較に必要な記録事項を報告するためのデータ入力フォームを作成しました。データ入力フォームを活用することで、調和されたデータの整理が進み、マイクロプラスチックの世界的なデータ整備の基礎となります。

3.今後の予定

 今回の改訂により、ガイドラインの東南アジアでの活用が期待できるようになったことを踏まえ、東南アジア諸国におけるガイドラインに基づいたモニタリング技術の支援を進めていきます。

 また、ガイドラインを踏まえた世界的なデータ整備を検討していきます。

添付資料

連絡先

環境省水・大気環境局水環境課海洋プラスチック汚染対策室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-6205-4934
  • 室長中島 慶次(内線 6602)
  • 室長補佐安陪 達哉(内線 6634)
  • 係員小林 和貴(内線 6637)

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