報道発表資料

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2019年12月05日
  • 自然環境

生物多様性条約第23回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA23)並びに第11回条約第8条(j)項及び関連条項に関するアドホック公開作業部会(WG8(j)11)の開催結果について

生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)に向けて、第23回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA23)並びに第11回条約第8条(j)項及び関連条項に関するアドホック公開作業部会(WG8(j)11)が、それぞれ11月25日(月)~11月29日(金)と11月20日(水)~11月22日(金)に、モントリオール(カナダ)で開催されました。
SBSTTA23ではポスト2020目標の科学技術的な基礎となるエビデンス及び生物多様性と気候変動の関係などが議論され、来年5月に出版予定のGBO5の推敲を続けることの要求を含む7本の勧告が採択されました。WG8(j)11ではCOP15における採択に向けたポスト2020目標策定作業への統合に向けた第8条(j)項作業計画案などについて議論され、4本の勧告が採択されました。
これらの勧告は、令和2年10月に昆明(中国)にて開催予定のCOP15などの検討・決定案に反映される予定です。また、日本としても引続き条約事務局への意見提出や今後の会議での提案等、ポスト2020目標の策定に貢献してまいります。

1.第23回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA23(注1)の概要

(1)会議名称

日本語...第23回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA(サブスタ)23)

英 語...Twenty-third meeting of the Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice

(2)開催期間

令和元年11月25日(月)~11月29日(金)

(3)場所

モントリオール(カナダ)

(4)会議の概要

本会合では、締約国代表の他、国際機関、NGOなどの参加により、合計7本の勧告案が科学技術的観点から検討され、採択されました。主要な議題の結果概要は下記の通りです。これらを受け、日本としても引続き条約事務局への意見提出や今後の会議での提案等、ポスト2020目標の策定に貢献してまいります。

(i)ポスト2020目標(注2)の科学技術的な基礎となるエビデンス

来年5月に出版予定の地球規模生物多様性概況第5版(Global Biodiversity Outlook5)の案や、IPBES(注3)地球規模評価報告書の評価等から得られるポスト2020目標への示唆について検討がなされ、また、この検討成果をポスト2020目標に関する公開作業部会(OEWG)において考慮することや、日本からの提案も踏まえ国別報告書の分析作業を含むGBO5の推敲を続けること等を求める勧告を採択しました。

(ii) 生物多様性と気候変動

IPCCの特別報告書等を基に検討がなされ、日本からの提案も踏まえ、生態系を活用した気候変動への適応策(EbA)等を促進する「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合 コミュニケ」を歓迎すること、OEWGや条約実施補助機関会合(SBI)における議論においてEbA等の生物多様

性と気候変動の相互作用を考慮すること、COP15にて締約国にEbAを推進し国家適応計画に位置付けることを求める決定をすること、等を求める勧告が採択されました。また、OEWGやSBIの議論において参照可能とするため、ポスト2020目標のうち生物多様性と気候変動の相互作用に関する目標と指標の案について締約国等から募り、整理することになりました。

(iii) 科学技術協力

ポスト2020目標を支援するための科学技術協力を強化する戦略案について検討がなされ、また、この戦略案を引き続き推敲し、更新版をSBIに議論の参考として提出すること等を求める勧告が採択されました。

【本会合の公式ウェブサイト】 https://www.cbd.int/doc/?meeting=SBSTTA-23

(注1)科学技術助言補助機関(SBSTTA: Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice: SBSTTA

・生物多様性条約第25条に基づいて設立された。

・条約の実施状況について科学技術的な見地から締約国会議(COP)及び他の補助機関に対して助言を行うことを任務とする。

(注2)ポスト2020目標

COP15(2020年・中国)において採択される予定である、2020年以降の新たな生物多様性の世界目標。

(注3)生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム

(Intergovernmental science-policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services:IPBES)

生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、平成24年4月に設立された政府間組織。科学的評価、能力開発、知見生成、政策立案支援の4つの機能を柱とし、気候変動分野で同様の活動を進めるIPCCの例から、生物多様性版のIPCCと呼ばれることもある。

