報道発表資料

令和元年11月11日
地球環境
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「低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)」第11回年次会合の開催結果について

 平成20年のG8環境大臣会合において、我が国が提案し設立された「低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)」の第11回年次会合が、令和元年10月17日-18日、イタリア・ローマ市にて開催されました。13か国、欧州連合、4国際機関から61名が出席しました。
 会合では、脱炭素社会の実現に向けて、各国・国際機関で展開されている施策や研究事例の発表及び討議が行われました。脱炭素化に向けた多角的なイノベーションにより、数年前には想定されなかった様々なオプションへの期待の高まりが見られました。また、さらにイノベーションを促進するために、開発研究に関する官民の投資拡大、他国のニーズに適した技術支援と能力開発、雇用機会の創出等についての必要性を指摘する意見が多数ありました。
 さらに、支援国・機関、被支援国双方の関係者のネットワーキングを深める重要性について認識を共有しました。 

1.会合概要

日 程:令和元年10月17日(木)-18日(金)

主 催:日本環境省、公益財団法人地球環境戦略研究機関、新技術・エネルギー・持続的経済開発機構(ENEA)

開催地:ローマ(イタリア)

2.主な成果

  • 低炭素社会やその先にある脱炭素社会の実現に向けて、各国の研究者と政策担当者が一堂に会して各々の専門分野の知識を共有する場としてのネットワークの重要性が改めて示された。こうしたネットワークの活動を通じて、脱炭素化社会と経済成長に関する各国の優良事例、教訓を共有し、比較分析していく重要性等について認識が共有された。

  • イノベーションにより、数年前には想定されなかった様々なオプションが提案されている各国の実例が紹介された。とりわけ電力セクターの例が多く、太陽光と風力発電については、全球規模で、急速なコスト削減が今後数年間続くと見込まれる。スマート充電がイノベーションにより実現すれば、ピーク負荷の低減、CO2排出量の削減、低コストのPV電気シェアの増加が期待される。脱炭素の主要な解決策である「再生可能エネルギーと組み合わせた電化によるエネルギーシステム」は、電力だけではなく、熱と輸送のためにも最終エネルギー消費における再生可能エネルギーの割合を拡大する手段を提供すると予測される。一方で、水素エネルギーについては、水素供給のインフラストラクチャの戦略的な構築と実行可能な水素エネルギーへの移行経路を探求し、新しい水素市場を開発する政策が求められる。

  • 他国に技術支援を行う際には、各国事情を鑑みた技術ニーズの特定、技術に関する情報提供、能力開発、技術開発・移転促進、若者の雇用機会の創出、支援国・機関と被支援国の利害関係者間のネットワーキングを進めることが必要だと指摘された。また、支援は、技術導入の様々な段階において、革新的な金融と投資や市民参画の意思決定により促進され得ることも強調された。

  • 欧州においては、気候政策が国内の産業や都市に与える影響や、産業競争力や地域振興を促進する産業政策の役割が強調された。また、複数のモデルの検討結果が示され、野心的な緩和努力を選択したケースにおいても経済成長に悪影響を及ぼさない結果が紹介された。

  • 気候変動緩和のための重要な手段としての資源循環(資源効率性改善)政策に関して、欧州の取組が紹介され、その重要性が指摘された。その背景として、両問題にかかるコスト大幅削減の可能性と環境的利益とを組み合わせた相互利益が見いだされている。影響評価の推定にはかなりの不確実性があるが、技術の将来的な進歩が大幅に改変する可能性があること、また資源効率性は、バリューチェーンの各段階で達成可能な水準に押し上げていくことで改善が期待されるが、その実現に向けては、政府や産業、研究者、消費者等全てのステークホルダーの努力が必要であると指摘された。対象となる資源の種類によっては、統合された対策が、景観や生物多様性の保護、人間の健康にもつながるとの報告もあった。

  • 昨今の「グリーン成長」や「資源効率性向上」に向けた産業政策の転換だけでは、2℃以下目標を達成するには不十分。産業が2℃以下目標を達成するには、社会全体の転換を促す長期戦略の「目標」が不可欠であり、例えば生産過程におけるゼロエミッションを追求することの必要性などが挙げられた。

  • 気候変動対策とSDGs実現を連携させた取組、あるいは「誰も取り残さない」というSDGsの基盤となっている考え方を取り込んだ気候変動対策に取り組む、欧州各国や中国の取組が紹介された。気候緩和策と不平等をなくす対策には相乗効果が見られる分析結果も報告された。

  • 日本を含む6カ国とECが参加した政策対話において、日本は、技術イノベーション、経済・社会的イノベーション、ライフスタイルイノベーションの3つが重要と発言し、他国から支持の声があった。他登壇者から、新しい計画作成手法等、意思決定の在り方の変化を示唆する「制度的イノベーション」という視点と方法論の検討について主張する意見もあった。

連絡先

環境省地球環境局総務課脱炭素化イノベーション研究調査室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8247
  • 室長吉川 圭子(内線 6730)
  • 専門官安部 壮司(内線 7719)
  • 担当吉富 萌子(内線 7718)
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