(注4)EbA及びEco-DRR

生態系を活用した気候変動への適応策(Ecosystem-based AdaptationEbA

将来予想される気候変動の影響への適応策を実施する際に、生態系サービスを活用する考え方(街路樹のまとまった配置による都市のヒートアイランド対策など)。

生態系を活用した防災・減災(Ecosystem-based Disaster Risk ReductionEco-DRR

健全な生態系が有する森林の土砂崩れ防止機能、サンゴ礁の高潮被害軽減機能、遊水地により洪水を貯留し下流部の氾濫を防ぐなどの防災・減災機能を積極的に活用して、災害リスクを低減させる考え方。

2.第11回条約第8(j)項及び関連条項に関するアドホック公開作業部会(WG8(j)11(注5)の概要

(1)会議名称

日本語...第11回条約第8条(j)項及び関連条項に関するアドホック公開作業部会

英 語...The Eleventh meeting of the Ad Hoc Open-ended Working Group on Article 8(j) and Related Provisions of the Convention on Biological Diversity

(2)開催期間

令和元年11月20日(水)~11月22日(金)

(3)場所

モントリオール(カナダ)

(4)会議の概要

本会合では、締約国代表の他、先住民及び地域社会団体、国際機関、NGOなどの参加により、合計4本の勧告案が検討され、採択されました。主要な議題の概要は下記の通りです。

(i) ポスト2020目標策定作業への統合に向けた第8条(j)項作業計画

ポスト2020目標策定作業への統合に向けた第8条(j)項作業計画案のCOP15への勧告が採択されました。なお、本案のAnnexⅡに記載された作業計画の要素候補については、議論の時間が確保できなかったため、各締約国等によるピア・レビューの後、アドホック技術専門家グループ、第8条(j)項及び関連規定に関する第12回作業部会(8jWG12)を経て、COP16において最終決定することとなりました。

(ii) WG8(j)の継続もしくは常設補助機関の設立

2020年以降の先住民の社会及び地域社会に関する検討体制について、8jWG の継続,IPLCsに関する8jの常設補助機関の設立、又はその他の常設補助機関への作業の統合といった三つの選択肢が残された勧告と共に、COP16まで8jWGを継続する勧告が採択されました。

【本作業部会の公式ウェブサイト】 https://www.cbd.int/doc/?meeting=WG8J-11 

(注5)生物多様性条約第8(j)項及び関連条項に関するアドホック公開作業部会(WG8(j)

・COP4において、第8条(j)項及び関連条項の実施に取り組むために設置された。

・生物多様性条約第8条(j)項では、締約国は、可能な限り、かつ、適当な場合には、次のことを行うこととされている;

自国の国内法令に従い、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連する伝統的な生活様式を有する先住民の社会及び地域社会の知識、工夫及び慣行を尊重し、保存し及び維持すること、そのような知識、工夫及び慣行を有する者の承認及び参加を得てそれらの一層広い適用を促進すること並びにそれらの利用がもたらす利益の衡平な配分を奨励すること。

3.環境省関連のサイドイベント

<ポスト2020目標に向けたランドスケープアプローチに関する専門家テーマ別ワークショップの成果>

国連⼤学サステイナビリティ⾼等研究所(UNU-IAS)、生物多様性条約事務局(SCBD)及び日本環境省の共催で、11月27日(水)昼に開催しました。

熊本県熊本市において令和元年9月2日(月)~9月6日(金)にSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)事務局、SCBD、日本環境省及び熊本県が共催した「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ第8回定例会合」及び「ポスト2020目標に向けたランドスケープアプローチに関する専門家テーマ別ワークショップ」の成果を報告しました。

<地方・サブナショナル政府の取組実施~生物多様性と気候変動に対する自然を基盤とした解決策を用いつつ~>

愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合(以下「連合」という。)、サブナショナル政府諮問委員会、ICLEI、Regions4、ポスト2020目標に関するEUサポート の共催で、11月26日(火)に開催されました。

連合メンバーである愛知県、ケベック州のほか、ICLEI、Regions4、カナダ・メキシコ・シンガポール・中国・英国・エクアドルなどの政府、スウェーデン・英国・日本の大学・NGOなど約40名が参加し、地方・サブナショナル政府における生物多様性と気候変動対策に関する取組やポスト2020目標への貢献に関する議論などが行われました。

連絡先

環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8275
  • 室長中澤圭一(内線 6480)
  • 室長補佐柳谷牧子(内線 6483)
  • 室長補佐佐藤滋芳(内線 6482)

環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性主流化室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8150
  • 室長山本泰生(内線 6661)
  • 室長補佐三宅里奈(内線 6662)